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民泊の消防法令適合通知書はどう交付されるのか|届出住宅の立入検査から様式2の発行までを解説

民泊の届出住宅の前に立ち消防法令適合通知書の交付準備を確認する人物

平成30年に住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行され、届出住宅は消防法施行令別表第1(5)項イの旅館・ホテルに準じる用途として扱われるようになりました。
消防庁はこの届出のたびに、消防法令への適合を確かめる「消防法令適合通知書」を交付する手続きを全国の消防機関に示しています。
交付までの流れや対象範囲を知らないまま窓口に来る事業者も多く、消防機関側の準備が欠かせません。
消防法令適合通知書は、届出住宅の安全を裏づける最初の関門です。

うちのマンション、一室を民泊の届出住宅にしたいって管理会社から相談が来たんですけど、消防法令適合通知書って必ず要るんですか。

実は法令上の必須書類ではないんです。
ただガイドラインが届出時にあわせて出すよう求めていて、多くの自治体で運用されています。

じゃあ出さなくても届出は通るってことですか。

はい、間に合わなければ後から提出しても差し支えないとされています。
ただし立入検査を受けて中身を整えておく必要があるのは変わりません。

この記事の結論
  • 民泊(住宅宿泊事業)の届出住宅は、消防法令適合通知書の交付申請を通じて消防機関の立入検査を受ける仕組みになっています。
  • 交付申請は様式1で行い、消防機関が調査したうえで様式2で交付します。
  • 対象範囲は交付申請がなされた部分と、そこからの避難経路にあたる部分に限られます。
  • マンション等で複数の管理権原者がいる場合、他の部分の違反で交付できないこともあります。
  • 消防法令適合通知書は法令上の必須書類ではなく、間に合わなければ後から提出しても差し支えありません

民泊の届出住宅への交付手続きの流れを示す図解(申請・立入検査・交付・対象範囲)

民泊の消防法令適合通知書はなぜ交付されるようになったのか

民泊の届出住宅の玄関に立つスーツケースと、認定証を差し出す人物
平成30年に住宅宿泊事業法が施行され、住宅を使った民泊が全国で急増しました。
消防庁はその届出のたびに、消防法令への適合を確かめる手続きを整える必要に迫られました。
住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について(平成29年3月17日 消防予第389号) 住宅に係る消防法令適合通知書の交付申請があった場合は、下記により交付していただくようお願いします。(略)都道府県知事等は、届出住宅が消防法令に適合していることを担保し、住宅宿泊事業の適正な運営を確保する目的から、消防法令適合通知書を届出時にあわせて提出することを求めることとされています。
民泊の届出住宅は、消防に確かめてもらって初めて安心材料になります。
住宅宿泊事業法が施行されるまで、宿泊サービスを提供する住宅の多くは消防検査を経ないまま営業していました。
ホテルや旅館は建築段階から令別表第1(5)項イの防火対象物として消防検査を受けますが、既存の住宅を転用する民泊はその手続きを踏んでいません。
そこで国のガイドラインが、届出時に消防法令適合通知書をあわせて提出するよう求め、消防庁が交付の実務を通知で整えました。
届出を受け付ける都道府県等の窓口と、通知書を交付する消防機関、この二段構えで安全性を確かめる仕組みです。

民泊の届出住宅かどうかって外から見ただけじゃ分からないですよね。
なんでわざわざ消防の通知書まで要るんですか。

ホテルや旅館と違って、住宅は最初から消防検査を受けていないからです。
だから届出のタイミングで改めて確かめる仕組みが作られました。

どの届出住宅が交付の対象になるのか

建物の一室と避難経路だけを色分けした間取りの図
交付の対象になるのは建物全体ではなく、届出をした部分に絞られます。
マンションの一室だけを民泊にする場合も、対象範囲の考え方は同じです。
住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付に係る運用の細部事項(別紙) 届出住宅が防火対象物の一部に存する場合の消防法令適合通知書の対象範囲は、当該消防法令適合通知書の交付申請がなされた届出住宅の部分及び当該部分からの避難経路に係る部分(以下「申請部分」という。)とすること。
住宅宿泊事業法第3条第1項 都道府県知事(略)に住宅宿泊事業を営む旨の届出をした者は、旅館業法第3条第1項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができる。
対象になるのは部屋そのものと、そこから逃げる経路までです。
届出をするのは住宅宿泊事業法第3条第1項又は第4項に基づく事業者で、住宅ごとに手続きが必要です。
分譲マンションの一室だけを届出住宅にする場合、消防機関が確かめるのはその部屋と、廊下や階段など避難のために通る部分に限られます。
建物全体の設備まで一度に交付対象へ広げるわけではなく、あくまで「申請部分」という線引きがあります。
この線引きを知らずに窓口に来ると、確認範囲の説明で行き違いが起きやすくなります。

うちのマンション、届出住宅にするのは301号室だけなんですが、それでも建物全部の設備を消防にチェックされるんですか。

いいえ、対象は301号室とそこからの避難経路に限られます。
ただし建物全体に関わる違反があると、交付に影響することもあります。

交付までにどんな手続きが必要になるのか

申請書と、立入検査を行う人物、交付される証書
交付までの流れは、申請・調査・交付の三段階で決まっています。
どの段階も様式に沿って進むので、事前に流れを知っておくと窓口でのやり取りが早くなります。
住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について(平成29年3月17日 消防予第389号) 1 法第3条第1項又は同条第4項に基づく届出を行う場合に添付される消防法令適合通知書の交付申請は、別記様式第1により行うものとする。2 (略)消防機関は立入検査等を実施することにより、消防法令への適合状況について調査すること。3 2の結果に基づき、別記様式第2により消防法令適合通知書を交付すること。また、交付できない場合は、その旨及びその理由を当該消防法令適合通知書の申請者に回答すること。
申請・立入検査・交付の三段階で書類が固まっていきます。
まず事業者が様式1で交付を申請し、消防機関がその住宅に対して立入検査等を実施します。
調査の結果、消防法令に適合していれば様式2の通知書が交付され、適合しない場合はその理由が申請者に回答されます。
届出住宅の用途は、平成29年消防予第330号の通知に沿って令別表第1(5)項イか住宅としての扱いかが判定され、その判定を踏まえて調査が進みます。
様式を先に整えておくほど、立入検査から交付までの日数が短くなります。

立入検査で引っかかったら、通知書はもらえないままなんですか。

その場合は交付されず、理由が説明されます。
指摘された箇所を直したうえで、改めて申請することになります。

交付までの手続きで見落としやすいのはどこか

一つの建物に並ぶ複数の鍵付きの扉と禁止マーク
通知書には、法令の必須書類ではないという意外な性格があります。
建物の権利関係が複雑な場合の扱いも、あらかじめ知っておく価値があります。
住宅宿泊事業の届出に係る受付事務の迅速な処理等について(平成30年7月13日 消防予第463号) 消防法令適合通知書の提出については、法令で定められた必須事項ではないが、ガイドラインにおいて(略)届出時にあわせて提出するよう求めている。しかしながら、届出受付時に同通知書の提出が間に合わなかった場合であっても、届出を受け付けた上でその他の事項についての確認作業を進めつつ、届出の受理までに同通知書が提出され消防法令への適合が確保されるのであれば、差し支えない。
住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付に係る運用の細部事項(別紙) 防火対象物全体についての防火管理や消防用設備等の機能等に違反があるなど、申請部分に直接関係する事項が消防法令に適合しないことにより通知書を交付できない場合で、当該防火対象物に複数の区分所有者が存するときや、複数の管理権原者が存するときは、特に、申請者に対して、その旨及びその理由を具体的かつ丁寧に回答されたいこと。
通知書は必須提出物ではなく、間に合わなくても道は残っています。
消防法令適合通知書は法令上の必須事項ではありません。届出そのものはガイドライン上の運用として求められているだけです。
届出の受付時に間に合わなくても、受理までに提出して適合が確保されれば差し支えないとされています。
一方で、分譲マンションのように複数の管理権原者がいる建物では、自分の部屋以外の違反が原因で交付が止まることもあります。
その場合は理由が具体的に説明されるので、管理組合など建物全体の関係者と早めに情報を共有しておくことが欠かせません。

うちの部屋はきちんとしてるつもりですが、他の部屋の違反のせいで通知書がもらえないこともあるんですか。

あり得ます。
ビル全体の防火管理や共用設備に違反があると、部屋単体が問題なくても交付できない場合があります。

明日から何を確認すればよいのか

チェックリストを持つ手と封筒、ノートパソコン
交付までの流れが分かれば、事前に準備しておくことも見えてきます。
届出住宅の関係者は、次の点から確認を始めるとスムーズです。
住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について(平成29年3月17日 消防予第389号) その他運用の細部事項は、別紙を参考とし、必要に応じて、都道府県等において住宅宿泊事業を担当する部局及び関係行政機関と調整されたいこと
まず様式1の準備と対象範囲の確認から始めます。
交付申請に使う様式1の記載事項を早めにそろえ、届出住宅とその避難経路にあたる部分を自分で把握しておきます。
マンション等では管理組合を通じて複数の管理権原者がいないかを確認し、必要なら建物全体の防火管理状況もあわせて点検します。
郵送や電子メールでの受付、説明会の開催など、消防機関ごとに窓口対応の工夫が進んでいるので、所轄消防署に問い合わせておくと手続きが早まります。
判断に迷う点や書類の整理は、㈱防災屋にご相談いただくこともできます。

立入検査までに何を用意しておけば一番スムーズですか。

様式1の記載内容と、避難経路まで含めた部屋の状態を先に整えておくことです。
複数の所有者がいる建物なら、管理組合にも早めに声をかけておきましょう。

よくある質問

Q消防法令適合通知書は必ず提出しなければなりませんか?
A必須事項ではありません。ガイドラインに基づく運用上の求めで、届出の受理までに提出し適合が確保されれば、受付時に間に合わなくても差し支えないとされています。
Q交付までにどんな書類が必要になりますか?
Aまず様式1で交付申請を行います。消防機関の立入検査等を経て適合が確認されると、様式2の通知書が交付されます。
Qマンションの一室だけを届出住宅にする場合、建物全体が検査されますか?
Aいいえ。対象範囲は交付申請がなされた部分と、そこからの避難経路にあたる「申請部分」に限られます。ただし建物全体に関わる違反があると交付に影響することがあります。
Q複数の管理権原者がいる建物では、通知書はどう扱われますか?
A申請した部屋以外の違反が原因で交付できない場合、その旨と理由が申請者に具体的に回答されます。管理組合など関係者との早めの情報共有が欠かせません。

まとめ

民泊(住宅宿泊事業)の届出住宅には、消防法令適合通知書を交付する仕組みが用意されています。
通知の名称は「住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について」(平成29年3月17日 消防予第389号)です。
交付申請は様式1、交付の通知書は様式2で行われます。
対象範囲は届出住宅の部分と、そこからの避難経路にあたる「申請部分」に限られます。
消防法令適合通知書は法令上の必須書類ではありません
届出の受理までに提出し適合が確保されれば、受付時に間に合わなくても差し支えないとされています。
複数の管理権原者がいる建物では、他の部分の違反が交付に影響することがあります。

まず様式1の準備と、避難経路まで含めた部屋の状態を確認してみます!

消防法令適合通知書の準備や複数の管理権原者との調整でお困りの際は、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について(平成29年3月17日 消防予第389号 消防庁予防課長)
  • 住宅宿泊事業の届出に係る受付事務の迅速な処理等について(平成30年7月13日 消防予第463号)
  • 住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて(平成29年10月27日 消防予第330号)
  • 住宅宿泊事業法第3条
  • 消防法施行令別表第1(5)項イ

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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