商業地域は、住宅街よりもずっと自由に工場や店舗を建てられる地域だと思われがちです。
ところが建築基準法別表第二(ぬ)項は、商業地域であっても特定の工場の建築を名指しで禁止しています。
その筆頭に挙げられているのが、花火(玩具煙火)を製造する工場です。
商業地域だからといって、どんな工場でも建てられるわけではありません
商業地域なら工場でも何でも建てられると思っていたのですが、違うんですか。
実は商業地域でも、建築基準法別表第二(ぬ)項に載っている工場は建てられないんです。
まず条文で確認しましょう。
具体的にどんな工場が対象になるんですか。
花火(玩具煙火)の製造工場など、20項目近くが個別に列挙されています。
一つずつ見ていきましょう。
- 商業地域内では、建築基準法第48条第10項により別表第二(ぬ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- (ぬ)項第三号は、花火(玩具煙火)の製造など特定の事業を営む工場を名指しで禁止しています。
- 玩具煙火は火薬類取締法上は火薬類の一種ですが、建築基準法は数量にかかわらず製造工場そのものを禁止対象にしています。
- 唯一の政令上の例外は、建築基準法施行令第百三十条の九の六が定めるロールを用いる金属の鍛造だけです。
- 該当するか判断が難しい場合は、特定行政庁の許可を早めに相談する必要があります。
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目次
商業地域で建築してはならない工場とは何を指すのか

それでも建築基準法は、周囲の商業環境を守るために一部の工場を名指しで禁止しています。
第一号は準工業地域の規制(る項)の一部を、そのまま呼び出す準用の号です。
第二号は原動機を使う工場を床面積百五十平方メートル超で規制する号です。
第三号は業種そのものを個別に列挙する号で、花火(玩具煙火)の製造もここに含まれます。
第四号は危険物の貯蔵・処理を対象にした号で、こちらは施行令第百三十条の九が数量を細かく定めています。
商業地域なのに、工場まで細かく規制されているんですね。
はい、特に第三号の個別列挙は数が多いんです。
次はその中身を見てみましょう。
玩具煙火の製造はなぜ名指しで禁止されているのか

この扱いには、火薬類を規制する別の法律との違いが関係しています。
同法第2条は煙火を火工品の一種と定め、がん具煙火(玩具煙火)もこの煙火に含まれると定めています。
ただし同法第51条は、がん具煙火について多くの規定を適用除外とし、数量が少なければ取扱いの規制を大きく緩めています。
一方で建築基準法は、火薬類取締法上の扱いとは関係なく、製造工場そのものを商業地域で一律に禁止しています。
数量による緩和がある法律と、数量を問わず立地そのものを縛る法律があることを押さえておく必要があります。
花火屋さんで売っている小さな花火も、火薬類に入るんですね。
はい、火薬類取締法上は火薬類です。
次は唯一認められている例外を見てみましょう。
商業地域でもロール鍛造だけは認められるのはなぜか

実際に政令が認めている例外は、驚くほど限定的です。
第三号(二十)はスプリングハンマーを使用する金属の鍛造を禁止対象に挙げていますが、同じ金属の鍛造でもロールを用いる方法は例外として認められています。
鍛造という作業自体が禁止されているのではなく、使う機械の種類で可否が分かれる仕組みです。
玩具煙火の製造のように号の本文で名指しされた事業には、こうした政令上の例外は用意されていません。
自分の事業がどの号のどの項目に当たるかを、機械の種類まで具体的に確認する必要があります。
同じ鍛造でも、機械が違うだけで扱いが変わるんですね。
はい、機械の種類まで見ないと判断できません。
次は準工業地域との違いを見てみましょう。
準工業地域と比べて商業地域の規制はどう違うのか

両者を比べると、商業地域のほうがより厳しく工場の種類を絞り込んでいることが分かります。
しかも(る)項第一号は玩具煙火を除いた火薬類の製造を対象にしているのに対し、(ぬ)項第三号は玩具煙火そのものを対象に挙げている点で対象が異なります。
つまり商業地域は準工業地域よりも許容される工場の幅が狭く、危険度の低い玩具煙火の製造すら認めていません。
準工業地域に移転すれば建てられる工場でも、商業地域では建てられないという逆転が起こり得ます。
立地を検討する際は、地域ごとに列挙される号の中身を号単位で比較することが欠かせません。
商業地域のほうが、準工業地域より厳しいこともあるんですね。
はい、号ごとの中身を比べないと分かりません。
次は確認の手順を整理しましょう。
建てる前に何を確認すればよいか

それでも建てたい場合に残る手続きを確認しておきましょう。
準工業地域由来の準用なら第一号、床面積なら第二号、個別列挙された業種なら第三号、危険物なら第四号が根拠になります。
第三号に当たる場合は、施行令第百三十条の九の六が定める機械の種類まで確認しないと例外の有無が分かりません。
どの号にも明確に当てはまらない、あるいはそれでも建てたい場合は、特定行政庁の許可を早めに相談する必要があります。
号ごとに切り分けてから相談すれば、着工前の手戻りを防げます。
うちの工場がどの号に当たるか、まず整理してみます。
はい、号ごとの切り分けから始めるのが確実です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
どの号に当たるかを先に整理してみます!
特定行政庁への相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第10項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(ぬ)項、(る)項第一号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百三十条の九の六(e-Gov法令検索)
- 火薬類取締法第2条・第51条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





