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製造所のタンクはなぜ貯蔵所と同じ基準になるのか|配管の水圧試験と電動機の取付け位置も解説

タンクと配管は貯蔵所と同じ基準になることを示すアイキャッチ画像

危険物を扱う製造所には、機械器具や電気設備だけでなく、タンクと配管、そして電動機やポンプといった動力設備の基準も定められています。
これらは政令第九条第一項の最後の三つの号(二十号・二十一号・二十二号)にまとめられており、タンクは容量によって対象外になることもあれば、貯蔵所の基準をそのまま借りてくることもあります。
配管には水圧試験や劣化・変形への耐性など複数の技術基準があり、電動機やポンプの設置位置にも独立した基準が置かれています。
この記事では製造所のタンク・配管・電動機等がそれぞれ何を満たす必要があるのかを条文にそって整理します

うちの製造所には屋外にタンクと配管があるんですが、貯蔵所と同じ基準になるんでしょうか。

タンクの位置や構造は、屋外・屋内・地下のどれに当たるかで貯蔵所の基準がそのまま準用されます。
配管にも水圧試験など独自の基準があるので、順番に見ていきましょう。

配管は水圧試験さえ通っていれば十分なんですか。

水圧試験は基準のひとつに過ぎません。
劣化や変形への耐性、地下に埋めた場合の点検方法まで、号の中でいくつも定められています。

この記事の結論
  • 政令第九条第一項の二十号から二十二号は、製造所のタンク・配管・電動機等の基準を定めています。
  • 容量が指定数量の五分の一未満のタンクは、この基準の対象から外れます。
  • タンクの位置・構造・設備は、屋外・屋内・地下の別に応じて貯蔵所の基準を準用します。
  • 配管は水圧試験・劣化への耐性・熱による変形への耐性など複数の基準を満たす必要があります。
  • 電動機やポンプ・弁・継手等は、火災の予防上支障のない位置に取り付けます。

製造所のタンクと配管と電動機等の基準をまとめた図解

製造所のタンクや配管はどの基準でまとめられているのか

製造所の建物とタンク配管電動機をまとめて示すイラスト
危険物を取り扱う製造所の技術基準は、政令第九条第一項に二十二の号として並んでいます。
その最後の三つの号が、タンク・配管・電動機等をまとめて受け持っています。
(政令第九条第一項第二十号)危険物を取り扱うタンク(屋外にあるタンク又は屋内にあるタンクであつて、その容量が指定数量の五分の一未満のものを除く。)の位置、構造及び設備は、次によること。
小さなタンクは対象から外れます。
号の冒頭のかっこ書きは、屋外タンクと屋内タンクのうち容量が指定数量の五分の一未満のものを、この号の基準から除外すると定めています。
つまり同じ製造所の中でも、タンクの大きさによって適用される基準の有無が変わるということです。
ここで対象から外れるのはあくまで第二十号の位置・構造・設備の基準であり、配管や電動機の基準(二十一号・二十二号)まで免除されるわけではありません。
まずはタンクの容量を確認するところから始まります。

うちのタンクは小さいので、それなら基準は関係ないってことですか。

第二十号の基準からは外れますが、配管や電動機等の基準は容量に関係なく適用されます。
タンクが小さいから安心、とはならないので注意してください。

タンクの基準はなぜ貯蔵所と同じになるのか

屋外タンクと防油堤を示すイラスト
二十号のイからハまでは、タンクを屋外・屋内・地下の三つに分けています。
それぞれの区分ごとに、参照する条文が変わります。
(政令第九条第一項第二十号)イ 屋外にあるタンクの構造及び設備は、第十一条第一項第四号(特定屋外貯蔵タンク及び準特定屋外貯蔵タンクに係る部分を除く。)、第五号から第十号まで及び第十一号から第十二号までに掲げる屋外タンク貯蔵所の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの構造及び設備の例によるほか、液体危険物タンクであるものの周囲には、総務省令で定めるところにより、危険物が漏れた場合にその流出を防止するための総務省令で定める防油堤を設けること。ロ 屋内にあるタンクの構造及び設備は、第十二条第一項第五号から第九号まで及び第十号から第十一号までに掲げる屋内タンク貯蔵所の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの構造及び設備の例によるものであること。ハ 地下にあるタンクの位置、構造及び設備は、第十三条第一項(第五号、第九号の二及び第十二号を除く。)に掲げる地下タンク貯蔵所の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの位置、構造及び設備の例によるものであること(略)。
製造所のタンクは、独自の基準を持ちません。
屋外にあるタンクなら屋外タンク貯蔵所(第十一条)、屋内にあるタンクなら屋内タンク貯蔵所(第十二条)、地下にあるタンクなら地下タンク貯蔵所(第十三条)の基準を、それぞれそのまま準用する仕組みになっています。
つまり製造所の中にタンクを置くと、そのタンクだけは貯蔵所と同じ規制を受けることになります。
屋外の液体危険物タンクにはさらに、防油堤の設置義務が上乗せされます。
どの区分に当たるタンクかを最初に確認することが、基準を読み違えないための出発点です。

タンクだけ貯蔵所の基準を借りてくるって、ちょっと意外です。

製造所全体は製造所の基準で規制されますが、タンクという設備単体は貯蔵所の基準のほうが実態に合っているという考え方です。
屋外か屋内か地下かで参照条文が変わるので、まずそこを確認してください。

配管はどんな試験と措置を満たす必要があるのか

配管の水圧試験を示すイラスト
二十一号は、配管そのものの強度や耐久性を細かく定めています。
イからトまで七つの基準が並びます。
(政令第九条第一項第二十一号)配管は、その設置される条件及び使用される状況に照らして十分な強度を有するものとし、かつ、当該配管に係る最大常用圧力の一・五倍以上の圧力で水圧試験(水以外の不燃性の液体又は不燃性の気体を用いて行う試験を含む。)を行つたとき漏えいその他の異常がないものであること。配管は、取り扱う危険物により容易に劣化するおそれのないものであること。配管は、火災等による熱によつて容易に変形するおそれのないものであること(ただし、当該配管が地下その他熱により悪影響を受けるおそれのない場所に設置される場合を除く。)。配管を地下に設置する場合には、配管の接合部分(溶接その他危険物の漏えいのおそれがないと認められる方法により接合されたものを除く。)について当該接合部分からの危険物の漏えいを点検することができる措置を講ずること。配管に加熱又は保温のための設備を設ける場合には、火災予防上安全な構造とすること。
配管は最大常用圧力の一・五倍以上の水圧試験に耐えなければなりません。
これに加えて、扱う危険物によって劣化しないこと、火災の熱で簡単に変形しないことも求められます。
地下に埋める配管は、接合部分から漏れていないかを点検できる措置まで求められる点が特徴です。
配管を加熱したり保温したりする設備を付ける場合も、火災予防上安全な構造でなければなりません。
外面の腐食防止や支持物の強度計算といった細目は、総務省令が号ごとに別途定めています。

水圧試験さえ通れば配管は大丈夫だと思っていました。

水圧試験は基準のひとつに過ぎません。
劣化や変形への耐性、地下配管なら漏えい点検の方法まで、あわせて確認する必要があります。

電動機やポンプの取付け位置はなぜ見落とされやすいのか

電動機とポンプの設置位置を示すイラスト
二十二号は一文だけの短い規定です。
短いぶん、読み飛ばされやすい号でもあります。
(政令第九条第一項第二十二号)電動機及び危険物を取り扱う設備のポンプ、弁、継手等は、火災の予防上支障のない位置に取り付けること。
この号は電動機・ポンプ・弁・継手等という、動きや接続部分を持つ機器をまとめて対象にしています。
条文自体は具体的な離隔距離を示さず、「火災の予防上支障のない位置」という言い方にとどめています。
数値がない基準ほど、設計段階での判断が甘くなりがちです。
タンクや配管のような大きな設備の基準に気を取られていると、この一文だけの号を見落としたまま図面を確定してしまうことがあります。
電動機やポンプの配置図は、他の設備と同じ重みで確認する必要があります

たしかに配管や壁の位置ばかり気にして、ポンプの置き場所までは見ていませんでした。

電動機やポンプ、弁や継手は火花や発熱の原因になりやすい機器です。
設置位置も設計図の確認項目に必ず加えてください。

明日からタンクと配管のある製造所は何を確認すればよいのか

点検者がタンクと配管を確認するイラスト
ここまでの三つの号を、実際の確認作業に落とし込みます。
扱う危険物の種類によっては、さらに特例が用意されていることもあります。
(政令第九条第二項)引火点が百度以上の第四類の危険物(以下「高引火点危険物」という。)のみを総務省令で定めるところにより取り扱う製造所については、総務省令で、前項に掲げる基準の特例を定めることができる。
ここまでの基準は、危険物であれば一律に適用されるのが基本です。
ただし高引火点危険物のみを扱う製造所には、総務省令で特例が用意されています。
確認する順番は、タンクの容量と設置区分、配管の試験記録、電動機等の設置位置、そして扱う危険物が高引火点危険物に当たるかどうかです。
図面と記録の両方を突き合わせて、号ごとに抜け漏れがないかを一つずつ潰していきます。
迷ったら号の番号に立ち返り、条文の要求と現物を照らし合わせることが近道です

高引火点危険物だけなら特例があるっていうのは知りませんでした。

扱う危険物の引火点によっても基準が変わることがあります。
該当しそうなら所轄の消防署に確認してみてください。

よくある質問

Qタンクの容量が指定数量の五分の一未満なら、他の基準も一切適用されないのですか?
Aいいえ。免除されるのは第二十号の位置・構造・設備の基準だけで、配管の基準(二十一号)や電動機等の基準(二十二号)は容量に関係なく適用されます。
Q屋外にあるタンクと地下にあるタンクでは、確認すべき条文は変わりますか?
A変わります。屋外にあるタンクは第十一条(屋外タンク貯蔵所)、屋内にあるタンクは第十二条(屋内タンク貯蔵所)、地下にあるタンクは第十三条(地下タンク貯蔵所)の基準をそれぞれ準用するため、設置区分ごとに参照する条文が異なります。
Q配管の水圧試験は、設置するときに一度行えば終わりですか?
Aこの号が求めているのは設置段階の技術基準で、最大常用圧力の一・五倍以上の圧力で漏えい等がないことを確認するものです。設置後の点検は、消防法の別の規定(定期点検)で確認されます。
Q電動機やポンプの設置位置は、具体的に何メートル離せばよいと決まっていますか?
A政令自体は具体的な数値を定めておらず、「火災の予防上支障のない位置」という基準にとどめています。個別の配置は設計の中で所轄の消防機関と確認しながら判断します。

まとめ

政令第九条第一項の二十号から二十二号が、製造所のタンク・配管・電動機等の基準を定める。
容量が指定数量の五分の一未満のタンクは、第二十号の基準から外れる。
ただし配管や電動機等の基準は、タンクの容量に関係なく適用される。
タンクは屋外・屋内・地下の別に応じて、貯蔵所の基準(十一条〜十三条)を準用する。
屋外の液体危険物タンクには、さらに防油堤の設置が求められる。
配管は水圧試験・劣化への耐性・熱による変形への耐性など複数の基準を満たす。
電動機やポンプ・弁・継手等は、火災の予防上支障のない位置に取り付ける。

タンクと配管、それに電動機の位置まで一つずつ確認します!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第九条第一項第二十号・第二十一号・第二十二号、同条第二項
  • 危険物の規制に関する政令第十一条(屋外タンク貯蔵所の基準)・第十二条(屋内タンク貯蔵所の基準)・第十三条(地下タンク貯蔵所の基準)
  • 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第十三条の三(二十号防油堤)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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