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給油取扱所の尿素水溶液供給機はなぜ点検整備設備と別の基準になるのか|給油空地内に設置する場合の追加要件も解説

給油取扱所の敷地で尿素水溶液供給機の設置状況を巻き尺とチェックリストで確認する担当者の写真

給油取扱所には、点検整備設備や混合燃料油調合器のほかにも「尿素水溶液供給機」を附随設備として置くことができます。
排出ガス処理用の尿素水溶液そのものは危険物ではありませんが、供給機の設置基準は危険物の規制に関する規則にきちんと定められています。
しかも位置の基準は距離表を持たず、給油空地の内側に置くかどうかで求められる要件が変わります。
尿素水溶液供給機の設置基準を、条文に沿って整理します。

尿素水溶液は危険物じゃないから、規制の対象外だと思っていました。

供給機は給油取扱所の附随設備として規制されます。
順番に確認していきましょう。

点検整備設備みたいに距離の表があるんでしょうか。

そこが点検整備設備との大きな違いです。
この記事で詳しく見ていきます。

この記事の結論
  • 尿素水溶液供給機は給油取扱所の附随設備として規則に独立した号(第四号)で定められています
  • 尿素水溶液自体は非危険物でも、供給機の設置基準は危険物の規制に関する規則の枠組みの中に定められています
  • 位置の基準は「給油に支障がない場所」という定性的な基準のみで、点検整備設備のような具体的な距離表はありません
  • 給油空地内に設置する場合は、自動車等の衝突を防止する措置と堅固な基礎への固定が必要です
  • 給油空地のに設置する場合は、この衝突防止と固定の要件は適用されません

尿素水溶液供給機の設置基準を示す図解。給油に支障がない場所を選ぶ、距離表は無く定性的な基準のみ、給油空地内なら衝突防止と固定が必要、空地外ならこの要件は適用されないの四段階を示す

尿素水溶液供給機はなぜ点検整備設備と別の基準になるのか

給油取扱所の敷地に点検整備設備や混合燃料油調合器と並んで尿素水溶液供給機が設置されている様子
大型トラックなど、軽油とは別に排出ガス処理用の尿素水溶液を補給する車両が増えています。
給油取扱所にその供給機を置く場合も、消防法令上の附随設備として扱われます。
危険物の規制に関する政令第十七条第一項第二十二号 自動車等の洗浄を行う設備その他給油取扱所の業務を行うについて必要な設備は、総務省令で定めるところにより設けること。危険物の規制に関する規則第二十五条の五第一項 (略)給油取扱所の業務を行うについて必要な設備は、自動車等の洗浄を行う設備、自動車等の点検・整備を行う設備、混合燃料油調合器、尿素水溶液供給機及び急速充電設備とする。
附随設備は五種類あり、尿素水溶液供給機はそのうちの独立した一種類です。
洗浄設備・点検整備設備・混合燃料油調合器・急速充電設備と並んで、尿素水溶液供給機も規則が個別に基準を定める対象になっています。
点検整備設備は固定給油設備からの距離表と道路境界線からの距離を条文で数値化していますが、尿素水溶液供給機の基準はそれとは違う形で定められています。
「附随設備だから同じような距離基準があるはず」という思い込みは、この後の号を読むと外れます。
次の見出しから、尿素水溶液供給機だけの位置基準を具体的に見ていきます。

附随設備が五種類もあるとは知りませんでした。
それぞれ基準が違うんですね。

種類ごとに条文の号が分かれています。
次は尿素水溶液供給機だけの位置基準です。

尿素水溶液供給機の位置基準はどう決まるのか

給油の妨げにならない場所に尿素水溶液供給機が置かれている様子
点検整備設備や混合燃料油調合器には、固定給油設備や道路境界線からの数値基準がありました。
尿素水溶液供給機の位置基準は、これらとはまったく違う書き方になっています。
危険物の規制に関する規則第二十五条の五第二項第四号イ 位置は、給油に支障がない場所であること。
条文が求めているのは「給油に支障がない場所」という一文だけです。
点検整備設備のような固定給油設備からの距離表も、混合燃料油調合器のような一メートル・四メートルという数値も、尿素水溶液供給機の条文には出てきません。
数値基準が無いぶん、給油作業や車両の動線を妨げないかという実質的な判断が求められます。
数値が無いからといって「どこに置いてもよい」という意味ではなく、給油に支障が出ないかを個別に確認する必要があります。
この定性的な基準だけで足りるのか、次の見出しで追加要件を確認します。

数値が無いなら、どこに置いても自由なんでしょうか。

置き場所によっては、もう一つ要件が加わります。
次に見ていきましょう。

給油空地内に設置する場合は何が必要になるのか

給油空地内に設置され自動車の衝突を防ぐガードと堅固な基礎を備えた尿素水溶液供給機
給油空地は自動車が出入りする場所なので、その内側に設備を置くなら別の配慮が要ります。
条文は「給油空地内」に置く場合だけ、追加の要件を定めています。
危険物の規制に関する規則第二十五条の五第二項第四号ロ 給油空地内に設置する場合は、自動車等の衝突を防止するための措置を講ずるとともに、堅固な基礎の上に固定すること。
要件が発生するかどうかは、給油空地の内側か外側かで決まります。
給油空地内に尿素水溶液供給機を置く場合は、自動車等の衝突を防止するための措置堅固な基礎の上への固定の両方が必要です。
車両が行き交う空地に置く以上、接触や乗り上げを防ぐガード類と、動かない固定が欠かせないという発想です。
一方、給油空地の(事務所脇や敷地の隅など)に置く場合は、このロ号の要件は適用されません。
設置場所を給油空地の内外どちらにするかで、必要な工事の中身が変わる点を先に押さえておきましょう。

うちは給油空地のすぐ横に置く予定でした。
ガードと固定、両方いるんですね。

給油空地の内側なら両方とも必須です。
次は非危険物との関係を見ていきます。

非危険物なのになぜ規制の対象になるのか

危険物タンクの給油設備と尿素水溶液供給機が同じ給油取扱所の敷地内に並ぶ様子
排出ガス処理用の尿素水溶液そのものは、危険物には該当しません。
それでも供給機は、危険物の規制に関する規則の対象からは外れません。
危険物の規制に関する規則第二十五条の五第一項 (略)給油取扱所の業務を行うについて必要な設備は、自動車等の洗浄を行う設備、自動車等の点検・整備を行う設備、混合燃料油調合器、尿素水溶液供給機及び急速充電設備とする。
規制がかかるのは、尿素水溶液そのものではなく給油取扱所という場所の性質です。
条文は尿素水溶液供給機を附随設備の一つとして名指しで列挙しており、扱う液体が危険物かどうかは規制の入口に関係しません。
給油取扱所は危険物を大量に取り扱う施設であり、そこに置く設備である以上、中身が非危険物でも規則の対象になります。
「非危険物だから届出や基準は関係ない」という判断で設置を進めると、給油空地内での衝突防止措置や固定を見落としかねません。
供給する液体の性質ではなく、置く場所と設備の種類で基準の有無が決まる点を覚えておきましょう。

非危険物だから何もいらないと思い込むところでした。

そこがまさに見落としやすいポイントです。
設置前に条文の号まで確認してください。

尿素水溶液供給機の基準を確認するには何をすればよいか

巻き尺とチェックリストで尿素水溶液供給機の設置状況を確認する担当者
新しく尿素水溶液供給機を導入するときも、既存の設備を見直すときも、確認すべき順番は同じです。
条文の号に沿って、位置と設置場所の二段階でチェックします。
危険物の規制に関する規則第二十五条の五第二項第四号 尿素水溶液供給機 イ 位置は、給油に支障がない場所であること。ロ 給油空地内に設置する場合は、自動車等の衝突を防止するための措置を講ずるとともに、堅固な基礎の上に固定すること。
確認は二段階です。
まず給油に支障がない場所かどうかを、給油作業の動線と照らして確認します。
次に、その場所が給油空地の内側にあたるかを図面と現地の両方で確認します。
給油空地内であれば、衝突防止の措置と堅固な基礎への固定ができているかを実際に見て回ります。
判断に迷う配置があれば、工事に着手する前に所轄消防署へ相談しておくと安心です。

二段階で見ればいいなら、うちでも確認できそうです。

迷ったら図面だけで判断せず現地も見てください。
㈱防災屋でもご案内できます。

よくある質問

Q尿素水溶液供給機はアイランド上に設置できますか?
A規則第二十五条の五第二項第四号は設置場所を「給油に支障がない場所」とだけ定めており、アイランド上か地上かを条文で区別していません。ただし給油空地内にあたる場合は衝突防止措置と固定が必要になるため、位置ごとに要件を確認してください。
Q給油空地の内側と外側は何で見分ければよいですか?
A給油空地は固定給油設備のホース等で給油できる範囲として敷地図に示されています。設置予定地が図面上のどの範囲にあたるかを、まず敷地図で確認してください。
Q尿素水溶液供給機と点検整備設備は同じ場所に置けますか?
Aそれぞれ条文の号が別のため、同じ場所に置く場合も両方の基準を別々に満たす必要があります。点検整備設備の距離表と尿素水溶液供給機の位置基準を、それぞれ確認してください。
Q衝突を防止する措置とは具体的に何を指しますか?
A条文は具体的な工法までは指定していません。車両の接触から設備を守れるガードやポール等の措置が講じられているかどうかで判断します。導入前にメーカーや施工業者に相談してください。

まとめ

尿素水溶液供給機は給油取扱所の附随設備の一つとして規則に独立した号で定められています
尿素水溶液自体は非危険物でも、供給機の設置基準は危険物の規制に関する規則の対象になります
位置の基準は「給油に支障がない場所」という一文のみで、点検整備設備のような距離表はありません
給油空地内に設置する場合は、自動車等の衝突を防止する措置と堅固な基礎への固定が必要です
給油空地のに設置する場合は、衝突防止と固定の要件は適用されません
「非危険物だから規制対象外」という思い込みで設置を進めると、給油空地内での衝突防止措置を見落としかねません
設置前に位置と給油空地の内外を二段階で確認し、迷ったら所轄消防署に相談してください

うちの尿素水溶液供給機、給油空地の内側かどうか確認します!

非危険物の設備でも見落としやすい基準があります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令第十七条
  • 危険物の規制に関する規則第二十五条の五

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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