漏電火災警報器は、鳴らせばそれでよい設備ではありません。
どこで鳴らすか、どんな音にするか、感度をどう決めるかまで、消防法施行規則が細かく定めています。
工場のように可燃性蒸気や粉じんが漂う場所では、遮断の仕組みにも特別な配慮が要ります。
この記事では消防法施行規則第24条の3が定める技術基準の細目を、設置後の維持管理という視点で解説します。
うちの防災センターで漏電火災警報器のベルが鳴ったことがあるんですが、あの設置場所や音にも決まりがあるんですか。
あります。
音響装置の設置場所と、音の区別しやすさが基準で定められています。
感知の感度も調整できると聞きました。
そこにも基準があります。
誤報を防ぐ適正な値にすることが求められています。
- 音響装置は防災センター等に設置しなければなりません
- 音圧・音色は他の警報音や騒音と明らかに区別できることが必要です
- 検出漏洩電流設定値は誤報が生じないよう適正な値にします
- 可燃性蒸気や粉じんが滞留する場所では連動遮断装置を安全な場所に設けます
- これらはすべて消防法施行規則第24条の3が定める技術基準の細目です
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目次
漏電火災警報器の警報はどこで鳴るのか

その先で警報音を鳴らす装置は、建物のどこに置いてもよいわけではありません。
イ 音響装置は、防災センター等に設けること。(消防法施行規則第24条の3第1項第3号イ)
防災センターとは、防火対象物の管理権原者や防火管理者が常駐し、火災や設備の異常にすぐ対応できる場所を指します。
音響装置をそこに集約するのは、鳴った警報に気づく人を確実に置くためです。
逆に言えば、人のいない機械室や倉庫の隅に音響装置だけを置いても、基準を満たしたことにはなりません。
自分の建物では、防災センターに相当する場所がどこに定められているかを消防計画で確認してください。
うちの防災センターって、実は名ばかりで人がほとんどいないんですが。
それは見直しが必要です。
常駐者がいて初めて設置場所として意味を持ちます。
警報音は他の音とどう区別すればよいのか

その中で漏電火災警報器の音だけを聞き分けられるでしょうか。
他の警報音と紛れる音では、鳴っていても気づけません。基準は音圧と音色の両方を指定し、聞き分けられることを求めています。
現場では、複数の警報装置が似たような電子音を使っていることがあります。導入時の音色の選定が、後の維持管理を左右します。
点検のときは、実際に鳴らして他の警報音と聞き比べる作業が欠かせません。
音が似ていると感じたら、業者に音色の変更や音圧の調整を相談してください。
うちも自火報のベルと音が似ていて、最初どっちか分かりませんでした。
よくある話です。
点検時に聞き比べることを習慣にしてください。
検出感度はどうやって適正な値に決めるのか

基準はどちらの側にも寄らない決め方を求めています。
条文は具体的な数値を示していません。指定するのは誤報が生じないという結果と、建物ごとの警戒電路の状態に応じるという考え方です。
古い建物は漏洩電流がもともと流れやすく、新しい建物とは同じ設定値で扱えません。
感度を高いままにして誤報が続くと、鳴っても対応しない現場になりかねません。誤報のたびに設定値を見直すという発想が必要です。
設定値を変えたときは、変更の記録を残しておいてください。次の点検で経過を追えます。
誤報が多いから鈍くしよう、というのは違うんですか。
鈍くしすぎると本当の漏電を見逃します。
まず警戒電路の状態を点検してもらってください。
可燃性蒸気が滞留する場所ではどうするのか

そこに漏電火災警報器の装置そのものを置くことに、リスクはないのでしょうか。
漏電火災警報器が作動したときに電流を遮断する装置そのものを、可燃性蒸気や粉じんが滞留する場所の外に設けるよう定めています。
危険区域の中にスイッチ類を置くと、動作の瞬間に火花が生じる可能性を排除できません。
危険区域と安全な場所の線引きは、消防計画や工場の防爆区分の図面と照らし合わせて確認します。
新しく設備を増設するときは、遮断装置の設置場所が図面のどちら側にあるかを必ず確認してください。
うちの塗装ブースの近くにも、似たような装置があった気がします。
危険区域の外側に設置されているか、一度図面で確認してみてください。
点検のときに何を確認すればよいのか

点検のたびに何を見ればよいかを、具体的な形にしておきます。
- 音響装置が防災センター等に設置されているか
- 他の警報音と聞き分けられる音色になっているか
- 検出漏洩電流設定値が誤報の記録に応じて見直されているか
- 可燃性蒸気・粉じんの区域では遮断装置が区域の外にあるか
消防設備士や保守業者に任せきりにせず、防火管理者自身も鳴った音を一度聞いておくことをすすめます。
点検記録には、検出漏洩電流設定値の変更履歴も残しておくと、次回以降の判断材料になります。
日常点検の項目にこの4点を加えることが、明日からできる具体的な一歩です。
点検のときに聞くポイントが分かりました。
点検表にこの4つの確認を加えてみてください。
よくある質問
まとめ
音響装置の場所、音の区別、感度、遮断の場所。
点検のときに何を聞けばいいか、はっきりしました!
次の点検で4つの確認を加えてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令第22条(漏電火災警報器に関する基準)
- 消防法施行規則第24条の3(漏電火災警報器に関する基準の細目)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





