地下タンクを二重殻構造にする場合、鋼板を使う方式と強化プラスチックを使う方式の2通りが政令で認められています。
どちらの方式でも、内側と外側の間にすき間(間げき)を設けて、危険物の漏れをいち早く検知する仕組みが欠かせません。
強化プラスチック方式では、使える樹脂や強化材の種類、タンクが荷重を受けたときの変形の許容範囲まで、規則が細かく数値で定めています。
この記事では危険物の規制に関する規則第二十四条の二の二から第二十四条の二の四が定める二重殻タンクの構造基準を、条文に沿って確認します。
うちのスタンドは二重殻タンクだと言われたんですが、鋼板とプラスチックの両方があるって本当ですか。
はい、政令で2つの方式が認められています。
順番に見ていきましょう。
どっちを選んでもいいんですか。
はい、どちらも基準を満たせば有効です。
まずは共通する考え方から確認しましょう。
- 地下貯蔵タンクの二重殻構造には鋼板を間げきを有するように取り付ける方式と強化プラスチックを間げきを有するように被覆する方式の2通りがあります
- 鋼板方式では、間げき内の鋼板の腐食を防止する措置を講じ、漏れを常時検知できる設備が必要です
- 強化プラスチック方式は、樹脂と強化材が規格に適合し、危険物の種類によっては耐薬品性試験での確認が必要です
- 強化プラスチック製二重殻タンクは、変形がタンク直径の三パーセント以下となる安全な構造でなければなりません
- 許容応力を算定する際の安全率は四以上の値とすることが求められています
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目次
地下タンクの二重殻構造とはどんな仕組みを指すのか

この方式で使われるのが二重殻タンクです。
内側と外側の間にすき間(間げき)を作ることで、内側のタンクから漏れた危険物をそこにとどめ、いち早く発見できるようにしています。
もう一層を鋼板で取り付ける方式と、強化プラスチックで被覆する方式の2通りが認められています。
どちらの方式も、間げきに危険物の漏れを検知する設備を備えることが前提です。
うちのタンクがどっちの方式か、図面を見ないと分からないかもしれません。
設置許可の申請図書に必ず記載があるはずです。
次は鋼板方式の中身を見ていきましょう。
鋼板を間げきを有するように取り付けるとはどんな構造か

規則は取り付け方と、間げきに設ける検知設備の両方を定めています。
取り付ける範囲はタンクの底部から最高液面を超える部分までで、液が触れる可能性がある高さ全体を覆う必要があります。
間げきには単に液体を満たすだけでなく、鋼板の腐食を防止する措置を講じたうえで、漏れを検知できる設備を備えなければなりません。
間げきの液体が腐食で劣化すると、検知設備自体の信頼性が落ちる点に注意してください。
間げきの中の液体も点検の対象になるんですか。
はい、検知設備が正常に働くための前提になります。
次は強化プラスチック方式を見てみましょう。
強化プラスチックで被覆する場合はどんな樹脂と繊維が求められるのか

使える材料には規格があり、危険物の種類によっては事前の確認も必要になります。
危険物と接する部分の樹脂は、日本産業規格の不飽和ポリエステル樹脂などに限られ、強化材にもガラス繊維の規格が定められています。
危険物の種類によっては耐薬品性試験による事前確認が必要ですが、自動車ガソリン・灯油・軽油・重油を貯蔵する場合はこの確認を省略できます。
どの危険物を貯蔵しているかによって、必要な手続きが変わる点を押さえておいてください。
うちはガソリンなので、その耐薬品性試験は関係ないんですね。
ガソリンは確認を要しない危険物に含まれます。
次は変形の基準を見てみましょう。
強化プラスチック製二重殻タンクの変形にはなぜ上限があるのか

基準を超える変形は、タンクとしての安全性を損ないます。
想定する荷重は、タンクの頂部が水面から〇・五メートル下にある場合の圧力と、圧力タンクかどうかで変わる内水圧の2種類です。
さらに曲げ応力度比と軸方向応力度比の絶対値の和が一以下であることも同時に求められ、許容応力を算定する安全率は四以上と余裕を持って設定されています。
これらの計算は設計・施工の段階で行われるため、点検では計算書や施工記録が残っているかを確認することが実務の出発点になります。
変形の計算までは自分たちで確認できなさそうです。
設置時の設計計算書に記録が残っているはずです。
次は日常の確認ポイントを整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

日常点検で見るべき項目を整理します。
- 設置許可の申請図書で鋼板方式か強化プラスチック方式かを確認する
- 間げきの漏れ検知設備が正常に作動するかを点検記録で確認する
- 強化プラスチック方式であれば、設計計算書に変形と応力度比の計算結果が残っているかを確認する
鋼板方式は間げきの腐食と検知設備の作動、強化プラスチック方式は材質の規格と変形の許容範囲が、それぞれの要注意ポイントです。
設置時の申請図書や設計計算書は、増改築や設備更新のときにも必ず必要になるので、手元に残しておいてください。
迷ったときは所轄消防署や専門業者に相談してください。
まずはうちのタンクがどっちの方式か、図書を確認してみます!
それだけでも点検の見落としはかなり減ります。
気になる点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
鋼板と強化プラスチック、どっちの方式かをまず確認します!
いつでもお声がけください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第十三条第二項第一号
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の二の二
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の二の三
- 危険物の規制に関する規則第二十四条の二の四
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





