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航空機給油取扱所の固定給油設備はなぜ地下式だと基準が増えるのか|配管の基準と緊急停止装置も解説

航空機の脇に据え付けられた固定給油設備を作業着姿の担当者がクリップボードを持ちながら点検している写真

航空機給油取扱所の給油設備には四つの方式があり、そのうち固定給油設備は地上に機器そのものを据え付ける方式です。
通常の給油取扱所と同じ「据え置き型」のディスペンサーですが、航空機給油取扱所では専用タンクへの配管や設置の仕方に固有の基準が上乗せされます。
とくに地下式を選んだ場合は、防水の措置や緊急停止装置の要否まで、地上式には無い条件が加わります。
この記事では、固定給油設備を給油設備とする航空機給油取扱所に求められる構造基準を順番に整理します。

うちの給油取扱所は地上に置くタイプの固定給油設備なんですが、航空機給油取扱所だと何か特別な基準がありますか。

はい、地下式か地上式かで求められる基準が変わります

地下式だとどう変わるんですか。

防水の措置と緊急停止装置が新たに必要になります。

この記事の結論
  • 固定給油設備を給油設備とする航空機給油取扱所には、規則第二十六条第三項第四号の基準が適用されます。
  • 地下式でホース機器を地盤面下の箱に納める場合は、適当な防水の措置を講じなければなりません。
  • 専用タンク以外への注入配管は、製造所の危険物を取り扱う配管の例によります。
  • 地下式でポンプ機器とホース機器が分離して設置される場合に限り、緊急停止装置が必要になります。
  • 地上式や一体型の固定給油設備には、この緊急停止装置の規定そのものが適用されません。

固定給油設備を給油設備とする航空機給油取扱所に求められる基準の全体像、地上式と地下式の違い・防水措置・配管基準・緊急停止装置をまとめた図解

航空機給油取扱所の固定給油設備とはどんな給油方式なのか

航空機の横に地上設置の固定給油設備が立ち、そこからホースが航空機の翼へ伸びているイメージ
まず、固定給油設備がどんな給油方式なのかを確認します。
航空機給油取扱所の給油設備には条文上四つの型があり、そのうち最初に挙げられているのがこの方式です。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第一号 航空機給油取扱所の給油設備は、次のいずれかとすること。イ 固定給油設備
固定給油設備は、地上に機器そのものを据え付けて給油する、もっとも一般的な給油方式です。
給油配管だけの方式や給油ホース車、給油タンク車のように可動部分を主体とする方式とは違い、機器一式が地上に固定されている点が特徴です。
ただし条文は、固定給油設備を地下式にするかどうかで、上乗せする基準を分けています。
地上式ならこの記事で扱う三つの上乗せ基準のうち一つ(配管の基準)だけが関係し、地下式を選ぶと防水の措置と緊急停止装置の要否まで確認が必要になります。
次の項目から、この上乗せ基準を一つずつ確認します。

うちは地上に据え付けるタイプなので、特に気にしなくていいということですか。

いいえ、配管の基準は地上式でも地下式でも共通してかかります。

地下式でホース機器を箱に納めるときなぜ防水の措置が要るのか

地盤面下に設置された箱の中にホース機器が防水加工されて納められている断面のイメージ
続いて、固定給油設備を地下式にした場合の基準を確認します。
ホース機器を地盤面下の箱に納める形式そのものに、条文が条件を付けています。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第四号 (略)イ 地下式(ホース機器が地盤面下の箱に設けられる形式をいう。以下この号において同じ。)の固定給油設備を設ける場合には、ホース機器を設ける箱は適当な防水の措置を講ずること。
地下式の固定給油設備は、ホース機器を地盤面下の箱に納める形式を指します。
この箱には適当な防水の措置を講じなければなりません。
地上式のディスペンサーと違い、箱の内部は雨水や地下水が浸入しやすい環境に置かれるため、ホース機器の腐食や漏えいにつながる水の侵入を防ぐ狙いがあると考えられます。
「適当な」という表現にとどまり、防水の工法そのものは条文で指定されていません。
現場では、箱の継ぎ目や配線の貫通部分から水が入らない構造になっているかを個別に確認する必要があります。

防水の措置って、具体的にどんな工法にすればいいんですか。

条文は「適当な措置」としか定めておらず、現場ごとに構造を確認する必要があります。

危険物を注入する配管はどんな基準によるのか

固定給油設備の脚元から地中を通って専用タンクへ向かう配管に継手と保護管が取り付けられているイメージ
次に、固定給油設備に危険物を注入する配管の基準を確認します。
専用タンクからの配管かどうかで、基準の扱いが分かれます。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第四号 (略)ロ 固定給油設備に危険物を注入するための配管のうち、専用タンクの配管以外のものは、令第九条第一項第二十一号に掲げる製造所の危険物を取り扱う配管の例によるものであること。
固定給油設備に危険物を注入する配管のうち、専用タンクの配管以外のものは、製造所の危険物を取り扱う配管の基準によらなければなりません。
専用タンクの配管そのものは、給油取扱所に共通する別の基準がすでにかかっているため、ここでは対象から外れています。
製造所配管の例は、材質や耐圧性能、地下埋設時の防食措置など、危険物配管として標準的な水準を求めるものです。
専用タンクからの配管なのか、それ以外の経路なのかを、まず図面で切り分けることが確認の出発点になります。

専用タンクの配管も同じ基準を満たせばいいんですか。

いいえ、専用タンクの配管には別に定められた基準がかかるため、この号の対象外です。

ポンプ機器とホース機器が分かれているとなぜ緊急停止装置が要るのか

左にポンプ機器とホース機器が一体になった固定給油設備、右にポンプ機器とホース機器が離れて設置され赤い緊急停止装置が備わっている対比のイメージ
続いて、固定給油設備の設置のしかたによって変わる基準を確認します。
ここは地下式のうち、さらに条件が絞られています。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第四号 (略)ハ 地下式の固定給油設備(ポンプ機器とホース機器とが分離して設置されるものに限る。)を設ける航空機給油取扱所には、当該固定給油設備のポンプ機器を停止する等により専用タンク又は危険物を貯蔵し、若しくは取り扱うタンクからの危険物の移送を緊急に止めることができる装置を設けること。
この基準がかかるのは、地下式の固定給油設備のうち、ポンプ機器とホース機器とが分離して設置されるものに限られます。
分離設置の場合は、ポンプ機器を停止する等により危険物の移送を緊急に止めることができる装置を設けなければなりません。
ポンプ機器とホース機器が一体になった設備であれば、その場で機器そのものを止められるため、この号による上乗せはかかりません。
地下式で機器が離れて設置されると、給油口の近くにいる担当者からポンプ機器へすぐに手が届かないため、離れた場所からでも移送を止められる装置が別に求められると考えられます。

うちの固定給油設備は地上式なので、この緊急停止装置は関係ないんですか。

はい、この号は地下式かつ分離設置の場合に限られます。

明日から何を確認すればよいのか

担当者が固定給油設備の脇でクリップボードを持ち赤い緊急停止装置を点検している様子
最後に、ここまでの基準を現場でどう確認すればよいかを整理します。
危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第四号 給油設備が固定給油設備である航空機給油取扱所は、次によること。
固定給油設備を給油設備とする航空機給油取扱所には、イ・ロ・ハの三つの基準が定められています。
まず自分の固定給油設備が地上式か地下式かを確認し、地下式であればホース機器の箱の防水措置を、専用タンク以外への配管であれば製造所配管の例によっているかを確認します。
そのうえで、ポンプ機器とホース機器が一体か分離設置かを確認し、地下式で分離設置であれば緊急停止装置の有無まで点検してください。
三つの条件を順番に確かめれば、上乗せ基準の抜け漏れを防げます。

うちの設備がどのパターンに当たるか、順番に確かめてみます。

はい、地上式か地下式か、一体か分離かから確認してください。

よくある質問

Q地上式の固定給油設備にも防水の措置は必要ですか?
Aいいえ。防水の措置が求められるのは地下式でホース機器を地盤面下の箱に納める場合に限られます。
Q専用タンクの配管にも製造所配管の例が適用されますか?
Aいいえ。専用タンクの配管は対象から除かれており、専用タンクの配管以外のものだけが製造所配管の基準によります。
Q緊急停止装置はすべての固定給油設備に必要ですか?
Aいいえ。必要になるのは地下式かつポンプ機器とホース機器が分離して設置される場合だけです。
Q固定給油設備を選ぶと、給油配管等の方式より基準は厳しくなりますか?
A一概には言えません。地上式で一体型を選べば上乗せは少なくなりますが、地下式や分離設置を選ぶと基準は増えます。

まとめ

固定給油設備を給油設備とする航空機給油取扱所には、規則第二十六条第三項第四号の基準が適用されます
固定給油設備は、地上に機器そのものを据え付ける、四つの給油方式のうちの一つです
地下式でホース機器を地盤面下の箱に納める場合は、適当な防水の措置を講じなければなりません
専用タンク以外への注入配管は、製造所の危険物を取り扱う配管の例によります
専用タンクの配管そのものは、この基準の対象から除かれています
地下式でポンプ機器とホース機器が分離して設置される場合は、緊急停止装置が必要になります
地上式や一体型を選べば、この緊急停止装置の規定そのものが適用されません

地上式か地下式か、それだけで上乗せの基準がこんなに変わるんですね。
うちの設備も見直してみます。

ぜひ、防水の措置と緊急停止装置の両方を確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則第二十六条第三項第一号・第四号(航空機給油取扱所の給油設備の種類・固定給油設備の基準)
  • 危険物の規制に関する政令第九条第一項第二十一号(製造所の危険物を取り扱う配管の基準)
  • 危険物の規制に関する規則第二十六条第一項・第二項(航空機給油取扱所の基準の特例の適用範囲)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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