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LPガスの点検はなぜ販売店以外の会社が来ることがあるのか|保安業務と保安機関への委託を解説

LPガスの点検はなぜ販売店以外の会社が来ることがあるのかを解説するアイキャッチ画像

LPガスを使っているご家庭に、契約した覚えのない会社の人が点検にやってきたら、あなたはどう思いますか。
「うちが契約しているのは別の販売店のはずなのに」と戸惑う方も少なくありません。
実はこの点検業務は、契約している販売店本体だけでなく、別に認定を受けた会社が担うことも法律上認められています。
本記事では液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第二十七条が定める保安業務の中身と、保安機関への委託の仕組みを解説します。

うちが契約しているのは○○商店なのに、来たのは知らない会社の人でした。
ちょっと不安になります。

法律上、保安業務は認定を受けた別の会社に委託できる仕組みになっています。
順番に見ていきましょう。

そもそも、なぜ販売店が家の中の設備まで調べる義務があるんですか。
うちの持ち物なのに。

供給設備と消費設備という区分の違いが関わっています。
まずは第二十七条の中身から確認しましょう。

この記事の結論
  • 液化石油ガス法第二十七条は、LPガス販売事業者に契約者の消費設備まで調査する保安業務を義務づけています
  • 保安業務は、供給設備の点検・消費設備の調査・周知・緊急時対応の4つの業務です。
  • 販売事業者は保安業務の全部または一部を、認定を受けた保安機関に委託することができます
  • 委託している範囲では、販売事業者自身にはこの義務が適用されません
  • 保安業務そのものには、直接の罰則が定められていません

LPガス販売事業者の保安業務と保安機関への委託の仕組みを示す図解

LPガス販売店はなぜ契約者宅の設備まで調査する義務があるのか

屋外のLPガスボンベと調整器、家の中のガスコンロを並べたイラスト
LPガスは屋外のボンベから家の中の機器まで、ひと続きの設備でつながっています。
ところが、この設備は法律上ふたつの区分に分かれています。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第二条第四項・第五項(定義・要旨) 「供給設備」とは、液化石油ガス販売事業の用に供する液化石油ガスの供給のための設備及びその附属設備をいう。「消費設備」とは、一般消費者等に販売する液化石油ガスに係る消費のための設備(供給設備に該当するものを除く。)をいう。
同法第二十七条第一項(保安業務を行う義務・柱書) 液化石油ガス販売事業者は、その販売契約を締結している一般消費者等について次に掲げる業務(以下「保安業務」という。)を行わなければならない
供給設備は販売店の資産、消費設備は契約者の所有物です。
それにもかかわらず、法律は販売事業者に対して契約者の消費設備まで調査する義務を課しています。
理由は単純で、一般の契約者に配管やガス機器の技術的な点検・保守を求めるのは現実的ではないからです。
だからこそ、専門知識を持つ供給側に安全確保の責任を負わせる制度設計になっているわけです。
次は、この義務の対象になる範囲を具体的に見ていきましょう。

うちの持ち物なのに、なんで販売店が調べる義務を負うんでしょう。
不思議な仕組みですね。

一般消費者に管理を任せるのは現実的ではないからです。
次は対象になる設備を詳しく見てみましょう。

対象になるのはどの設備とどの契約者なのか

ガスメーターを境に外側の供給設備と内側の消費設備を示すイラスト
境目になるのはガスメーターです。
そこから先がどちらの設備かで、義務を負う側が変わります。
同法第二条第二項(定義・要旨) 「一般消費者等」とは、液化石油ガスを燃料として生活の用に供する一般消費者及び、消費の態様が一般消費者の場合に類似しているものとして政令で定める者をいう。
対象は一般家庭だけに限りません。
店舗や事業所であっても、消費の実態が家庭用に近いと政令で定められていれば「一般消費者等」に含まれ、保安業務の対象になります。
供給設備はボンベや調整器のように販売事業者側で管理する部分、消費設備はメーターより先の屋内配管やガス機器を指します。
自分の契約がどちらの区分にあたるか意識したことがない方も多いはずです。
次は、保安業務が具体的に何をすることなのかを見ていきましょう。

業務用でも対象になることがあるんですね。
家庭用だけの話だと思っていました。

消費の実態が家庭用に似ていれば含まれます
次は保安業務の中身を見てみましょう。

保安業務としてなにを行うことになっているのか

点検クリップボードを持つ担当者とガスコンロ、周知用のリーフレットを並べたイラスト
「保安業務」とひとくくりに言っても、条文は中身を4つに分けています。
順番に確認しましょう。
同法第二十七条第一項各号(要旨) 一供給設備を点検し、技術上の基準に適合しないときは措置と結果を通知する業務 二消費設備を調査し、技術上の基準に適合しないときは措置と結果を所有者又は占有者に通知する業務 三災害の発生の防止に必要な事項を一般消費者等に周知させる業務 四災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に、速やかにその措置を講ずる業務
四号業務のうち、点検と調査は「見つけたら終わり」ではありません。
一号・二号は基準に適合しないと分かった場合、とるべき措置とその結果を通知するところまでが業務です。
三号は日頃の周知、そして四号は災害発生時の緊急対応という、平時と非常時の両方をカバーする構成になっています。
点検や調査を受けるだけでなく、通知や周知の内容にも目を通しておくことが実務上のポイントです。
次は、なぜこの業務を契約先とは別の会社が行うことがあるのかを見ていきましょう。

調べるだけじゃなく、何かあったときの対応まで義務なんですね。
ここまで幅広いとは思いませんでした。

四号は災害時の緊急対応の義務です。
次はなぜ別の会社が来ることがあるのかを見てみましょう。

なぜ販売店ではなく別の会社が来ることがあるのか

異なる作業服の担当者と車両を2組並べたイラスト
保安業務は、契約している販売店が自分で行うとは限りません。
条文には、もうひとつの仕組みが用意されています。
同法第二十九条第一項(認定・要旨) 保安業務を行おうとする者は、経済産業省令で定める保安業務の区分に従い、経済産業大臣又は都道府県知事等の認定を受けることができる
同法第二十七条第二項(要旨) 前項の規定は、液化石油ガス販売事業者が前条の認定を受けた者(保安機関)にその保安業務の全部又は一部について委託しているときは、その委託している範囲において適用しない
委託先の保安機関も、法律上正式に保安業務を行う主体です。
販売事業者は保安業務の全部または一部を認定を受けた保安機関に委託でき、委託している範囲では販売事業者自身の義務は及ばなくなります。
つまり、見慣れない会社の担当者が来ても、それだけで不審に思う必要はありません。
もうひとつ見落としやすいのが、保安業務そのものには直接の罰則が定められていないという点です。第二十七条は罰則条文(第九十六条〜第百一条)のどこにも引用されておらず、点検や調査を怠っても直接の罰金・拘禁刑は条文上ありません。
ただし供給設備や消費設備が技術上の基準に適合しない状態を放置し、行政の是正命令にまで違反すれば、別途三十万円以下の罰金が科される仕組みになっています。
次は、これらをふまえて明日から何を確認すべきかをまとめます。

見慣れない会社が来ても、それだけで不安に思う必要はないんですね。
少し安心しました。

認定を受けた正規の保安機関であれば問題ありません。
次は明日からの確認事項をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

電話とメモ帳、冷蔵庫に貼られた連絡先メモを並べたイラスト
条文の仕組みが分かったところで、実務に落とし込みましょう。
確認すべきポイントを整理します。
同法第二十七条第一項第四号(再掲・要旨) 液化石油ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、速やかにその措置を講ずる業務。
まず、契約している販売店が自社で保安業務を行っているか、保安機関に委託しているかを確認してください。
契約時の説明書や検針票に緊急時の連絡先が記載されていることが多いので、見当たらなければ販売店に問い合わせておきましょう。
点検や調査の通知が来たときは、担当者が誰であっても日程調整に応じることが基本です。
そのうえで、ガス臭いなどの異常に気づいたときにすぐ連絡できるよう、緊急連絡先を電話のそばに控えておくことが実務上のポイントです。
罰則の有無にかかわらず、今日のうちに連絡先を確認しておいてください。

まずは緊急連絡先を控えておきます。
検針票も見直してみます。

日頃の周知徹底が一番の備えになります。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

QLPガス設備の点検は必ず契約している販売店本体が来ますか?
Aいいえ。第二十七条第二項により、販売事業者が保安業務を認定を受けた保安機関に委託している場合は、委託先の担当者が対応することがあります。
Q店舗などの業務用契約でも保安業務の対象になりますか?
A対象になります。消費の態様が一般消費者に類似していると政令で定められている場合は、業務用契約であっても「一般消費者等」に含まれます。
Q保安機関とはどのような会社ですか?
A第二十九条にもとづき、経済産業大臣又は都道府県知事等の認定を受けて保安業務を行う事業者です。認定を受けていない会社が保安業務を代行することはできません。
Q保安業務を怠った販売事業者に罰則はありますか?
A第二十七条そのものには直接の罰則が明記されていません。ただし設備の技術基準に関する是正命令に違反すれば、別途三十万円以下の罰金が科されることがあります。

まとめ

液化石油ガス法第二十七条は、販売事業者に契約者の消費設備まで調査する保安業務を義務づけています
対象は一般家庭に限らず、消費の態様が似ている業務用契約も含まれます。
保安業務は点検・調査・周知・緊急対応という4つの業務からなります
保安業務は認定を受けた保安機関に委託でき、委託範囲では販売事業者自身の義務は及びません。
保安業務そのものには直接の罰則が定められていません
ただし技術基準の是正命令に違反すれば、三十万円以下の罰金が別途科されます。
契約先が自社対応か保安機関への委託かを確認しておくと安心です。

LPガスの保安業務の仕組みがよく分かりました。
うちの緊急連絡先も確認しておきます。

日頃の備えが一番の安心につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第2条・第16条の2・第27条・第29条・第35条の5・第96条〜第101条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の契約や設備の状況については、契約先の販売店にご確認ください

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