給油空地は、舗装さえしておけば安全というわけではありません。
漏れた危険物や可燃性の蒸気は、そのまま放置すれば給油空地の外まで広がってしまいます。
条文は舗装の基準とは別立てで、滞留させない構造と流出させない仕組みを求めています。
この号ごとの仕組みを、順番に確認していきます。
給油空地は舗装さえしておけば大丈夫だと思っていました。
実は舗装の基準とは別に、滞留と流出を防ぐ基準があるんです。
どんな仕組みが求められるんですか。
蒸気を滞留させない構造と、危険物を集めて外に出さない仕組みです。
条文を順番に見ていきましょう。
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の十七は、給油空地・注油空地の蒸気滞留と危険物流出を防ぐ措置を定めています
- 給油空地・注油空地は可燃性の蒸気が滞留せず速やかに排出される構造にしなければなりません
- 漏れた危険物は火災予防上安全な場所の貯留設備に収容する仕組みが必要です
- 貯留設備に集めた危険物は外部に流出させないことが求められます
- 水に溶けない危険物は雨水等と分離してから排出する構造にします
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目次
給油空地はなぜ舗装するだけでは足りないのか

ですが条文は、舗装とは別にもう一つの号を用意しています。
浸透を防ぐ第四号(舗装)と、滞留・流出を防ぐ第五号は別々の号として並んでおり、片方だけでは基準を満たせません。
第五号の具体的な中身は総務省令、つまり危険物の規制に関する規則第二十四条の十七に委ねられています。
号を一つずつ見ていくと、地面の下だけでなく地面の上にも対策が要ることが分かります。
舗装と滞留防止は、別の基準だったんですね。
はい。
両方そろって初めて基準を満たします。
可燃性の蒸気はどんな構造なら滞留しないと言えるのか

条文はここでも、抽象的な言葉ではなく構造そのものを求めています。
壁や屋根で密閉的に囲ってしまうと、かえって蒸気が逃げ場を失って滞留してしまいます。
一般的な屋外給油取扱所が周囲を大きく開放した造りになっているのは、この号の要求にも応えるためです。
建屋の一部を増設するときは、この開放性を損なわないかを必ず確認する必要があります。
囲って隠したほうが安全かと思っていました。
逆です。
開放して逃がすのが基本になります。
漏れた危険物はどこに集めればよいのか

条文は集める先まで具体的に決めています。
「起きたら困る」ではなく、漏れる前提で受け皿を用意しておくという考え方です。
貯留設備は、給油空地の勾配に沿って液体が自然に流れ込む位置に設けるのが一般的です。
グレーチングの下にどんな設備が接続されているか、図面で確認しておく必要があります。
漏れることを前提に考えるんですね。
そのとおりです。
次は貯留設備そのものの基準を見てみましょう。
貯留設備に集めるだけでなぜ油水分離まで必要なのか

条文は、外へ出してよいものと出してはいけないものを分けています。
ガソリンや軽油は水に溶けないため、油水分離槽のような設備で油の層と水の層を分けるのが実務での対応です。
分離させずにそのまま排水すると、雨水と一緒に油分まで外部へ流出してしまいます。
貯留設備は一度設置して終わりではなく、油分が溜まっていないかを定期的に確認する対象になります。
雨水だけなら流してもいいんですか。
油分と分離された雨水等だけなら排出できます。
明日からなにを確認すればよいのか

現地では号の順番どおりに、目で見て確認できます。
- 給油空地・注油空地の蒸気が滞留せず外へ抜ける構造になっているか
- 固定給油設備・固定注油設備の周囲に貯留設備(グレーチング等)があるか
- 貯留設備から油分が外部へ流出しない構造になっているか
- 油水分離槽等で雨水とガソリン等が分離されているか
政令第十七条第一項第五号は「同条第二項においてその例による場合を含む」と定めており、特例給油取扱所でも土台の考え方は同じです。
貯留設備の具体的な仕様(容量やグレーチングの間隔など)は条文に明記されていないため、所轄消防署との事前協議で固めるのが確実です。
油水分離槽の点検を怠ると、この号の要求そのものが満たせなくなることも忘れないでください。
普段の点検にも関わってくるんですね。
順番にチェックして、迷ったら消防署に相談してください。
よくある質問
まとめ
舗装だけじゃない理由がよく分かりました!
貯留設備の適合確認のご相談もお受けしています。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の十七
- 危険物の規制に関する政令第十七条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





