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調理室等の換気設備はどんな数値が要是正の目安になるのか|煙突の断熱厚さから立ち上がり高さまで解説

調理室等の換気設備の点検を行う女性検査員が屋上で煙突の高さを測定している様子

火を使用する調理室等の換気設備の定期検査では、施行令や告示が定める具体的なセンチメートル単位の基準が数多く使われています。
排気筒や煙突の断熱の厚さ、可燃物との離隔距離、給排気口の位置、屋上での立ち上がり高さなど、いずれも数値で線引きがされています。
これらは目視だけでは判断しづらく、検査基準を運用する側の判定例でも要是正の目安として具体的な数値が示されています。
本記事では、判定でよく使われる5つの数値基準を、根拠となる条文や告示とあわせて解説します

うちの調理室、換気扇の音がうるさいと言われたことがあるんですが、これって検査で引っかかりますか。

音だけでなく、風速や煙突の断熱の厚みなど、細かい数値基準がいくつもあります。
まずは代表的な5つを押さえておきましょう。

煙突の熱ってそんなに厳密に測るものなんですか。

はい、排気温度が260度を超えるかどうかで基準が変わります。
順番に見ていきますね。

この記事の結論
  • 排気筒や煙突の断熱の厚さは、廃ガス温度が260度を超えるかどうかで基準が変わります(260度超えは10センチメートル以上、260度以下は2センチメートル以上の断熱が目安)
  • 可燃物や電線との離隔距離は、原則15センチメートル以上必要です
  • 給排気口や排気フードの大きさには、開口面積や風速の実務上の目安があります
  • 給排気口が天井面から80センチメートルより下方にあると要是正で、ショートサーキットの有無も判定対象です
  • 自然換気設備の煙突は、屋上や隣接建築物からの立ち上がり高さが60センチメートル以上必要です

調理室等の換気設備における煙突の断熱基準が排気温度260度を境に変わることを示すインフォグラフィック

排気筒や煙突の断熱の厚さはどう判定するのか

排気温度260度を境に必要な断熱の厚さが変わる煙突の断面比較イラスト
排気筒や煙突は、内部を通る廃ガスの温度によって求められる断熱の厚さが変わります。
基準書の判定例でも、この温度の境目が明確な数値で示されています。
問1 排気筒や煙突の断熱の厚さは、廃ガスの温度に関係なく一律の基準で判定してよいか
答1 廃ガスの温度が260度を超える場合と260度以下の場合とで、必要な断熱の厚さが異なる。260度以下であれば厚さ2センチメートル未満、260度を超える場合は厚さ10センチメートル未満であれば要是正と判定する。
断熱の厚さは温度で2段階に分かれます
建築基準法施行令第115条第1項第三号は、煙突を木材等の可燃物から15センチメートル以上離すか、厚さ10センチメートル以上の不燃材料で覆うことを求めています。
一方、廃ガスの温度が260度以下であれば、昭和56年建設省告示第1098号により基準が緩和され、厚さ2センチメートル以上の不燃材料で断熱するなどの方法で足りるとされています。
検査ではまず排気温度が260度を超えるか以下かを確認し、それに応じた断熱厚さが確保されているかを見ます。
断熱材が薄すぎたり、途中で途切れていたりする状態は要是正です。

断熱材の厚みまで測るんですね。

はい、温度によって基準が変わるので、まず排気温度を確認するのが第一歩です。

可燃物や電線との離隔距離はどう判定するのか

煙突と木材や電線との離隔距離を定規で示す断面図
排気筒や煙突と、木材などの可燃物や電線との間には、法令が定める離隔距離があります。
断熱の有無によって基準の適用が変わる点も見ておきます。
問2 排気筒や煙突と、木材などの可燃物や電線との間には、どのくらいの離隔距離を確保すればよいか
答2 排気温度が260度を超える排気筒・排気管は可燃物等との距離15センチメートル未満であれば要是正とし、260度以下の排気筒・排気管は断熱の有無や煙突の半径に応じた基準で判定する。
原則は15センチメートルです
この距離は、排気温度が260度を超える煙突を想定した数値で、厚さ10センチメートル以上の不燃材料で覆えば、この規定自体が適用されなくなります。
一方、廃ガス温度が260度以下の場合は告示第1098号により、煙突を半径以上離すか、厚さ2センチメートル以上の不燃材料で断熱するなど、複数の方法のいずれかで足ります。
検査では、天井裏や壁の中に隠れた部分ほど見落としやすいので、図面と実測の両方で確認します。
離隔距離が不足したまま可燃物に接している状態は、火災につながる重大な要是正事項です。

15センチって意外とシビアですね。

天井裏など見えない部分ほど注意が必要なので、点検口を開けてしっかり確認します。

給排気口や排気フードの大きさはどんな目安で判定するのか

給気口の開口面積と排気フードの高さの目安を示す図解
給排気口や排気フードの大きさは、開口面積や風速の目安をもとに確認します。
数値の位置づけを理解しておくと判定の理由が説明しやすくなります。
問3 給排気口や排気フードの大きさは、どのような目安で確認すればよいか
答3 自然通風の給気口の開口面積や給排気ダクトの風速がおおむねの目安を下回り、又は排気フードが火源からの高さに応じた寸法を覆っていない場合を要是正と判定する。
大きさは風速の目安で判定します
基準書の判定例では、自然通風の給気口の開口面積はおおむね8.6平方センチメートル毎キロワット、給気ダクトの風速はおおむね毎秒1メートル、給排気ガラリの風速はおおむね毎秒3メートル、機械換気の給排気ダクトの風速はおおむね毎秒10メートルが目安とされています。
排気フードについても、火源からの高さの10分の1未満、あるいは2分の1未満しか調理機器等を覆っていない場合は要是正とされます。
これらの数値は法令が直接定める基準ではなく、検査を運用する実務上の目安である点に注意が必要です。
数値を大きく外れる場合は、換気不足や騒音の原因になっていないかもあわせて確認します。

風速まで測るとは思いませんでした。

あくまで実務上の目安ですが、換気不足の早期発見に役立ちます。

給排気口の位置とショートサーキットはどう判定するのか

天井面からの給気口の位置とショートサーキットの気流を示す図解
給排気口の位置は、天井面からの高さと空気の流れ方の両方から判定します。
換気ができているように見えても実は循環していないケースがあります。
問4 給排気口の位置は、どのような基準で判定すればよいか
答4 給排気口が天井面から80センチメートルより下方にある場合、及びショートサーキットが生じている場合を要是正と判定する。
位置の基準は天井面からの高さです
給気口や排気口が天井面から80センチメートルより下方にある場合、居室内の空気の分布が偏りやすく、要是正と判定されます。
あわせて注意したいのがショートサーキットで、給気口から出た空気がそのまま排気口に吸い込まれてしまい、居室全体を換気できていない状態を指します。
給気口と排気口の配置バランスが悪いと、この現象が起きやすくなります。
検査では、気流の向きや吹出し状況を見ながら、配置そのものに問題がないかを確認します。

ショートサーキットって初めて聞きました。

空気がぐるっと回るだけで、居室全体が換気できていない状態のことです。

自然換気設備の煙突先端の立ち上がりはどう判定するのか

屋上に立ち上がる煙突の高さと隣接建築物の軒との関係を示す図解
自然換気設備の煙突は、屋上での立ち上がり高さそのものが検査事項になります。
隣接する建築物との位置関係も判定に関わります。
問5 自然換気設備の煙突は、先端をどのくらいの高さまで立ち上げればよいか
答5 屋上からの立上り高さが60センチメートル未満であること、又は建築物の軒から60センチメートル未満であることをもって要是正と判定する。
立ち上がり高さは60センチメートルが基準です
まず、煙突の屋上突出部は屋根面からの垂直距離を60センチメートル以上とする必要があります。
さらに、先端から水平距離1メートル以内に軒のある建築物がある場合は、その建築物の軒から60センチメートル以上高くしなければなりません。
これは、排出された廃ガスが近くの窓や開口部から室内に逆流するのを防ぐための規定です。
検査では、巻尺や図面をもとに、屋根面と隣接建築物の両方からの高さを実測して判定します。

屋上の煙突の高さまで見るんですね。

はい、隣の建物との位置関係もあわせて確認します。

よくある質問

Q排気筒や煙突の断熱は、必ず不燃材料で施工しなければならないか?
Aはい、廃ガス温度が260度以下の場合は厚さ2センチメートル以上、260度を超える場合は厚さ10センチメートル以上の不燃材料での断熱が基準です。
Q可燃物からの離隔距離15センチメートルは、どんな部材にも適用されるか?
A木材などの可燃材料が対象です。金属など不燃材料であれば、この離隔距離の規定は直接適用されません。
Qショートサーキットが起きているかどうかは、どうやって確認するのか?
A気流計などを使って給気口からの空気の流れを追い、そのまま排気口に吸い込まれていないかを目視・測定で確認します。
Q煙突の立ち上がり高さ60センチメートルは、すべての建築物に一律で適用されるか?
A屋根面からの60センチメートルは原則すべてに適用されます。隣接建築物の軒からの60センチメートルは、先端から水平距離1メートル以内に軒のある建築物がある場合に追加で適用されます。

まとめ

排気筒や煙突の断熱の厚さは、廃ガス温度260度を境に基準が変わります
260度を超える場合は原則15センチメートル以上の離隔、または10センチメートル以上の断熱が必要です
260度以下の場合は告示第1098号により基準が緩和され、2センチメートル以上の断熱等で足ります
給排気口や排気フードの大きさには、開口面積や風速の実務上の目安があります
給排気口が天井面から80センチメートルより下方にあると要是正になります
ショートサーキットは、給気と排気がそのまま混ざり合ってしまう状態を指します
自然換気設備の煙突は屋上や隣接建築物から60センチメートル以上立ち上げます

細かい数値までしっかり確認してもらえると安心できます!

細かい見落としは事故につながりかねませんので、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第115条(建築物に設ける煙突)
  • 昭和56年建設省告示第1098号(建築基準法施行令第115条第1項第一号から第三号までの規定を適用しないことにつき防火上支障がない煙突の基準を定める件)
  • 昭和45年建設省告示第1826号(換気設備の構造方法を定める件)第三・第四

※本記事は、建築設備定期検査における調理室等の換気設備の判定基準を、法令・告示に基づき一般的な解説として整理したものです。実際の検査・判定は建築物ごとの状況によって異なります。個別の判定や是正方法については、検査を担当する建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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