危険物を取り扱う事業所の多くは、自社の車両専用の給油取扱所を敷地内に持っています。
一般向けに販売する給油取扱所とは違い、この「自家用」の枠には、基準が緩む部分と上乗せされる部分の両方があります。
ガソリンと軽油灯油では詰め替え作業の扱いも変わり、CNGや水素の充てん設備を足すとまた別の条文が関わってきます。
この入り組んだ基準を、根拠となる条文から順に確認していきます。
うちは自社のトラックに給油するだけの小さいスタンドがあるんですが、普通の給油取扱所と同じ基準になるんですか。
実は自家用だと基準が緩む部分があります。
ガソリンと軽油でも扱いが違うと聞きました。
号ごとに詰め替えの範囲が変わります。
順番に条文を見ていきましょう。
- 危険物の規制に関する規則第二十八条は、自社の車両にだけ給油する自家用給油取扱所の基準の特例を定めています
- ガソリンは所有者等の容器への詰め替えだけが認められます
- 軽油や灯油は容器に加えて、車両に固定した四千リットル以下のタンクへの注入も認められます
- 自家用なら間口奥行の長さ基準や簡易タンク設置地域の制限が適用されません
- CNGや水素の充てん設備を足すと、屋内外に応じた別の基準への適合が新たに必要になります
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目次
自家用給油取扱所とはどんな給油取扱所を指すのか

この形態には、通常の給油取扱所とは別の基準が用意されています。
不特定多数に販売する一般の給油取扱所とは、この一点で立場が違います。
条文が定めているのは、あくまで所有者等の自動車等への給油であり、他人の車両への給油は想定されていません。
ただし直接給油だけでなく、次に掲げる作業まで行える取扱所として位置づけられている点が見落とされがちです。
この「次に掲げる作業」が、次の号一・号二にあたります。
うちのスタンドは社用車にしか給油していませんが、それだけで自家用として扱われるんでしょうか。
専ら自社の車両への給油であれば該当します。
次は詰め替え作業の違いを見てみましょう。
ガソリンと軽油灯油ではなぜ詰め替え作業の扱いが分かれるのか

ただしガソリンと軽油・灯油とでは、認められる範囲がそもそも違います。
号一ではガソリンは所有者等の容器への詰め替えに限られ、タンクへの注入は認められていません。
軽油はガソリンと違い、容器に加えて車両固定の四千リットル以下のタンクへの注入まで認められます。
号二では灯油と軽油がまとめて扱われ、注油設備からの詰め替え・注入の両方が認められています。
二千リットルを超えるタンクは内部を二千リットルごとに仕切ることが条件になるため、タンクの構造も合わせて確認が必要です。
軽油ならタンクに直接注入していいけど、ガソリンは容器だけということですか。
そのとおりです。
次は自家用ならではの基準緩和を見てみましょう。
自家用だとどんな基準の適用が除外されるのか

一般の給油取扱所に求められる基準の一部が、そもそも適用されません。
一般の給油取扱所には敷地の間口及び奥行の長さに最低限の基準がありますが、自家用にはこの制限がありません。
簡易タンクを設置できる地域の制限も同様に外れるため、設置場所の自由度が広がります。
ただしこの緩和が及ぶのは、この後で見るCNGや水素の充てん設備を設けない場合に限られます。
つまり緩和は無条件ではなく、設備の中身によって適用範囲が変わる点に注意が必要です。
うちの敷地は狭いんですが、自家用なら間口の基準を気にしなくていいんですね。
基本的にはその通りです。
ただし設備を足すと話が変わります。
CNGや水素の充てん設備を足すとなぜ基準がまるごと変わるのか

CNGや水素の充てん設備を設ける自家用給油取扱所は、また別の条文に従う必要があります。
圧縮天然ガス等の充てん設備であれば、屋内か屋外かに応じて第二十七条の三または第二十七条の四に適合する必要があります。
水素の充てん設備は屋内・屋外どちらでも認められるわけではなく、屋内給油取扱所以外であることが条件です。
つまり同じ自家用給油取扱所でも、水素を選ぶかCNGを選ぶかで、屋内に設置できるかどうかが変わります。
設備を追加する計画があるときは、この非対称性を必ず確認しておく必要があります。
水素の設備は屋内に置いてある今のスタンドにそのまま追加できますか。
屋内給油取扱所には設置できません。
最後に確認の手順を見ておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

自社の給油取扱所がこの枠に入っているかどうかを、まず確認するところから始めます。
次に、間口奥行や簡易タンクの緩和を受けているかどうかを、設計図面や許可書類で照らし合わせます。
CNGや水素の充てん設備を設ける計画があるときは、屋内か屋外かによって適合すべき条文が変わることを事前に確認してください。
判断に迷う場合は、変更許可の申請前に所轄消防署へ相談するのが確実です。
これらを整理しておけば、増設や設備更新の際にも慌てずに対応できます。
うちも号二の詰め替えをしているので、まずそこを確認してみます。
その確認から始めれば十分です。
次によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
自社の給油取扱所がどの区分にあたるか整理できました。
設備の追加や更新のご相談もお受けしています。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十八条
- 危険物の規制に関する政令第十七条第三項
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





