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液化石油ガスの標識はなぜ販売店以外が掲げると違法になるのか|掲示とインターネット公開の義務を解説

液化石油ガス販売店の入り口に標識とガスボンベがある様子

液化石油ガスの販売店の入り口に、決まった形の標識が掲げてあるのを見たことはありませんか。
実はあの標識、液化石油ガス法第七条によって掲示が義務付けられているものです。
では、契約前にその会社が正規の販売店かどうかは、どうやって確かめればよいのでしょうか。
本記事では液化石油ガス法第七条を取り上げ、標識の掲示義務とインターネット公開の範囲、販売店以外が標識を掲げた場合にどうなるのかを解説します。

そういえば、契約している業者の標識を見た記憶がありません。
特に気にしたことがありませんでした。

実は掲示する場所も内容も法律で決まっています。
順番に見ていきましょう。

もし標識のない業者と契約していたら、大丈夫なんでしょうか。

実は標識を掲げてよいのは登録業者だけという決まりもあります。
その理由から見てみましょう。

この記事の結論
  • 液化石油ガス販売事業者は、販売所ごとに経済産業省令で定める様式の標識を公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません
  • 標識の掲示義務は会社単位ではなく、複数の店舗があれば販売所ごとに必要です。
  • 小規模な事業者などを除き、インターネット上でも標識と同じ内容を公開する義務があります
  • 液化石油ガス販売事業者でない者が、この標識や紛らわしい表示を掲げたりネットで公開したりすることは禁止されています。
  • 違反すると命令を挟まず二十万円以下の罰金の対象になり、書面交付義務(第十四条)とは罰則の構造が異なります

液化石油ガス法第七条が定める標識の掲示とインターネット公開の義務、販売店以外が掲げた場合の罰則を示す図解

液化石油ガスの販売所になぜ標識を掲げなければならないのか

小さな店舗の入り口に掲げられた標識とガスボンベを並べたイラスト
液化石油ガスは配管でつながる都市ガスと違い、契約者以外には販売店の実態が分かりにくい商品です。
だからこそ法律は、まず目に見える場所に情報を出すことを義務にしています。
液化石油ガス法第七条第一項(要旨) 液化石油ガス販売事業者は、経済産業省令で定める様式の標識について、販売所ごとに公衆の見やすい場所に掲示する(略)しなければならない。
液化石油ガス法は、販売事業者に対して標識の掲示そのものを義務にしています。
液化石油ガスの取扱いには国への登録が必要で、標識はその登録業者であることを示す目印になります。
標識の様式は経済産業省令(施行規則第八条)で「様式第四」として定められており、業者が自由な形式で作ることはできません。
では、この標識はどの販売所にも同じように必要なのでしょうか、次で確認しましょう。

登録した会社の目印だったんですね。
複数の店舗を持つ会社ならどうなるんでしょうか。

実は単位は会社ではなく販売所です。
次はその範囲を見てみましょう。

標識を掲げなければならないのはどの範囲なのか

形の異なる二つの小さな店舗がそれぞれ独自の標識を掲げているイラスト
義務の単位が会社全体なのか、それとも個々の店舗なのかで、実務の手間は大きく変わります。
条文を確認しましょう。
液化石油ガス法第七条第一項(要旨) (略)標識について、販売所ごとに公衆の見やすい場所に掲示(略)しなければならない。
義務の単位は会社ごとではなく、販売所ごとです。
複数の店舗や営業所を構える事業者であっても、それぞれの販売所に個別の標識を掲示しなければなりません。
本社だけに掲示して支店を素通りする、といった扱いは認められません。
標識の様式は経済産業省令が定める様式第四に統一されており、店舗ごとに体裁を変えることもできません。
では、この標識には掲示以外にどんな義務が付いているのでしょうか。

支店ごとに必要というのは知りませんでした。
お店に行かずに確認する方法はないんでしょうか。

実はインターネット公開の義務もあります。
次はその中身を見てみましょう。

標識だけでなくインターネット公開も必要なのか

標識とパソコン画面に表示された書類アイコンを線でつないだイラスト
来店しなくても契約先を確認できるなら、消費者にとって心強い仕組みになります。
条文を見てみましょう。
液化石油ガス法第七条第一項(要旨) (略)販売所ごとに公衆の見やすい場所に掲示するとともに、その事業の規模が著しく小さい場合その他の経済産業省令で定める場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(略)により公衆の閲覧に供しなければならない。
標識の掲示に加えて、インターネット上での公開も法律上の義務です。
条文がいう「電気通信回線に接続して行う自動公衆送信」とは、要するにウェブサイトなどで同じ情報を公開することを指します。
この公開義務は、事業の規模が著しく小さい場合など経済産業省令で定める場合には除かれますが、店頭の標識そのものはどの規模の事業者にも変わらず必要です。
つまり、来店せずに契約先を確認したい消費者は、まずその会社のサイトで同じ標識情報が公開されているかを見るという方法が取れます。
それでは、この標識やネット公開を事業者以外の人が行った場合はどうなるのでしょうか。

サイトで確認できるのは便利ですね。
逆に、関係ない人が同じ標識を使ったらどうなるんですか。

実は法律で明確に禁止されています。
次はその落とし穴を見てみましょう。

販売店以外が標識を掲げたらどうなるのか

正規の標識を掲げた店舗に青い確認マーク、同じ標識を掲げた無関係の建物に赤い禁止マークを添えたイラスト
標識を掲げてよいのは、いったい誰なのでしょうか。
条文を比べてみましょう。
液化石油ガス法第七条第二項 液化石油ガス販売事業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示し、又は電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供してはならない。
液化石油ガス法第百一条(要旨) 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。一 第七条又は第三十八条の二の規定に違反したとき。(略)
標識を掲げてよいのは、登録を受けた液化石油ガス販売事業者だけです。
第七条第一項が定める掲示の義務だけでなく、第二項は無関係の第三者が同じ標識や紛らわしい標識を使うことも禁止しています。
違反した場合は、第百一条第一号により二十万円以下の罰金の対象になります。
これまでの書面交付の義務(第十四条)が是正命令を経てはじめて罰則につながるのに対し、標識に関する規定は命令を挟まず違反そのものが直接罰則の対象になる点が異なります。

いきなり罰則の対象になるとは思いませんでした。
契約前にはどこを見ればよいのでしょうか。

確認するポイントを整理しましょう。
次で具体的に見ていきます。

契約前になにを確認しておけばよいのか

虫眼鏡で標識を確認する場面とスマートフォンに表示された書類アイコンを並べたイラスト
制度の全体像が分かったところで、実務に落とし込みましょう。
最後に、標識の様式そのものも確認しておきます。
液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則第八条 法第七条の規定による標識の掲示は、様式第四によりするものとする。
契約前には、まず販売所に掲示されている標識を確認してください。
標識には決まった様式(様式第四)があるため、手書きや簡易な貼り紙だけで済ませている相手は注意が必要です。
あわせて、その会社のホームページに同じ情報が公開されているかも確認しましょう。
標識がない、あるいは無関係の会社の名前で標識を掲げているような場合は、登録の有無を経済産業局等に問い合わせることができます。

今度、うちが契約している会社の標識を確かめてみます。

標識とサイトの両方を見る習慣が一番の備えです。
次によくある質問をまとめます。

よくある質問

Q標識にはどんな内容が書かれていますか?
A経済産業省令が定める様式第四に基づいて記載されます。業者が自由に体裁を決めることはできません。
Q小さな販売店でもインターネット公開は必要ですか?
A液化石油ガス法第七条第一項により、事業の規模が著しく小さい場合など経済産業省令で定める場合は除かれます。ただし店頭への標識掲示自体は規模にかかわらず必要です。
Q契約していない業者の標識を見かけたらどうすればよいですか?
A液化石油ガス法第七条第二項により、液化石油ガス販売事業者でない者がこの標識や紛らわしい標識を掲げることは禁止されています。不審な場合は登録の有無を確認してください。
Q標識に関する規定に違反すると、どうなりますか?
A液化石油ガス法第百一条第一号により、二十万円以下の罰金の対象になります。書面の交付義務(第十四条)のように是正命令を経る仕組みとは異なり、規定違反そのものが直接罰則につながります。

まとめ

液化石油ガス販売事業者は、販売所ごとに経済産業省令で定める様式の標識を公衆の見やすい場所に掲示しなければなりません
標識の様式は施行規則第八条が定める様式第四で統一されています。
その事業の規模が著しく小さい場合などを除き、インターネット上でも標識と同じ内容を公開する義務があります
この公開義務は経済産業省令が定める小規模な事業者等には適用されません。
液化石油ガス販売事業者でない者は、この標識や紛らわしい標識を掲示したり、インターネットで公開したりしてはいけません
違反すると命令を挟まず、第百一条第一号により二十万円以下の罰金の対象になります。
契約前には標識とインターネット公開の両方を確認し、どちらも無い相手には登録の有無を問い合わせましょう

標識の意味がよく分かりました!
今度は自分の契約先の標識をきちんと確認してみます。

契約先の確認が一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第7条・第101条
  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(平成9年通商産業省令第11号)第8条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の判断については登録行政庁または所轄の消防署にご確認ください

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