危険物を取り扱う製造所には、窓や出入口に防火設備を設けることが義務付けられています。
延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、さらに重い基準である特定防火設備が求められます。
どちらも建築基準法の用語を借りていますが、危険物施設ではその中身が独自に絞り込まれています。
この記事では、製造所の窓や出入口に求められる防火設備・特定防火設備の基準を順番に整理します。
うちの製造所、窓や出入口はどんな扉でも大丈夫だと思っていました。
いいえ、防火設備という決まった基準を満たす必要があります。
防火設備ってどんな扉でもいいんですか。
いいえ、危険物施設では防火戸に限られます。
- 製造所の窓・出入口には、危険物の規制に関する規則第十三条の二が定める防火設備を設けなければなりません。
- 防火設備とは、建築基準法上の防火設備のうち、防火戸であるものに限られます。
- 延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開閉できる自動閉鎖の特定防火設備が必要です。
- 特定防火設備も同様に、防火戸であるものに限定されています。
- シャッターなど防火戸以外の防火設備は、危険物施設の窓・出入口には使えません。
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目次
製造所の窓や出入口にはなぜ防火設備が必要になるのか

壁や屋根だけでなく、窓や出入口という開口部にも同じ発想の基準が及びます。
壁そのものを不燃材料や耐火構造にしていても、扉やガラスが普通のままでは、そこから火や熱が抜けてしまいます。
そこで政令は、窓と出入口の両方に防火設備の設置を義務づけています。
さらに延焼のおそれが高い外壁の出入口には、より重い特定防火設備を上乗せする構造になっています。
まずはこの二段構えの考え方を押さえておくことが出発点です。
窓や出入口をわざわざ防火設備にするのはなぜですか。
壁が耐火構造でも、開口部が弱点になってしまうからです。
どんな開口部に防火設備を設ける必要があるのか

どちらか一方だけを整えればよいわけではありません。
出入口だけ防火戸にして、窓を普通のサッシのままにしておくことは認められません。
また窓や出入口にガラスを使う場合は、網入りガラスとすることも同じ号のすぐ後で定められています。
防火設備の扉にガラス部分を組み込むときも、この網入りガラスの要件が及びます。
建物のどの開口部が対象になっているか、まず現状を洗い出すことが確認の第一歩です。
窓も出入口も両方とも対象なんですね。
はい、建物のすべての開口部が対象になります。
延焼のおそれのある外壁の出入口にはなぜさらに厳しい基準が要るのか

この部分の出入口には、通常の防火設備よりも重い基準が上乗せされます。
普段の出入りのために開けておけますが、火災時などには自動で閉鎖する構造でなければなりません。
これにより、日常の作業性を保ちながら、いざというときの延焼防止を両立させています。
延焼のおそれのある外壁がどこに当たるかは建物ごとに異なるため、設計時の図面で確認する必要があります。
出入口の位置を後から変更した場合は、この判定も見直しが必要になります。
延焼のおそれがある壁の出入口は何が違うんですか。
常時閉鎖ではなく、自動で閉まる仕組みが要ります。
防火設備や特定防火設備はなぜ防火戸に限られるのか

しかし危険物施設では、その範囲が独自に絞り込まれています。
建築基準法上は防火設備にドレンチャーなど他の方式も含まれますが、規則がそれらを除外しています。
つまりシャッターや網入りガラス以外の代替措置だけでは、この基準を満たしたことになりません。
既存の建物を改修するときは、扉の種類そのものが要件を満たしているかを先に確認する必要があります。
見た目が防火性能をうたう扉でも、防火戸としての性能評価を受けているかが判断の分かれ目になります。
うちの出入口、シャッターなんですが大丈夫でしょうか。
危険物を扱う開口部なら、防火戸への交換が必要です。
明日からなにを確認すればよいのか

図面と現地の両方を突き合わせることが確実です。
- 建物のすべての窓・出入口が防火戸になっているかを確認する。
- 延焼のおそれのある外壁に該当する出入口がどこかを図面で洗い出す。
- 該当する出入口の扉に、随時開閉かつ自動閉鎖の機能があるかを確認する。
- シャッターなど防火戸以外の設備が紛れ込んでいないかを点検する。
- 窓や出入口にガラスがある場合は、網入りガラスかどうかも合わせて見る。
まず扉の種類を順番に確認してみます。
はい、図面と現地の両方で確認するのが確実です。
よくある質問
まとめ
窓と出入口の扉、今日から一つずつ見直します!
扉の種類の確認は、お気軽にご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第九条第一項第七号・第八号
- 危険物の規制に関する規則第十三条の二
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





