ボイラーやバーナーで危険物を燃料として消費するだけの施設は、通常の一般取扱所とは異なる扱いを受けることがあります。
危険物の規制に関する規則は、この「消費するだけ」の一般取扱所について専用の特例基準を定めています。
ただし対象になる条件や、屋内と屋上で異なる基準を正しく理解していないと、思わぬ落とし穴があります。
今回は、ボイラーだけで危険物を扱う一般取扱所に適用される特例の全体像を解説します。
うちのボイラー室、燃料を燃やすだけなのに一般取扱所と同じ厳しい基準がかかるんでしょうか。
いいえ、ボイラーだけで危険物を消費する施設には特例基準があります。
まずは結論から確認しましょう。
特例なら、うちのボイラー室もそのまま当てはまりますか。
引火点や指定数量の倍数など、いくつかの条件を満たす必要があります。
順番に確認していきましょう。
- ボイラーやバーナーで危険物を消費するだけの一般取扱所には専用の特例基準がある
- 対象は引火点四十度以上の第四類危険物を指定数量の倍数三十未満で消費する施設に限られる
- 屋内の基本基準では緊急遮断装置とタンク容量の制限が求められる
- 指定数量の倍数が十未満ならタンクを固定して空地を確保する方式も選べる
- 屋上に設置する場合は耐火構造の建築物であることなど屋内とは別の基準が適用される
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目次
ボイラーだけで危険物を扱う一般取扱所とはどんな施設なのか

ところが、ボイラーやバーナーで危険物を燃料として消費するだけの施設は、政令に基づいて専用の特例基準が用意されています。
令第十九条第二項第三号に掲げる一般取扱所 危険物(引火点が四十度以上の第四類の危険物に限る。)を消費するボイラー、バーナーその他これらに類する装置以外では危険物を取り扱わない一般取扱所で指定数量の倍数が三十未満のもの(危険物を取り扱う設備を建築物に設けるものに限る。)
条文がいう令第十九条第二項第三号の一般取扱所とは、危険物を貯蔵したり詰め替えたりせず、ボイラーやバーナーなどの装置で燃料として消費するだけの施設を指します。
危険物を大量に貯蔵する施設とはリスクの性質が異なるため、政令第十九条第二項の委任を受けたこの規則で個別に緩和した基準が定められています。
ただし特例は自動的に使えるわけではなく、次に見る条件を満たした場合に限られます。
まずは、その条件から確認します。
ボイラー室があるだけで、うちも一般取扱所になるんでしょうか。
燃料を消費するだけの施設なら、特例の対象になります。
次は具体的な条件を確認しましょう。
この特例を受けるための屋内での基本基準は何か

屋内に設置する場合にまず満たすべき基本の基準があります。
建築物の一般取扱所の用に供する部分には、地震時及び停電時等の緊急時にボイラー、バーナーその他これらに類する装置(非常用電源に係るものを除く。)への危険物の供給を自動的に遮断する装置を設けること。
危険物を取り扱うタンクは、その容量の総計を指定数量未満とするとともに、当該タンク(容量が指定数量の五分の一未満のものを除く。)の周囲に囲いを設けること。
条文は地震時や停電時に危険物の供給を自動的に遮断する装置を設けることを求めており、災害時に燃料が流れ続ける事態を防ぐための規定です。
あわせて、危険物を取り扱うタンクの容量は指定数量未満に抑え、一定規模を超えるタンクには周囲に囲いを設けなければなりません。
これらは屋内に設置する一般的なボイラー室であれば、まず確認すべき基本の基準といえます。
次に、指定数量の倍数がさらに小さい施設ではどう扱いが変わるかを見ていきます。
遮断装置は、普段から動かしておく必要があるんですか。
いいえ、地震や停電など緊急時に自動で作動させる装置です。
次は指定数量の倍数が小さい場合を見てみましょう。
指定数量の倍数が十未満なら基準はどう変わるのか

中心になるのは、設備を固定したうえで周囲に空地を確保する考え方です。
危険物を取り扱う設備(危険物を移送するための配管を除く。)は、床に固定するとともに、当該設備の周囲に幅三メートル以上の空地を保有すること。
条文は危険物を取り扱う設備を床に固定したうえで、その周囲に幅三メートル以上の空地を保有することを求めています。
耐火構造の壁や柱が近くにある場合は、この空地の幅を短縮できる例外も用意されています。
あわせて、床を危険物が浸透しない構造にし、排水溝や貯留設備を設けることも条件に含まれます。
これは屋内での基準の中でもさらに緩和された型であり、次に見る屋上設置とは別の基準体系です。
空地を確保すれば、囲いは要らなくなるんですか。
はい、倍数十未満の施設なら空地で代えることができます。
次は屋上に設置する場合を見てみましょう。
屋上に設置する場合はなぜ基準がまったく違うのか

ここを混同すると、必要な措置を見落としてしまいます。
一般取扱所は、壁、柱、床、はり及び屋根が耐火構造である建築物の屋上に設置すること。
危険物を取り扱う設備(危険物を取り扱うタンク及び危険物を移送するための配管を除く。)は、キュービクル式のものとし、当該設備の周囲に高さ〇・一五メートル以上の囲いを設けること。
まず、設置できる建築物そのものが壁・柱・床・はり・屋根のすべてが耐火構造であることが前提となり、設備はキュービクル式で高さ〇・一五メートル以上の囲いに収める必要があります。
タンクの容量制限や周囲の空地、床の排水構造なども別途定められており、屋内の三メートル空地の基準をそのまま屋上に当てはめることはできません。
「指定数量の倍数が小さいから」という理由だけで屋内の緩和基準を屋上にも適用してしまう誤解が起きやすい場所です。
最後に、ここまでの基準を実務でどう確認すればよいかを整理します。
屋上に置けば、さっきの空地三メートルの基準でいいんですよね。
いいえ、屋上設置は別の基準が適用されます。
次はよくある質問を確認しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に、実務で確認すべきポイントを整理します。
- 消費する危険物の引火点が四十度以上の第四類で、指定数量の倍数が三十未満かを確認する
- ボイラーやバーナーへの燃料供給を自動的に遮断する装置が設けられているかを確認する
- 危険物を取り扱うタンクの容量が指定数量未満に収まっているかを確認する
- 指定数量の倍数が十未満であれば、囲いと空地のどちらの方式を選ぶかを検討する
- 屋上に設置する計画がある場合は、屋内の基準を流用せず屋上専用の基準を個別に確認する
まずは引火点と指定数量の倍数という入り口の条件を満たしているかを確かめてください。
そのうえで、遮断装置とタンク容量という屋内の基本基準、必要なら空地方式への切り替え、屋上設置なら専用基準への対応と、段階を追って確認していきます。
自己判断が難しい場合は、所轄消防署や専門業者に図面を持参して相談するのが確実です。
一つずつ条件を積み上げていけば、無理のない形で特例を活用できます。
つまり、条件を一つずつ確認していけばいいんですね。
その通りです。
次はよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
うちのボイラー室の基準、当てはまるか確認してみます!
ボイラー等の特例基準について、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十四(特例を定めることができる一般取扱所)
- 危険物の規制に関する規則第二十八条の五十七(危険物を消費するボイラー等以外では危険物を取り扱わない一般取扱所の特例)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





