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移送取扱所の配管はなぜ海底に設置すると埋設が原則になるのか|30メートルの水平距離と接触防止で分かれる基準を解説

白いヘルメットとえんじ色の作業着姿の担当者が海に立つ配管の立ち上がり部を点検する様子

移送取扱所の配管は、地下や地上だけでなく海底に設置されることもあります。
危険物の規制に関する規則は、この海底設置についても細かな基準を定めていますが、内容は埋める深さだけではありません。
既設の配管との交差や水平距離、複数の配管どうしの接触まで、条文は場面ごとに求める対策を分けています。
この記事では、海底に設置する配管が満たすべき基準を、埋設の原則から立ち上がり部の防護工まで条文から整理します。

うちの配管、海底に設置するときも埋めれば十分だと思っていました。

いいえ。
既設の配管との交差や水平距離、複数の配管どうしの接触まで、条文は別々に定めているんです。

埋める以外にも、そんなに項目があるんですね。

はい。
今日は、海底に設置する配管の基準を条文から解説します。

この記事の結論
  • 海底に設置する配管は、投錨等で損傷するおそれがない場合等を除き埋設が原則です
  • 配管は原則として既設の配管と交差させてはならず、交差しない配置が求められます
  • 既設の配管に対しては、原則として30メートル以上の水平距離を確保しなければなりません
  • 二本以上の配管を同時に設置する場合は、相互に接触しないよう必要な措置を講じる必要があります
  • 配管の立ち上がり部には、告示で定める防護工の設置が原則として必要です

海底設置の配管基準は埋設原則と既設配管との交差回避と30メートルの水平距離と複数配管の接触防止と立ち上がり部の防護工の五段階からなり告示委任の細目を確認することを示す図解

移送取扱所の配管を海底に設置するときはなぜ埋設が原則になるのか

海底の砂の中に埋設される移送取扱所の配管
移送取扱所の配管を海底に設置する場合、まず問題になるのが配管の設置方法そのものです。
条文は、海底への設置方法について原則を定めています。
危険物の規制に関する規則第28条の17第一号(海底設置) 配管は、埋設すること。ただし、投錨等により配管が損傷を受けるおそれのない場合その他やむを得ない場合は、この限りでない。
海底設置の配管は、埋設するのが原則です。
規則第28条の17第一号は、海底に設置する配管について埋設することを原則として求めています。
ただし書きでは、投錨等により損傷を受けるおそれのない場合その他やむを得ない場合に限り、この原則から外れることを認めています。
つまり埋設しない設置が許されるのは例外であり、まず埋設が可能かどうかを検討することが前提になります。
次の見出しでは、既設の配管との関係について確認します。

海底に配管を置くときは、埋めなくてもよい場合があるんですか。

投錨等で損傷のおそれがない場合など、例外はありますが原則は埋設です。
次は既設の配管との関係を見てみましょう。

海底に設置する配管はなぜ既設の配管と交差させてはならないのか

既設の配管と交差しないよう海底で経路を分けて設置される配管
配管を海底に埋設するとしても、周囲にすでにある配管との関係を無視することはできません。
条文は既設の配管との位置関係についても定めています。
危険物の規制に関する規則第28条の17第二号(海底設置) 配管は、原則として既設の配管と交差しないこと。
新しく設置する配管は、既設の配管と交差させません。
規則第28条の17第二号は、配管が原則として既設の配管と交差しないことを求めています。
交差する配置は、施工時の損傷や維持管理時の作業干渉につながるおそれがあるため、原則として避けるべき配置とされています。
「原則として」という書き方から、既設配管の位置によってはやむを得ず交差する計画もあり得ますが、まず交差しない経路を優先して検討することになります。
次の見出しでは、既設の配管との距離そのものについて確認します。

既設の配管があっても、上を通せば問題ないと思っていました。

いいえ、原則として交差しない配置が求められます。
次は既設の配管との距離を見てみましょう。

既設の配管からなぜ30メートル以上の水平距離が必要になるのか

既設配管から30メートル以上離して設置される海底の配管
交差を避けるだけでなく、既設の配管とはどれくらい離れていればよいのかも問題になります。
条文はここでも「原則として」という留保付きで距離を定めています。
危険物の規制に関する規則第28条の17第三号(海底設置) 配管は、原則として既設の配管に対し三十メートル以上の水平距離を有すること。
既設の配管とは、原則30メートル以上離します。
規則第28条の17第三号は、配管が原則として既設の配管に対し30メートル以上の水平距離を有することを求めています。
地下埋設で他の工作物との距離が0.3メートル以上とされていたのと比べると桁が大きく異なり、海底という施工や維持管理が難しい環境を反映した規定になっています。
「原則として」の留保があるため、現場の海底地形や既設配管の配置次第では個別の検討が必要になる場合があります。
次の見出しでは、新設する配管どうしの関係を確認します。

30メートルも離すとなると、かなりの制約になりそうです。

そのぶん既設配管への影響を避けられます。
次は複数の配管を同時に設置する場合を見てみましょう。

二本以上の配管を同時に設置するときはなぜ接触防止の措置が必要になるのか

間隔を保って同時設置される二本の海底配管
既設の配管との関係が整理できたところで、次は新設する配管どうしの関係を確認します。
複数の配管を同時に設置する場合には、別の号が適用されます。
危険物の規制に関する規則第28条の17第四号(海底設置) 二本以上の配管を同時に設置する場合は、当該配管が相互に接触することのないよう必要な措置を講ずること。
配管どうしも、接触しないよう措置が必要です。
規則第28条の17第四号は、二本以上の配管を同時に設置する場合、当該配管が相互に接触することのないよう必要な措置を講ずることを求めています。
既設の配管との交差・距離とは別に、新設どうしの配管も接触を避ける設計が求められる点に注意が必要です。
条文は具体的な離隔の数値までは示していませんが、接触を防ぐという目的から施工時の配管間隔を検討することになります。
次の見出しでは、配管が海底から立ち上がる部分の基準を確認します。

複数の配管を並べて設置するときは、束ねてしまってもよいのでしょうか。

いいえ、相互に接触しないよう措置が必要です。
次は立ち上がり部の基準を見てみましょう。

立ち上がり部の防護工はどんな場合に必要になるのか

立ち上がり部に防護工を設けた海底設置配管
ここまでの基準に加えて、配管が海底から陸上や施設に向けて立ち上がる部分にも基準があります。
最後に実務での確認の流れを整理します。
危険物の規制に関する規則第28条の17第五号(海底設置) 配管の立ち上がり部には、告示で定める防護工を設けること。ただし、係船浮標にいたる立ち上がり部の配管に鋼製以外のものを使用する場合は、この限りでない。
立ち上がり部には、原則として防護工を設けます。
規則第28条の17第五号は、配管の立ち上がり部について告示で定める防護工を設けることを求めています。
ただし書きでは、係船浮標にいたる立ち上がり部の配管に鋼製以外のものを使用する場合は、この限りでないとされています。
実務ではまず、自社の配管がどの号に該当する条件下にあるか(埋設の可否、既設配管との交差・距離、複数配管の配置、立ち上がり部の有無)を洗い出します。
そのうえで、設計時の計算書や施工記録に、告示が求める防護工の仕様が反映されているかを一つずつ突き合わせます。

うちの配管の立ち上がり部が、防護工の対象になるか確認してみます。

記録が見つかれば、該当する号ごとに突き合わせられます。

よくある質問

Q海底に配管を設置するときは、必ず埋設しなければなりませんか?
Aいいえ。規則第28条の17第一号は埋設を原則としつつ、投錨等により配管が損傷を受けるおそれのない場合その他やむを得ない場合は埋設しなくてもよいとしています。
Q既設の配管とは絶対に交差できませんか?
A規則第28条の17第二号は原則として交差しないことを求めており、まず交差しない経路を優先して検討する必要があります。
Q既設の配管からの30メートルという距離に例外はありますか?
A規則第28条の17第三号も原則として30メートル以上としており、現場の海底地形などによっては個別の検討が必要になります。
Q立ち上がり部の防護工が不要になる場合はありますか?
Aはい。係船浮標にいたる立ち上がり部の配管に鋼製以外のものを使用する場合は、告示で定める防護工の設置を要しません。

まとめ

移送取扱所の配管を海底に設置する場合は、投錨等で損傷のおそれがない場合等を除き埋設が原則です
配管は原則として既設の配管と交差してはならず、交差しない配置が求められます
既設の配管に対しては原則30メートル以上の水平距離を確保しなければなりません
二本以上の配管を同時に設置する場合は相互に接触しないよう必要な措置を講じます
配管の立ち上がり部には告示で定める防護工を設けるのが原則です
係船浮標にいたる立ち上がり部で鋼製以外の配管を使う場合は、防護工の設置を要しません
まずは該当する号ごとに設計記録や施工記録が残っているかを確認してください

海底に置くだけでこんなに条件があるとは知りませんでした

まずは該当する号の洗い出しから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の17

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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