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第二種住居地域の車庫はなぜ300平方メートルで頭打ちになるのか|建築基準法別表第二(へ)項第四号の規制を解説

夕暮れの住宅街に建つ多層階の自動車車庫の外観写真

第二種住居地域を歩いていると、住宅や店舗と並んで自家用車をまとめて停める車庫を見かけることがあります。
第二種住居地域は工場や店舗まで幅広い用途が認められている地域ですが、車庫だけは規模によって建築そのものが制限されます。
建築基準法は、床面積の合計が300平方メートルを超える自動車車庫や、3階以上の部分にある自動車車庫を、この地域では原則建てられないと定めています。
ただし建物に附属する車庫であれば、政令が定める条件を満たすことで例外的に建てられる道が用意されています

知り合いが第二種住居地域の自宅の敷地に大きめの車庫を建てたいと相談してきたのですが、広さの制限はあるのでしょうか。

実は自動車車庫には建築の可否そのものを決める規制があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。

車を何台か置ける広さにしたいと言っていました。

それなら建物に附属する車庫かどうかで扱いが変わります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第二種住居地域では、建築基準法第48条第6項により別表第二(へ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
  • 床面積の合計が300平方メートルを超える自動車車庫、または3階以上の部分にある自動車車庫は、別表第二(へ)項第四号により原則建てられません
  • 建築基準法施行令第百三十条の八により、建物に附属する自動車車庫であれば例外的に建築が認められる場合があります。
  • 附属車庫の例外が認められるのは、車庫の床面積が同じ敷地内の建物(車庫部分を除く)の延べ面積を超えず、かつ3階以上を車庫にしない場合です
  • 複数の建物をまとめて計画する公告対象区域内では、この床面積の比較を区域全体で行うことができます。

第二種住居地域における自動車車庫の床面積規制と附属車庫の例外条件を確認する流れの図解

第二種住居地域で自動車車庫を建てるとどんな制限があるのか

住宅街に建つ禁止マーク付きの大きな自動車車庫の建物
第二種住居地域は、工場や店舗まで比較的幅広い用途が認められている地域です。
ところが自動車車庫だけは、広さと階数によって建築そのものが制限される場合があります。
建築基準法別表第二(へ)項第四号 第二種住居地域内に建築してはならない建築物 四 自動車車庫で床面積の合計が300平方メートルを超えるもの又は3階以上の部分にあるもの(建築物に附属するもので政令で定めるもの又は都市計画として決定されたものを除く。)
条文が定める車庫の上限は、面積か階数のどちらか一方に触れただけで建築が禁止される作りになっています
別表第二(へ)項第四号は、床面積の合計が300平方メートルを超える自動車車庫と、3階以上の部分にある自動車車庫の両方を対象にしています。
面積と階数は「又は」で結ばれているため、どちらか一方に該当するだけで原則建築が認められません。
条文の末尾には「政令で定めるもの又は都市計画として決定されたものを除く」という除外規定が続いており、対象から外れる車庫があります。
次は、この政令が定める例外がどんな車庫を指すのかを見ていきましょう。

面積か階数のどちらかに当てはまったら、もう建てられないということですか。

はい、どちらか一方でも該当すれば原則不可です。
次は政令の例外を見てみましょう。

建物に附属する車庫ならどんな条件で例外になるのか

住宅に付属する小さめの許可マーク付き自動車車庫のイラスト
別表第二(へ)項第四号の「政令で定めるもの」を受けているのが、建築基準法施行令第百三十条の八です。
ここには、附属車庫として認められる具体的な条件が書かれています。
建築基準法施行令第百三十条の八第一号 法別表第二(へ)項第四号の規定により政令で定める建築物に附属する自動車車庫は、次に掲げるものとする。一 床面積の合計に同一敷地内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積を加えた値が当該敷地内にある建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計を超えないもの(3階以上の部分を自動車車庫の用途に供するものを除く。)
附属車庫として認められるかどうかは、面積の絶対値ではなく建物本体との比較で決まります
車庫の床面積の合計が、同じ敷地内にある建物(車庫部分を除く)の延べ面積を超えなければ、300平方メートルという上限を超えても附属車庫として扱われます。
つまり大きな建物であれば、それに見合った大きさの車庫を附属させることができます。
ただし、この号でも3階以上の部分を車庫にすることは認められていません。
次は、複数の建物をまとめて計画する場合にこの比較がどう変わるのかを見ていきましょう。

うちは車庫だけ単独で建てたいのですが、それでも附属扱いになりますか。

いいえ、建物に附属していることが前提です。
独立した車庫は対象外なので気を付けましょう。

複数の建物をまとめて計画する場合はどう扱われるのか

複数の建物の間に建つ共用の自動車車庫のイラスト
同じ敷地でなく、複数の建物をまとめて開発する場合の車庫の扱いも施行令に定められています。
これは建築基準法第86条の認定や許可を受けて公告される「公告対象区域」という仕組みに関わります。
建築基準法施行令第百三十条の八第二号 二 公告対象区域内の建築物に附属する自動車車庫で、床面積の合計に同一公告対象区域内にある建築物に附属する他の自動車車庫の床面積の合計及び当該公告対象区域内にある建築物に附属する自動車車庫の用途に供する工作物の築造面積を加えた値が当該公告対象区域内の建築物(自動車車庫の用途に供する部分を除く。)の延べ面積の合計を超えないもの(3階以上の部分を自動車車庫の用途に供するものを除く。)
公告対象区域内では、車庫の面積比較を一つの敷地だけでなく区域全体で行うことができます
公告対象区域とは、建築基準法第86条の認定または許可を受けて公告された、複数の建築物をまとめて扱う区域のことです。
この区域内であれば、複数の建物に附属する車庫の合計面積を、区域内の建物全体の延べ面積と比較して判断します。
一団地としてまちづくりを進める大規模な計画では、この仕組みによって共用の車庫棟を建てやすくなっています。
次は、この規制で実務上見落としやすいポイントを整理します。

一団地の計画だと、車庫の考え方まで変わるんですね。

はい、区域全体で比較する点が個別の敷地とは違います。
次は見落としやすい点を確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

建物の上階に建つ禁止マーク付きの小さな自動車車庫のイラスト
附属車庫の例外は便利な仕組みですが、条文の作りを誤解すると計算を間違えます。
実務でとくに見落としやすいのは、面積の条件と階数の条件を切り離して考えてしまうことです。
建築基準法施行令第百三十条の八第一号・第二号(各号共通の括弧書き) (略)3階以上の部分を自動車車庫の用途に供するものを除く。
面積の条件を満たしていても、3階以上を車庫にした時点で附属車庫の例外は使えなくなります
施行令第百三十条の八の一号・二号はどちらも、条文の末尾で3階以上の部分を車庫にするものを除くと重ねて念押ししています。
建物本体との延べ面積の比較さえ満たせば車庫の規模は自由と誤解しがちですが、階数の条件は比較の結果に関係なく独立して効いてきます。
また、建物に附属していない独立した車庫は、そもそもこの施行令の例外の対象になりません。
次は、こうした見落としを避けるために事前に確認すべき手順を整理します。

屋上や2階部分に車庫を増設する計画は要注意ということですね。

そのとおりです。
3階以上は面積に関係なく対象になります。

車庫を建てる前に何を確認すればよいか

役所の窓口カウンターと図面が置かれた製図机のイラスト
ここまでの条件をどれも満たせない場合でも、建築基準法には最後の手続きが残されています。
第48条第6項のただし書がその道です。
建築基準法第48条第15項 特定行政庁は、前各項のただし書の規定による許可(次項において「特例許可」という。)をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければならない
車庫を建てる前には、条件を上から順に確認していくのが近道です
まず敷地が第二種住居地域かどうかを確認し、次に車庫の床面積と3階以上の部分の有無を確認します。
建物に附属する車庫であれば、建物本体の延べ面積との比較、または公告対象区域内かどうかを確認します。
どの条件にも当てはまらない場合は、特定行政庁の特例許可を早めに相談する必要があります。
順番に確認していけば、着工前に思わぬ手戻りを防ぐことができます。

思っていたより先に確認すべきことが多そうです。

着工前の確認が何より大切です。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q敷地内の車庫はすべて300平方メートル以下に抑えないといけませんか?
Aいいえ。建物に附属する車庫であれば、施行令第百三十条の八により建物本体の延べ面積までは300平方メートルを超えても建てられます。附属していない独立した車庫は、この例外の対象外です。
Q建物と同じくらいの延べ面積の車庫なら何階でも建てられますか?
Aいいえ。施行令第百三十条の八の例外は3階以上の部分を車庫にしないことが条件です。面積の条件を満たしても、3階以上に車庫があれば例外の対象になりません。
Q公告対象区域とはどんな区域ですか?
A建築基準法第86条の認定または許可を受けて公告された、複数の建築物をまとめて一つの敷地のように扱う区域です。この区域内では車庫の面積比較を区域全体で行えます。
Q例外に当てはまらない場合、車庫を建てる方法はありませんか?
A特定行政庁の特例許可(第48条第6項ただし書)を得れば、例外的に建てられる場合があります。許可には公開の意見聴取と建築審査会の同意が必要です。

まとめ

第二種住居地域では、建築基準法第48条第6項により別表第二(へ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
床面積の合計が300平方メートルを超える自動車車庫、または3階以上の部分にある自動車車庫は、別表第二(へ)項第四号により原則建てられません
建築基準法施行令第百三十条の八により、建物に附属する自動車車庫であれば例外的に建築が認められる場合があります。
附属車庫の例外が認められるのは、車庫の床面積が同じ敷地内の建物(車庫部分を除く)の延べ面積を超えず、かつ3階以上を車庫にしない場合です
公告対象区域内では、複数の建物をまとめて床面積の比較を区域全体で行うことができます。
面積の条件を満たしていても、3階以上の部分を車庫にすると例外の対象から外れます。
例外に当てはまらない場合でも、特定行政庁の特例許可(意見聴取と建築審査会の同意)を得れば建てられる道が残されています。

知り合いに車庫の面積と階数を確認するよう伝えてみます!

附属車庫の条件の確認も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第48条第6項・第15項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法別表第二(へ)項第四号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十条の八(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法第86条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。建物の用途区分や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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