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液化石油ガス設備士はなぜ工事に必要なのか|消防設備士と比較した免状交付と工事独占の仕組みを解説

液化石油ガスの工事はなぜ資格がいるのかを解説する記事のアイキャッチ画像

ガス給湯器やコンロにつながる配管を、業者に頼まず自分で直したことはありませんか。
LPガスの配管工事は、実は誰にでもできるわけではありません。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律が、工事に従事できる人を資格者に限っているからです。
この記事では、液化石油ガス設備士という資格の仕組みと、消防設備士との違いを解説します。

テナントのガス湯沸かし器の配管を、知り合いの業者に安く頼もうと思っています。
誰に頼んでも大丈夫でしょうか。

実はLPガスの配管工事は、免状を持つ液化石油ガス設備士でなければできません

消防設備士とは別の資格なんですか。

はい。
対象がガス設備か消防用設備かで資格そのものが分かれています

この記事の結論
  • 供給設備・消費設備の設置や変更工事は、液化石油ガス設備士でなければ作業に従事できません
  • 免状は都道府県知事が交付し、試験合格か養成施設の講習修了のどちらかが必要です
  • 免状を持たずに工事をすると三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金の対象になります
  • 消防設備士とは対象設備も交付主体も別の資格で、片方を持っていてももう片方の工事はできません
  • 設備士は工事に従事するとき免状の携帯と定期講習の受講が義務付けられています

液化石油ガス設備士になるまでの流れを示す図解。試験か養成講習、知事による免状交付、工事への従事、定期講習の受講という手順を整理

LPガスの配管工事はなぜ誰にでも頼めないのか

有資格の作業員がLPガスボンベの継手を確実に締める横で、無資格の人物が同じ継手からガスを漏らしている様子を示すイメージ
LPガスの配管はわずかな緩みでも漏えいにつながります。
だからこそ工事に従事できる人を法律で絞り込んでいます。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第三十八条の七 液化石油ガス設備士でなければ、液化石油ガス設備工事の作業(特別の知識及び技能を必要とし、かつ、液化石油ガスによる災害の発生の防止上重要と認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものに限る。)に従事してはならない
資格が無ければ触れない作業だと法律が明記しています
供給設備と消費設備の設置や変更の工事のうち、特別な知識と技能を要する部分が対象です。
違反した場合は三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金という罰則も設けられています。
「配管をいじるだけだから」という軽い気持ちでの無資格作業は、法律違反そのものです。

てっきり配管工事くらいなら業者の判断で誰でもできると思っていました。

資格が無ければ従事できない作業だと法律で決まっています
次は具体的にどの工事が対象かを見ていきましょう。

どの工事にどの資格が必要になるのか

屋外のLPガス供給設備と屋内のガス消費設備を一つの図でまとめて示すイメージ
対象になる設備は大きく二つに分かれます。
供給設備と消費設備のどちらも、この資格の対象です。
同法第三十八条の二 供給設備又は消費設備の設置又は変更の工事(以下「液化石油ガス設備工事」という。)は、供給設備についてのものにあつてはその供給設備が第十六条の二第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に、消費設備についてのものにあつてはその消費設備が第三十五条の五の経済産業省令で定める技術上の基準に、それぞれ、適合するようにしなければならない
供給設備と消費設備の両方が対象です
屋外のボンベや調整器といった供給設備と、屋内のガス栓や配管といった消費設備のどちらも、設置や変更の工事は技術基準への適合が求められます。
学校や病院など多数の者が出入りする施設では、工事をした者に都道府県知事への届出義務も別途あります。
建物のどこにLPガス設備があるかを把握しておくことが、まず最初の一歩になります。

うちのビルは供給設備しか無いので消費設備側は関係ないですよね。

建物の中のガス栓や配管も消費設備です。
両方とも同じ資格が必要な工事の対象です

液化石油ガス設備士免状はどうやって交付されるのか

液化石油ガス設備士の免状を持つ作業員と、都道府県庁舎や試験・講習の場を並べて示すイメージ
免状は誰でも申請すればもらえるわけではありません。
交付までの道筋は法律で決まっています。
同法第三十八条の四 液化石油ガス設備士免状は、都道府県知事が交付する。2 液化石油ガス設備士免状は、次の各号の一に該当する者でなければ、その交付を受けることができない。一 液化石油ガス設備士試験に合格した者 二 協会又は経済産業大臣が指定する養成施設において、経済産業省令で定める液化石油ガス設備士となるのに必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者
免状は都道府県知事が交付します
受け取るには、液化石油ガス設備士試験に合格するか、指定の養成施設で講習を修了するかのどちらかのルートを通る必要があります。
試験は都道府県知事が実施し、液化石油ガス設備工事や災害発生防止に関する知識と技能が問われます。
免状を受け取ったあとも、免状の携帯定期講習の受講が工事に従事する間ずっと続く義務です。

免状さえ持っていれば、その後はずっと安心なんですね。

免状の携帯と定期講習の受講が続く義務です
更新の失念がないか確認しておきましょう。

消防設備士とはなにが違うのか

消火設備と自動火災報知設備を扱う作業員と、LPガス配管を扱う作業員を並べて対比するイメージ
似た響きの資格ですが、対象も交付元も別物です。
どちらか一方を持っていれば足りるわけではありません。
消防法第十七条の五 消防設備士免状の交付を受けていない者は、次に掲げる消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備のうち、政令で定めるものを行つてはならない
資格の対象がそもそも違います
消防設備士は消火設備や自動火災報知設備の工事整備を独占し、免状は都道府県知事ではなく都道府県知事等が行う講習等を経て交付されます。
液化石油ガス設備士は供給設備・消費設備という別の対象を独占し、免状は都道府県知事が交付します。
消防設備士の免状だけでガス配管の工事はできず、その逆も同じです。建物にどちらの設備があるかで必要な資格が変わります

消防設備士の資格を持つ業者さんなら、ガス配管も見てもらえると思っていました。

対象設備が違うので同じ資格では対応できません
ガス配管は液化石油ガス設備士の領分です。

明日からなにを確認すればよいか

建物管理者が作業員の提示する免状を確認している様子を示すイメージ
工事を頼む前に、確認しておきたいことがあります。
免状の有無は、見た目だけでは分かりません。
同法第三十八条の八 液化石油ガス設備士は、液化石油ガス設備工事の作業に従事するときは、(中略)その作業をしなければならない。2 液化石油ガス設備士は、液化石油ガス設備工事の作業に従事するときは、液化石油ガス設備士免状を携帯していなければならない
工事の前に免状の提示を求めてください
作業員は免状の携帯が義務付けられているので、依頼した業者に確認しても不自然ではありません。
あわせて定期講習の受講状況も尋ねておくと、無資格や失効した業者に依頼するリスクを避けられます。
契約前のひと手間が、漏えい事故を防ぐ最初の確認になります。

契約前に免状を見せてほしいと言うのは、角が立たないでしょうか。

免状の携帯は法律上の義務です
確認を求めるのは自然なことです。

よくある質問

Q液化石油ガス設備士の資格に有効期限はありますか?
A回答は、免状そのものに有効期限は無いものの、定期講習の受講義務があります。受講を怠ると、工事に従事する資格の実質が失われます。
Q都市ガスの工事にも同じ資格が必要ですか?
A回答は、液化石油ガス設備士はLPガス向けの資格です。都市ガスの工事はガス事業法という別の法律で扱われます。
Q免状を持たずに工事をするとどうなりますか?
A回答は、三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金の対象になります。
Q液化石油ガス販売事業者の点検と、この工事資格は同じものですか?
A回答は、別のものです。販売事業者には供給設備の点検・消費設備の調査という保安業務の義務があり、これは工事とは別に日常的に行われます。

まとめ

供給設備・消費設備の設置や変更工事は液化石油ガス設備士でなければ従事できません
免状は都道府県知事が交付し、試験合格か養成施設の講習修了のどちらかが必要です
無資格で工事をすると三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金の対象になります
消防設備士とは対象設備も交付元も別の資格で、互いの工事はできません
設備士は工事のとき免状の携帯と定期講習の受講が義務です
液化石油ガス販売事業者には別に供給設備の点検・消費設備の調査という保安業務があります
契約前に免状の提示を求めることが漏えい事故を防ぐ第一歩です

資格がガス設備と消防設備で分かれている理由がよく分かりました。
次の工事は免状を確認してから頼みます!

免状・工事範囲・定期講習の3つを、次の依頼からあわせて確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第二十七条(保安業務を行う義務)
  • 同法第三十八条の二(基準適合義務)・第三十八条の三(液化石油ガス設備工事の届出)
  • 同法第三十八条の四(液化石油ガス設備士免状)・第三十八条の五(液化石油ガス設備士試験)
  • 同法第三十八条の七(液化石油ガス設備工事の作業に関する制限)・第三十八条の八(液化石油ガス設備士の義務)・第三十八条の九(液化石油ガス設備士の講習)
  • 同法第九十八条の二(罰則)
  • 消防法第十七条の五(消防設備士でなければ行つてはならない工事又は整備)・第十七条の六(消防設備士免状の種類)・第十七条の十(工事整備対象設備等の講習)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の工事や免状の要件は経済産業省令等で細目が定められています。個別の判断は都道府県の担当窓口または所轄消防署にご確認ください。

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