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準住居地域の工場はなぜ空気圧縮機だけ7.5キロワットまで許されるのか|建築基準法別表第二(と)項第三号の規制を解説

空気圧縮機を備えた小さな工場が住宅街の角に建つ外観写真

準住居地域は、住居の環境を守りながらも沿道の工場や事業所をある程度受け入れる用途地域です。
そのため建築基準法別表第二(と)項第三号は、特定の事業を営む工場をまとめて建築禁止の対象にしています。
ただしこの号には、政令で定める例外がただ一つだけ用意されています。
その例外の対象になるのが空気圧縮機を使用する事業で、条件を満たせば出力の上限が引き上げられます

知り合いが準住居地域に空気圧縮機を使う工場を建てたいと言っているのですが、図面の許可が下りにくいと聞きました。

実は建築基準法別表第二(と)項第三号に、空気圧縮機を使う事業だけの例外規定があるんです。
まず条文で仕組みを確認しましょう。

工場ならなんでも例外になるわけではないのですね。

はい、対象は空気圧縮機を使用する事業に限られます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 準住居地域では、建築基準法第48条第7項により別表第二(と)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
  • 特定の事業を営む工場は、同項第三号(一)から(十六)までに掲げる事業のいずれかに該当すると建築禁止の対象になります
  • ただしそのうち空気圧縮機を使用する事業(十一)に限り、施行令第百三十条の八の三に例外規定があります。
  • 国土交通大臣が防音上有効な構造と指定した機種で、出力の合計が7.5キロワット以下であれば建築が認められます
  • 他の号にはこの政令委任が無く、自動車修理工場のような特例許可の同意省略の対象にもなっていません。

空気圧縮機を使用する工場の出力上限の例外をまとめた図解

準住居地域の工場は何が建築の可否を分けるのか

住宅街の一角に建つ小さな工場のイラスト
準住居地域は、沿道の利便施設や小規模な事業所を受け入れる用途地域です。
それでも特定の事業を営む工場は、業種そのものによって建築できるかどうかが分かれます。
建築基準法別表第二(と)項 準住居地域内に建築してはならない建築物 三 次に掲げる事業(特殊の機械の使用その他の特殊の方法による事業であつて住居の環境を害するおそれがないものとして政令で定めるものを除く。)を営む工場
この号は、業種を列挙する形で工場の建築を制限しています
列挙されているのは(一)から(十六)までに掲げる事業で、メッキや原動機を使用する印刷などが含まれます。
これらの事業を営む工場は、原則としてこの地域には建てられません
ただし括弧書きに、政令で定める例外がただ一つ用意されています。
次は、その例外の中身を確認しましょう。

こんなに事業の種類があると、うちの工場が対象かどうか心配になりますね。

はい、列挙された事業のどれかに当てはまるかがポイントです。
次は例外の中身を見ていきましょう。

なぜ空気圧縮機の事業だけ例外が定められているのか

防音型と通常型の空気圧縮機を備えた工場を並べたイラスト
条文の括弧書きは「政令で定めるもの」とだけ書かれており、中身は施行令に委ねられています。
実際にその政令を見ると、対象になる事業は一つだけに絞られています。
建築基準法施行令第百三十条の八の三 法別表第二(と)項第三号の規定により政令で定める特殊の方法による事業は、同号(十一)に掲げる事業のうち、国土交通大臣が防音上有効な構造と認めて指定する空気圧縮機で原動機の出力の合計が7.5キロワット以下のものを使用する事業とする
政令が例外として認めているのは、(一)から(十六)までのうち(十一)の空気圧縮機を使用する事業だけです
(十一)の本文は「原動機の出力の合計が1.5キロワットを超える空気圧縮機を使用する作業」を禁止対象としています。
施行令はこの基準を緩め、国土交通大臣が防音上有効な構造と認めて指定した機種に限り、出力の合計が7.5キロワット以下まで認めています。
つまり指定機種であれば、基準となる出力を大きく引き上げられる計算です。
次は、この例外に条件が二つある点を確認しましょう。

国土交通大臣が指定した機種というのは、どこで分かるのでしょうか。

指定は機種ごとの型式で行われます。
次は指定と出力、両方の条件を見ていきましょう。

出力を上げれば上げるほど有利になるわけではないのか

空気圧縮機の台数が違う工場を並べたイラスト
前の号で見た例外には、実は二つの条件が同時に必要です。
どちらか一方が欠けると、例外の対象から外れてしまいます。
建築基準法施行令第百三十条の八の三(再掲) 国土交通大臣が防音上有効な構造と認めて指定する空気圧縮機で原動機の出力の合計が7.5キロワット以下のものを使用する事業とする
条件は「国土交通大臣の指定を受けた機種であること」と「出力の合計が7.5キロワット以下であること」の両方です
指定を受けた機種であっても、複数台をまとめて使用して合計出力が7.5キロワットを超えれば、例外の対象から外れます。
逆に出力が小さくても、国土交通大臣の指定を受けていない機種であれば、同じく例外の対象になりません。
その場合は元の基準どおり、出力の合計が1.5キロワットを超えた時点で建築禁止に戻ります。
次は、他の号に掲げる事業にも同じような例外があるのかを確認しましょう。

大きい機種ほど得というわけではないのですね。

はい、指定と出力の両方を満たす必要があります。
次は他の事業と比べてみましょう。

自動車修理工場や他の事業とは何が違うのか

金属プレス機の工場と自動車整備工場を並べたイラスト
同じ(と)項第三号の中でも、空気圧縮機の事業だけがこの政令委任を受けています。
他の号に掲げる事業や、似た立場にある自動車修理工場と比べてみましょう。
建築基準法施行令第百三十条第2項 法第48条第16項第二号の政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。 三 自動車修理工場で第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内にあるもの
空気圧縮機以外の号に掲げる事業には、住居の環境を害するおそれがないと認める政令の委任そのものがありません
たとえばメッキや原動機を使用する印刷は、規模にかかわらずこの地域では建てられません。
一方で自動車修理工場は、別表第二(と)項第二号の括弧書きにより床面積の上限自体が引き上げられているうえ、
施行令第百三十条第2項第三号により、特例許可の手続きでも建築審査会の同意を省略できます。
空気圧縮機の事業にはこの手続き上の優遇は無く、条件を満たせない場合は通常どおりの特例許可が必要です。
次は、実務で確認すべき手順を整理しましょう。

空気圧縮機だけ特別扱いというより、条件が細かいだけなんですね。

はい、手続き面の優遇は無い点に注意が必要です。
次は確認の手順を見ていきましょう。

空気圧縮機を導入する前に何を確認すればよいか

窓口カウンターで図面を確認する担当者のイラスト
ここまでの内容は新築だけでなく、既存工場への設備の追加や用途変更にも関わってきます。
最後に、実務でどこを確認すればよいかを整理しましょう。
建築基準法第87条第2項 建築物(次項の建築物を除く。)の用途を変更する場合においては、第48条第1項から第14項までの規定並びに第51条、第60条の2第3項及び第68条の3第7項の規定並びに条例の規定を準用する。
第87条第2項により、既存の建物の用途を変更する場合にも第48条の各項の規定が準用されます
既存の工場に空気圧縮機を新たに導入する計画も、この準用の対象になり得ます。
確認すべきは、機種が国土交通大臣の指定を受けているかと、他の圧縮機と合わせた出力の合計が7.5キロワットを超えないかの2点です。
条件を満たせない場合は、特定行政庁への特例許可の申請が必要になります。
導入の相談を受けたときは、まず機種の指定の有無を確認するところから始めましょう。

出力の合計というのは、既存の圧縮機も含めて計算するのですね。

はい、工場内の合計出力で判断します。
次はよくある質問を見ていきましょう。

よくある質問

Q準住居地域の工場では空気圧縮機を使うと建築できませんか?
A原動機の出力の合計が1.5キロワットを超える空気圧縮機を使用する事業は、建築基準法別表第二(と)項第三号(十一)により原則として建築禁止の対象になります。ただし国土交通大臣が防音上有効な構造と指定した機種に限り、7.5キロワットまで例外が認められます。
Q出力の合計を7.5キロワット以下にすれば、どんな機種でも建てられますか?
A建てられません。7.5キロワット以下であっても、国土交通大臣の指定を受けていない機種であれば例外の対象にならず、1.5キロワットを超えた時点で建築禁止に戻ります。
Q空気圧縮機以外の事業にも同じ例外がありますか?
Aありません。建築基準法施行令第百三十条の八の三が政令で定めているのは空気圧縮機を使用する事業だけで、他の号に掲げる事業にはこの種の政令委任がありません。
Q空気圧縮機を使う工場も自動車修理工場と同じように特例許可の手続きが簡単になりますか?
Aなりません。施行令第百三十条第2項第三号が同意省略の対象として指定しているのは自動車修理工場だけで、空気圧縮機を使用する事業は含まれていません。

まとめ

準住居地域では、建築基準法第48条第7項により別表第二(と)項に掲げる建築物は原則建築禁止です。
特定の事業を営む工場は、同項第三号(一)から(十六)までに掲げる事業のいずれかに該当すると建築禁止の対象になります
ただし空気圧縮機を使用する事業(十一)に限り、施行令第百三十条の八の三に例外規定があります。
国土交通大臣が防音上有効な構造と指定した機種で、出力の合計が7.5キロワット以下であれば建築が認められます
出力の合計が7.5キロワットを超える、または指定を受けていない機種であれば、例外の対象になりません。
空気圧縮機以外の号に掲げる事業には、同じような政令委任そのものがありません
自動車修理工場のような特例許可の同意省略の優遇も、空気圧縮機を使用する事業には及びません

知り合いには機種の指定と出力の合計を確認するよう伝えてみます!

設備の導入計画も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第48条第7項・第87条第2項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法別表第二(と)項第三号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十条の八の三・第百三十条第2項第三号(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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