危険物を貯蔵し、または取り扱う製造所・貯蔵所・取扱所を新しく設置するときや、既存の施設の位置・構造・設備を変えるときには、市町村長等への許可申請が欠かせません。
申請書に何を書くのか、変更許可の申請は設置許可の申請と何が違うのか、完成検査を受けたあとに何をもらえるのかは、あいまいなまま進めてしまいやすいところです。
とくに、完成検査を終えて交付される完成検査済証を紛失したり汚損したりしたときの再交付手続きは、日常の点検作業では出番が少なく、いざというときに慌てがちです。
この記事では、危険物の規制に関する政令第六条から第八条までの規定にもとづいて、設置許可・変更許可の申請書に書く事項と、完成検査済証を紛失・汚損したときの手続きの流れを解説します。
危険物の設備を増やす計画があるのですが、変更許可の申請って設置許可のときと同じ書類を出せばいいのでしょうか。
実は書く項目の数が違うんです。
設置許可の申請書は8つの事項を書きますが、変更許可の申請書は5つで済みます。
5つならしっかり書けそうです。
ただ、完成検査を受けたあとの証明書をなくしたらどうすればいいのか気になります。
完成検査済証は再交付を申請できます。
ただし汚したときとなくしたときで手続きが少し変わるので、順番に見ていきましょう。
- 設置許可の申請書には8つの事項を書き、位置・構造・設備の図面などを添付します。
- 変更許可の申請書には設置許可と共通する項目に加えて変更の内容と変更の理由を書きます。
- 完成検査に合格すると完成検査済証が交付されます。
- 完成検査済証を亡失・汚損・破損したときは再交付を申請できます。
- 亡失した完成検査済証を後で見つけたときは、10日以内に市町村長等へ提出します。
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目次
危険物施設の設置許可申請には何を書くのか

その許可を受けるための申請書に、具体的に何を書くのかを見ていきます。
氏名・名称・住所といった申請者の基本情報のほか、製造所等の別及び区分、設置の場所、貯蔵し、又は取り扱う危険物の類・品名・最大数量、指定数量の倍数、位置・構造・設備、貯蔵又は取扱いの方法、着工及び完成の予定期日までを書きます。
これらに加えて、位置・構造・設備に関する図面その他総務省令で定める書類も添付しなければなりません。
書く量は多く見えますが、施設の実態をそのまま申請書に落とし込むだけと考えると整理しやすくなります。
書く事項が8つもあると聞くと身構えてしまいます。
うちの施設の情報を並べるだけで大丈夫でしょうか。
基本的には施設の実態をそのまま書けば大丈夫です。
迷ったら指定数量の倍数の計算だけ先に済ませておくと進めやすいですよ。
変更許可の申請は設置許可の申請と何が違うのか

設置許可の申請書と何が違うのかを見ていきます。
氏名・名称・住所、製造所等の別及び区分、設置の場所までは設置許可と共通ですが、そこから先は変更の内容と変更の理由の二つに絞られます。
危険物の類や指定数量の倍数を書き直す欄はなく、あくまで変更する部分だけを説明する書類という位置づけです。
添付する図面も、施設全体ではなく変更に係る部分だけを示せば足ります。
変更のときは全部を書き直さなくていいんですね。
変更の理由まで書く必要があるとは知りませんでした。
はい、変更した部分だけを説明すれば大丈夫です。
ただし変更の理由を具体的に書かないと、審査で照会が来ることがあります。
完成検査を受けると何が交付されるのか

市町村長等の完成検査を受けて、基準に適合していることを確認してもらう必要があります。
申請を受けた市町村長等は遅滞なく検査を行う義務があり、施設をいつまでも待たせることはできません。
検査の対象は、製造所・貯蔵所・取扱所それぞれの区分に応じて政令が定める技術上の基準です。
この完成検査済証は、施設を実際に使い始めるための最後の関門であり、大切に保管しておく書類になります。
検査に合格したら、それで手続きは終わりということですね。
証明書はどこかにしまっておけば十分でしょうか。
基本的にはそれで完了です。
ただ、この完成検査済証をなくしたときの手続きも知っておくと安心です。
完成検査済証をなくしたらどうするのか

汚したりなくしたりしたときにどうすればよいのかを確認しておきましょう。
汚したり破いたりしたときは、申請書にその完成検査済証を添えて提出する点が、単純になくした場合と違うところです。
見落としやすいのは、なくしたと思って再交付を受けたあとに、もとの完成検査済証が見つかった場合です。
このときは10日以内に、再交付をした市町村長等へ古いほうを提出しなければなりません。
汚れただけでも再交付が必要なんですか。
古い証明書はどうすればいいのでしょうか。
汚損・破損のときは古い証明書を添えて申請します。
なくした後で見つかった場合は10日以内の提出を忘れないようにしてください。
申請書を出す前に何を確認すればよいのか

添付書類までそろっているかを、出す前に確認しておきましょう。
総務省令は、構造及び設備明細書のほか、消火設備や火災報知設備を設ける場合はその設計書も添付するよう定めています。
変更許可のときは、施設全体ではなく変更に係る部分だけを記載すればよい点も忘れずに確認します。
出す前に一つずつ照らし合わせておくと、審査での差し戻しを減らせます。
- 構造及び設備明細書を添えたか確認する。
- 消火設備を設ける場合は、その設計書を添えたか確認する。
- 火災報知設備を設ける場合は、その設計書を添えたか確認する。
- 変更許可のときは、変更に係る部分だけを図面と書類に示したか確認する。
図面さえ出せば大丈夫だと思っていました。
設計書まで必要になるとは知りませんでした。
消火設備や火災報知設備を設けるときは設計書も必須です。
一覧にして出す前に確認する習慣をつけておくと安心です。
よくある質問
まとめ
今度、設備を変更する計画があるので、申請書の項目を確認してきちんと準備します!
設置許可や完成検査済証の再交付でお困りのときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令(昭和三十四年政令第三百六号)第六条(設置の許可の申請)・第七条(変更の許可の申請)・第八条(完成検査の手続)
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第四条(設置の許可の申請書の様式及び添付書類)・第五条(変更の許可の申請書の様式及び添付書類)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





