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液化石油ガスの事故防止はなぜ通知で呼びかけられたのか|警報器の設置義務も解説

液化石油ガスの警報器設置が共同住宅や飲食店で義務になっていることを示すアイキャッチ画像

液化石油ガス(LPガス)は一般家庭だけでなく、共同住宅や飲食店でも広く使われています。
昭和57年、消防庁は爆発や漏えいの事故が連続したことを受け、防止の徹底を呼びかける通知を発出しました。
通知が呼びかけた「警報器等の普及」は、今では液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律により、多くの施設で設置が義務になっています。
この記事ではどの施設で警報器の設置が義務になり、今日から何を確認すればよいのかを解説します。

うちのマンションにもLPガスの設備があるんですが、警報器は付けなくても大丈夫なんでしょうか。

実は昔の通知では「普及の推進」だったものが、今は法律で設置義務になっている施設があります。
まずは通知が出た経緯から見ていきましょう。

そんな古い通知が、今のうちの建物にも関係あるんですか。

はい。共同住宅や飲食店はまさに対象です。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 液化石油ガス事故の防止については昭和57年2月5日 消防危第13号で消防庁危険物規制課長から発出された
  • 通知は一般家庭だけでなく共同住宅や飲食店等も対象に指導の徹底を求めた
  • 通知が呼びかけた警報器等の普及は、現在は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律で対象施設への設置が義務になっている
  • 一般の戸建住宅は今も設置義務の対象外で、あくまで推奨にとどまる
  • 消防法上のガス漏れ火災警報設備(施行令第21条の2)は別制度で、地下街や準地下街など特定の建物だけが対象になる

液化石油ガス事故の防止についての通知の背景・対象施設・日常点検・警報器の設置の4点を示した図解

液化石油ガスの事故はなぜ通知で防止が呼びかけられたのか

建物外壁のLPガス容器と配管に警報の波線が向かうイラスト
液化石油ガスは家庭用の熱源として広く普及していますが、昭和57年当時、爆発や漏えいの事故が連続して発生していました。
消防庁はこの状況を受け、指導の強化を求める通知を発出しました。
最近、液化石油ガスによる爆発、漏えい等の事故が連続して発生している。液化石油ガス事故の防止については、日頃より十分御努力いただいているところであるが、春季全国火災予防運動の重点目標の中にも一般家庭を中心にガス漏れ警報器等家庭用防災機器の普及の推進が取り上げられており、このことについて下記事項に留意し、火災予防運動期間を中心としてなお一層の指導の強化を図られるよう特段の御配慮をお願いする。(液化石油ガス事故の防止について 昭和57年2月5日 消防危第13号 消防庁危険物規制課長)
事故が連続したことが通知の直接のきっかけです
この通知は消防庁危険物規制課長から各都道府県消防主管部長へ発出され、春季全国火災予防運動の重点目標と合わせて指導の徹底が求められました。
あわせて別添のとおり、当時の通商産業省立地公害局保安課長からも液化石油ガス販売事業者への指導通知が出されています。
まずは、この通知が具体的に誰を対象にしていたのかを見ていきます。

事故が連続したことで、慌てて出された通知ということですね。

そのとおりです。対象は一般家庭だけではありません
次に対象範囲を確認しましょう。

どんな施設や誰が対象になるのか

共同住宅と飲食店の建物が並ぶイラスト
通知の宛先は各都道府県の消防主管部長ですが、指導の対象として名前が挙がっているのは一般家庭だけではありません。
共同住宅や飲食店等、建物の管理者が関わる場面も明記されています。
一 一般家庭を中心に共同住宅、飲食店等を対象に指導の徹底を行うものとする。(液化石油ガス事故の防止について 記1)
共同住宅や飲食店は他人事ではありません
一般家庭向けの注意事項に見えますが、共同住宅や飲食店等もはっきりと対象に含まれています。
賃貸マンションやアパートの管理権原者、飲食店の経営者や防火管理者は、入居者や従業員への周知を担う立場になります。
次は、通知が具体的に何を求めていたのかを見ていきます。

店舗のオーナーとしても、無関係ではいられないんですね。

はい。入居者や従業員への周知が求められます。
具体的な内容を見ていきましょう。

通知は具体的に何を求めているのか

ゴム管と換気扇が並ぶイラスト
通知は5項目の指導事項を挙げていますが、中心になるのは日常の取扱いに関する注意です。
液化石油ガスの性質と、漏れたときの初動の2つが特に重要です。
液化石油ガスは、低所に滞留する等液化石油ガスの性質及び漏れたガスの安全な排出方法について周知徹底すること。液化石油ガスが漏れた場合には、火気の使用、電気機器のスイッチを操作すること等を厳禁するよう周知徹底を図ること。(液化石油ガス事故の防止について 記2・記3)
液化石油ガスは空気より重く低い場所にたまります
このため漏れに気付いたら、換気扇や照明のスイッチ操作は厳禁で、まず窓を開けて換気することが優先されます。
これに加えて通知は、ゴム管の取り替えなど日常の点検事項の徹底も求めています。
さらに、ヒューズコックや強化ガスホース、安全装置付きガス器具、ガス漏れ警報器等の普及について指導するよう記されています。

スイッチを触ってはいけないというのは、初めて知りました。

小さな火花でも着火の原因になり得ます。
次は、見落としやすい今の制度の話をします。

実務で見落としやすいのはどこか

家庭用ガス漏れ警報器と天井のガス漏れ検知器を並べたイラスト
昭和57年の通知が求めた「警報器等の普及」は、当時はあくまで行政指導としての推進でした。
ところが現在は、対象施設によって設置が法律上の義務になっている点が見落としやすい落とし穴です。
ガス漏れ火災警報設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分(総務省令で定めるものを除く。)に設置するものとする。一 別表第一(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの(略)(消防法施行令第21条の2第1項)
実は2つの別々の制度が並んでいます
消防法施行令第21条の2に基づくガス漏れ火災警報設備は、地下街(16の2)項や準地下街(16の3)項など、延べ面積1,000平方メートル以上の大規模施設だけが対象です。
一方、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律では、共同住宅や飲食店等、公共性の高い施設にガス漏れ警報器の設置義務が定められており、こちらは一般の戸建住宅には及びません。
「うちは対象外」と思い込まず、管理する建物がどちらの制度の対象になるかを確認することが大切です。

大規模施設だけの話だと思っていましたが、飲食店も別枠で対象になるんですね。

そうです。根拠になる法律が違うのがポイントです。
最後に今日からの確認事項をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

管理者と作業員がガス配管の接続部を確認するイラスト
通知の呼びかけから40年以上が経ちますが、日常点検の中身そのものは今も変わっていません。
まずは自分が管理する建物がどの制度の対象になるかを確認することから始めます。
ヒューズコック、強化ガスホース、安全装置付ガス器具及びガス漏れ警報器等の普及について指導されたいこと。(液化石油ガス事故の防止について 記5)
まず確認すべきは対象施設に当たるかどうかです
共同住宅や飲食店に当たる建物は、LPガス販売事業者に警報器の設置義務の有無を確認してください。
併せてゴム管やヒューズコックなど接続部の劣化を日常点検で確認し、劣化していれば早めに交換します。
入居者や従業員には、漏れに気付いたときは火気やスイッチ操作を避けて換気するという行動をあらためて周知しておくと安心です。

まずはガス会社に確認するところから始めればいいんですね。

そのとおりです。確認と日常点検が何より大切です。

よくある質問

Q液化石油ガス事故の防止についてはどんな通知ですか?
A昭和57年2月5日付け消防危第13号として、消防庁危険物規制課長から各都道府県消防主管部長へ発出された通知です。液化石油ガスの爆発・漏えい事故が連続したことを受け、指導の強化を求めています。
Q一般の戸建住宅にもガス漏れ警報器の設置義務はありますか?
Aいいえ。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律による設置義務の対象は共同住宅や飲食店等の施設で、一般の戸建住宅は義務化されておらず、設置は推奨にとどまります。
Q消防法上のガス漏れ火災警報設備と、液化石油ガスの警報器は同じものですか?
A別の制度です。消防法上のガス漏れ火災警報設備(施行令第21条の2)は地下街や準地下街など延べ面積1,000平方メートル以上の大規模施設が対象で、液化石油ガスの警報器の設置義務とは根拠が異なります。
Q通知が求めていたゴム管の点検は今も必要ですか?
A必要です。ゴム管やヒューズコックなど接続部の劣化は今も漏えいの主な原因であり、日常点検で交換の必要がないか確認することが大切です。

まとめ

液化石油ガス事故の防止については昭和57年2月5日 消防危第13号で消防庁危険物規制課長から発出された
一般家庭だけでなく共同住宅や飲食店等も対象に指導の徹底を求めた
通知は液化石油ガスが低所に滞留する性質と、漏れた場合の火気使用・スイッチ操作の厳禁を周知するよう求めている
ゴム管の取り替えや換気等の日常点検も通知の中で明記されている
通知が呼びかけた警報器等の普及は今は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律で設置が義務になっている施設がある
一般の戸建住宅は今も設置義務の対象外で、推奨にとどまる
消防法上のガス漏れ火災警報設備(施行令第21条の2)は地下街等の大規模施設だけが対象になる別制度である

警報器の設置が推奨で終わる話じゃなくて、もう義務になっている施設があるとは知りませんでした。
確認してみます。

そうなんです。対象施設の確認は早めがおすすめです。
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参考・出典

  • 液化石油ガス事故の防止について(昭和57年2月5日 消防危第13号 消防庁危険物規制課長)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条の2
  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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