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換気設備の要是正はどんな数値が目安になるのか|通過風速や正面風速からモーター電流まで解説

屋上で外気取入口に風速計を当てて通過風速を確認する女性検査員

機械換気設備の定期検査では、施行令の条文だけでは読み取れない実務上の数値目安が、検査基準を運用する側の判定例に整理されています。
たとえば外気取入口の通過風速や給気口の正面風速、給気機モーターの運転電流など、目視だけでは判断しづらい項目に「参考」として示された具体的な数値です。
これらは告示や施行令そのものが定める要件ではありませんが、要是正かどうかを見極める実務の物差しとして広く使われています。
数値の背景にある判定の考え方まで理解しておくと、検査結果の説明にも説得力が増します

換気設備の検査結果に「著しい」とか「相当」としか書いてなくて、実際どこからが指摘なのか分かりにくいんです。

そこで検査員が使うのが判定例です。
風速や電流値の目安が示されています。

数値まで教えてもらえるなら、次の検査までに自分たちでも点検しやすくなりますね。

通過風速からモーター電流まで、5つの視点で見ていきましょう。

この記事の結論
  • 外気取入口の通過風速は毎秒3メートル程度が目安で、澱みのある場所や排気が混入しやすい場所への設置も要是正の判断材料になります
  • 給気口の正面風速は毎秒2メートル程度が目安で、これを超えるとドラフトや騒音、局所的な気流につながります
  • 給気口・排気口・還気口はがたつきや振動、腐食の有無を個別に確認します
  • 給気機・排気機はモーターの運転電流や温度上昇まで見て、耐熱クラスに応じた限度を超えていないかを判定します
  • 換気扇はビル風や季節風の影響も判定対象で、給気口・排気口の物品放置は令和7年の告示改正で新設された検査事項です

換気設備の判定例に示された通過風速・正面風速・運転電流の数値目安を示すインフォグラフィック

通過風速毎秒3メートルという目安はどこから来るのか

屋上の外気取入口ガラリに風速計を当てて通過風速を確認する検査員
外気取入口の防水・防虫措置そのものは施行令が定める要件ですが、設置場所の適否を判定するときにもう一段踏み込んだ視点が使われています。
検査員が現場でどこまで見ているのかを確認します。
問1 給気機の外気取入口が、周囲の環境からみて衛生上好ましくない場所に設けられていないかは、どのような目安で判定するか。
答1 外気取入口を通過する風速がおおむね毎秒3メートル程度であることを目安の一つとしつつ、排気が混入しやすい場所、空気の澱みのある場所、衛生上好ましくない場所に設けられている場合は要是正と判定する。
通過風速は法令の数値ではなく実務の目安です
建築基準法施行令第129条の2の5第2項第三号は「衛生上有害なものの侵入を防ぐ設備」を求めるだけで、風速の数値までは定めていません。
その分、検査基準を運用する実務側で毎秒3メートル程度という参考値が示され、極端に速い・遅いガラリは目詰まりや防虫網の劣化を疑う手がかりになります。
あわせて、外気取入口が排気口や駐車場排気、ごみ置き場などの近くにあり排気が混入しやすい場所になっていないかも見ます。
建物の増改築で周囲の環境が変わり、取入口が結果的に空気の澱む場所になっているケースもあるため、設置時だけでなく定期検査のたびに周囲状況を確認する視点が必要です。

隣の建物の排気口が近くにできたんですが、これも指摘対象になり得ますか。

なり得ます。
排気の混入しやすさは周囲環境ごとに検査員が実地で判断します。

正面風速毎秒2メートルという目安とドラフトの判定

給気口の正面で風速計を構え吹出し気流を測定する検査員と対角に配置された排気口
給気口・排気口の設置位置は、位置関係だけでなく吹出し気流の強さそのものも判定の対象です。
体感で分かる不快感の裏側には、数値の目安があります。
問2 各居室の給気口の吹出し気流の状況は、どのような目安で判定するか。
答2 給気口正面の風速がおおむね毎秒2メートル程度であることを目安としつつ、著しく局所的な気流が生じていること、ドラフトや騒音が発生していること、風量・気流の調整ができないことのいずれかをもって要是正と判定する。
正面風速の目安を超えるとドラフト感や騒音につながります
毎秒2メートル程度という目安は、体に直接風が当たる不快感(ドラフト)が生じにくい範囲として示されているものです。
これを大きく超える吹出しは、風切音や騒音の原因になるほか、居室内の温度分布にもむらを生じさせます。
給気口の風向調整が固着して風量・気流の調整ができない状態も、それ自体が要是正の対象です。
給気口と排気口が近すぎて生じるショートサーキットも同じ検査事項の中で確認され、対角配置や離隔距離の確保、給気口の分散配置で解消されているかを見ます。

会議室の給気口の真下だけ、いつも肌寒いんですがこれも指摘になりますか。

局所的な気流が疑われるので、正面風速を実測してもらうとよいです。
調整だけで直ることもあります。

給気口・排気口・還気口のがたつきや腐食はどう判定するのか

天井の給気口を手で押さえてがたつきの有無を確認する検査員
給気口だけでなく、室内の空気を戻す還気口も同じ検査事項でまとめて確認されます。
気流の話とは別に、金物としての状態を見る視点です。
問3 各居室の給気口、排気口及び還気口の取付けの状況は、どのような基準で判定するか。
答3 給気口、排気口、還気口にぐらつきや浮きが生じていること、著しい騒音・振動があること、著しい腐食・損傷があることのいずれかをもって要是正と判定する。
還気口は見落とされがちですが検査対象です
給気口・排気口はダクトに直結しているため意識されやすい一方、天井内の空気を循環させるだけの還気口は点検が後回しになりがちです。
取付けのがたつきや浮きは、脚立に乗って手で押さえるなど触診で確認するのが基本です。
運転中の振動が異常に大きい場合は、口金だけでなく風道側の接続や送風機側の異常も疑って点検範囲を広げます。
腐食は台所や浴室周りなど湿気の多い場所で進みやすいため、設置環境に応じて重点的に見る箇所を変えると効率的です。

還気口なんて意識したことなかったです。
どこにあるものですか。

廊下の天井などに多いです。
給気口・排気口と同じ項目でまとめて確認されます。

給気機・排気機のモーター運転電流と温度上昇限度はどう見るのか

機械室で給気機のモーターにクランプメーターを当てて運転電流を測定する検査員
給気機・排気機は、基礎やアンカーボルトの状態に加えてモーターの稼働状況まで数値で見ます。
異常の早期発見につながる視点です。
問4 給気機又は排気機のモーターの運転電流及び運転温度は、どのような目安で判定するか。
答4 運転電流がおおむね3アンペア・0.75キロワット程度を目安に異常な値になっていないこと、モーターケーシングが耐熱クラスに応じた温度上昇限度を超えて高温になっていないことを確認し、いずれかに該当すれば要是正と判定する。
モーターは耐熱クラスごとに温度上昇の限度が決まっています
運転電流が銘板の定格値から大きく外れている場合、負荷の増大やベアリングの摩耗など内部の異常を示すサインになります。
クランプメーターで実測した電流値と、機器銘板に記載された定格電流を比較するのが基本の確認方法です。
モーターケーシングの異常な発熱も、絶縁劣化や巻線の損傷につながる重要な兆候として扱われます。
基礎・架台の亀裂や浮き上がり、耐震措置の有無とあわせて確認することで、機器の異常を早い段階で捉えられます。

モーターの電流値なんて、素人には全然分からないです。

そこは検査員がクランプメーターで実測します。
銘板の定格値と比べて判定します。

換気扇のビル風・季節風の影響と物品放置はどう判定するのか

外壁の換気扇の前に置かれた段ボール箱を確認する検査員とビル風の流れを示す矢印
換気扇による換気の状況は、機器そのものだけでなく周囲の風の影響まで含めて判定されます。
そしてもう一つ、比較的新しく加わった検査事項があります。
問5 換気扇による換気が外気の流れの影響を受けていないか、及び給気口・排気口に物品が放置されていないかは、どのような基準で判定するか。
答5 ビル風や季節風の影響によって換気が損なわれていることをもって要是正とする。あわせて、各居室の給気口及び排気口における物品の放置によって換気の妨げとなっている状態も要是正と判定する。
給気口・排気口の物品放置は令和7年の告示改正で新設された検査事項です
換気扇は、外気に直接開放された給気口・排気口に設ける場合、ビル風季節風の影響で換気能力が著しく低下しない構造であることが基準です。
高層建物の谷間や風の通り道になりやすい立地では、季節によって換気状況が変わることもあるため、複数回の検査結果を比較する視点も役立ちます。
「各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況」は、令和7年7月1日施行の告示改正で新たに加わった検査事項で、書類や段ボール、什器などで給気口・排気口がふさがれていないかを確認します。
日常の維持管理の中で最も直しやすい指摘の一つでもあるため、検査前の社内点検で先に解消しておくと指摘を減らせます。

物品放置は自分たちでも直せそうですね。
検査の前に見ておきます。

それが一番手早い改善です。
給気口・排気口の周りは定期的に見ておくと安心です。

よくある質問

Q判定例に出てくる数値目安は、法令が定める基準なのか?
A法令そのものが定める数値ではなく、検査を運用する実務側が「参考」として示している目安です。判定は著しいかどうかという定性的な基準で行われます。
Q正面風速が目安を超えていたら必ず要是正になるのか?
A数値だけでなく、ドラフトや騒音が実際に発生しているか、風量調整ができるかを含めて総合的に判定します。
Qモーターの運転電流はどうやって測定するのか?
Aクランプメーターで実測し、機器銘板に記載された定格電流と比較して異常な値になっていないかを確認します。
Q給気口の物品放置はいつから検査事項になったのか?
A令和7年7月1日施行の告示改正で新設された検査事項です。それ以前の検査結果表には無い項目でした。

まとめ

判定例の数値は法令上の基準ではなく実務の目安で、判定そのものは「著しい」かどうかで行われます
外気取入口の通過風速は毎秒3メートル程度が目安です
給気口の正面風速は毎秒2メートル程度が目安で、超えるとドラフトや騒音の原因になります
給気口・排気口だけでなく還気口のがたつきや腐食も検査対象です
給気機・排気機はモーターの運転電流や温度上昇まで確認します
換気扇はビル風・季節風の影響も判定対象です
給気口・排気口の物品放置は令和7年7月の告示改正で新設された検査事項です

数値の目安が分かって、次の検査までにやることが見えてきました!

数値はあくまで目安なので、迷ったら検査員に相談してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第20条の2、第129条の2の5
  • 平成20年国土交通省告示第285号(建築設備の定期検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を定める件)別表第一

※本記事は建築基準法・同施行令及び関連告示に基づく一般的な解説です。本文中の数値は検査を運用する実務上の目安であり、法令が直接定める基準ではありません。実際の判定は建物の構造や設備の仕様により異なる場合があります。個別の判断は建築設備等検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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