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地中タンクの保安検査はなぜ十三年ごとと決まっているのか|漏液防止板が検査対象になる理由を解説

地中タンクの保安検査はなぜ十三年ごとなのか

危険物の規制に関する政令は、屋外タンク貯蔵所の保安検査の周期を原則8年ごとと定めています。
ところが同じ条文には、この原則から外れる区分がいくつか用意されています。
そのひとつが「特殊液体危険物タンク」と呼ばれる区分で、実務上は地中タンクを指します。
この記事では、地中タンクの保安検査がなぜ十三年ごとという別の周期になるのかを条文から整理します。

うちの屋外タンクは地中に埋めてあるんですが、保安検査は他のタンクと同じ扱いですか。

いいえ。
地中タンクは特殊液体危険物タンクという別区分になり、周期も検査対象も変わります。

どこがどう変わるのか、詳しく知りたいです。

今日は周期の根拠と検査対象の部位、見落としやすい点まで条文にそって解説します。

この記事の結論
  • 地中タンクの保安検査は原則の8年ではなく十三年ごとに固定されています
  • これは特殊液体危険物タンクという別区分に分類されるためです
  • 総務省令が定める特殊液体危険物タンクは地中タンクだけです
  • 検査で確認するのは底部全体ではなく漏液防止板という限定された部分です
  • 十三年の周期は最初から固定で、一般タンクのような延長の仕組みはありません

地中タンクの保安検査は区分の確認から起算日の確認漏液防止板の点検記録の保存までの4段階で進み十三年ごとで固定であることを示す図解

地中タンクの保安検査はなぜ十三年ごとと決まっているのか

地中に埋設されたタンクの断面とクリップボードを持つ技術者のイメージ
屋外タンク貯蔵所の保安検査には、いくつかの周期区分があります。
地中タンクは、そのうちの独立した一区分です。
危険物の規制に関する政令第八条の四第二項(抜粋) 法第十四条の三第一項の政令で定める時期は、次の各号に掲げる特定屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の区分に応じ、当該各号に定める時期とする。 三 特殊液体危険物タンクのうち総務省令で定めるものに係る特定屋外タンク貯蔵所 完成検査を受けた日又は直近において行われた法第十四条の三第一項若しくは第二項の規定による保安に関する検査を受けた日の翌日から起算して十三年を経過する日前一年目に当たる日から、当該経過する日の翌日から起算して一年を経過する日までの間
政令は区分ごとに別々の周期を定めており、地中タンクはその第三号にあたります。
危険物の規制に関する政令第8条の4第2項は、屋外タンク貯蔵所や移送取扱所の保安検査の時期を区分ごとに定めています。
第一号は一般的な特定屋外タンク貯蔵所で原則8年、第二号は岩盤タンクで10年です。
そして第三号が特殊液体危険物タンクで、周期は十三年と定められています。
この記事では、この第三号にあたる地中タンクの周期と検査対象を見ていきます。

8年でも10年でもなく、十三年という数字なんですね。

はい。
次に、この特殊液体危険物タンクが具体的に何を指すのかを見てみましょう。

特殊液体危険物タンクとはどんなタンクを指すのか

地中に埋設されたタンクの二重構造と周囲の空地を示すイメージ
「特殊液体危険物タンク」という言葉だけでは、何を指すのか分かりません。
総務省令がその中身を具体的に定めています。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二の七(特殊液体危険物タンク) 令第八条の四第二項第三号の総務省令で定める特殊液体危険物タンクは、地中タンクとする。
総務省令が定める特殊液体危険物タンクは、地中タンクのただ一種類だけです。
政令の言葉づかいだけを見ると特別な液体を扱うタンクのように思えますが、中身は地中タンクを指すと規則で具体的に定義されています。
地中タンクは、地盤の中に埋設される屋外タンク貯蔵所の一種で、設置場所や地盤の強度、敷地境界からの距離などに独自の基準が設けられています。
つまり十三年周期の対象になるかどうかは、まず自社のタンクが地中タンクにあたるかどうかで決まります

特殊液体危険物タンクって、地中タンクのことだったんですね。

はい。
次は、その地中タンクの保安検査で実際に何を確認するのかを見ていきます。

保安検査で実際に何を確認するのか

タンク内側の板に測定機器を当てて確認する技術者のイメージ
一般的な屋外タンクは底部全体の板厚を確認しますが、地中タンクは対象がやや異なります。
条文が指す部分は限定されています。
危険物の規制に関する政令第八条の四第三項第一号(抜粋) 特定屋外タンク貯蔵所(次号に掲げるものを除く。) 液体危険物タンクの底部(特殊液体危険物タンクにあつては、総務省令で定める部分。)の板の厚さに関する事項及び液体危険物タンクの溶接部に関する事項 危険物の規制に関する規則第六十二条の二の八(保安に関する検査を受けなければならない特殊液体危険物タンクの部分) 令第八条の四第三項第一号の総務省令で定める部分は、地中タンクの漏液防止板の部分とする。
地中タンクの保安検査で確認するのは、底部全体ではなく漏液防止板という限定された部分です。
一般的な特定屋外タンク貯蔵所は、液体危険物タンクの底部の板厚全体と溶接部を検査対象にします。
これに対して地中タンクは、総務省令が指定する部分、つまり漏液防止板だけが保安検査の対象です。
漏液防止板は、タンク本体の底板や側板の内側に設けられる鋼板で、万一の漏えいを内側で食い止めるために気密に造られた二重構造の内壁にあたります。
検査対象がこの部分に絞られているぶん、漏液防止板の状態を正確に把握しておくことが重要です。

底部全体ではなく、漏液防止板だけを見ればいいんですね。

そのとおりです。
ただし十三年という周期そのものには見落としやすい点があります。

十三年の周期はなぜ延長できないのか

延長できる一般タンクと固定周期の地中タンクを並べたイメージ
一般的な特定屋外タンク貯蔵所は、条件次第で周期を延ばせる仕組みがあります。
地中タンクにはこの仕組みが適用されません。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二の九(保安に関する検査を受けなければならない事由・抜粋) 令第八条の四第五項の総務省令で定める事由は、次に掲げるものとする。 二 地中タンクに(略)荷重を著しく超える荷重が加えられることその他の危険物又は可燃性の蒸気の漏えいのおそれがあると認められること。
一般タンクの延長制度は第一号のみが対象で、地中タンクの十三年には最初から延長の概念がありません。
一般的な特定屋外タンク貯蔵所(政令第8条の4第2項第1号)には、コーティングや板厚測定の結果に応じて周期を10年・13年・最長15年まで延ばせる仕組みがあります。
一方、地中タンクの周期は第三号で十三年と直接定められており、この延長の仕組みとは別建てです。
「たまたま延ばした結果が十三年」ではなく、最初から十三年で固定されている点を混同しないよう注意が必要です。
さらに規則第62条の2の9は、想定される荷重を著しく超える荷重が加わるなど漏えいのおそれがある事由が生じた場合、十三年を待たずに随時保安検査を受ける必要があると定めています。

十三年だから安心、というわけでもないんですね。

はい。
最後に、明日から何を確認すればよいかをまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

記録用のファイルを整理する技術者のイメージ
ここまでの内容を、実際の確認作業に落とし込みます。
順番に見ていきましょう。
危険物の規制に関する規則第六十二条の二の七・第六十二条の二の八(要旨) 特殊液体危険物タンク=地中タンクの保安検査は、地中タンクの漏液防止板の部分を対象とする。
まず自社の屋外タンク貯蔵所が地中タンクに該当するかどうかを確認してください。
該当する場合は、完成検査日または直近の保安検査日から十三年後の期限を確認します。
検査対象になる漏液防止板の点検記録を保管し、次回の保安検査に備えてください。
あわせて、想定荷重を著しく超える荷重が加わっていないかなど、随時保安検査の事由が生じていないかも確認します。
判断に迷う場合は、所轄消防署や日本消防設備安全センターなどの専門機関に確認するのが確実です。

まずはうちのタンクが地中タンクかどうかから確認します。

それが分かれば、周期も検査対象もはっきりします。

よくある質問

Q地中に埋まっているタンクなら必ず十三年周期になりますか?
A十三年周期が適用されるのは、規則が定める地中タンクの基準に該当する特定屋外タンク貯蔵所です。地中に設置されているというだけで自動的に該当するとは限らないため、該当性は個別に確認する必要があります。
Q十三年より短い間隔で検査を受けることはありますか?
Aはい。規則第六十二条の二の九が定める事由(想定荷重を著しく超える荷重が加わったなど)に該当すれば、十三年という定期の周期を待たずに随時保安検査を受ける必要があります。
Q漏液防止板とはどんな部品ですか?
Aタンクの底板や側板の内側に設けられる鋼板で、内部の危険物が万一漏れても外側へ広がらないよう気密に造られた二重構造の内壁です。地中タンクの保安検査では、この部分が検査対象になります。
Q一般の屋外タンク貯蔵所と同じ手続きで済みますか?
Aいいえ。周期や検査対象部分の根拠条文が異なるため、地中タンクとして扱われる施設は所轄消防署や市町村長等への個別の確認が欠かせません。

まとめ

地中タンクの保安検査は十三年ごとに固定されています
これは特殊液体危険物タンクという別区分に分類されるためです
総務省令が定める特殊液体危険物タンクは地中タンクだけです
検査対象は底部全体ではなく漏液防止板という限定された部分です
一般タンクのような10年・13年・最長15年への延長の仕組みは適用されません
想定荷重を著しく超える荷重が加わった場合は随時保安検査が必要です
まずは自社施設が地中タンクに該当するかどうかを確認してください

地中タンクだけの区分があるとは知りませんでした

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第14条の3
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第8条の4
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の2の7・第62条の2の8・第62条の2の9

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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