商業地域は、住宅地よりも工場を建てやすい地域だと考えられがちです。
しかし建築基準法別表第二(ぬ)項第二号は、原動機を使う工場を床面積という基準で線引きしています。
しかも例外の範囲は業種ごとに違い、上限がまったく無い業種すら含まれています。
商業地域だからといって、工場の規模を自由に決められるわけではありません
商業地域なら工場の広さは自由に決められると思っていました。
実は建築基準法別表第二(ぬ)項第二号が、原動機を使う工場を床面積で規制しているんです。
まず条文を見てみましょう。
床面積によって建てられなくなることもあるんですか。
はい、ただし例外の範囲は業種ごとに違います。
順番に確認しましょう。
- 商業地域内では、建築基準法第48条第10項により別表第二(ぬ)項に掲げる建築物は原則建てることができません。
- (ぬ)項第二号は、原動機を使用する工場を作業場の床面積の合計150平方メートル超で規制しています。
- ただし日刊新聞の印刷所は、床面積にかかわらずこの規制の対象から除かれています。
- 自動車修理工場も除外の対象ですが、床面積の合計300平方メートルという上限が付いています。
- 該当するか判断が難しい場合は、特定行政庁の許可を早めに相談する必要があります。
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目次
商業地域の原動機工場はなぜ150平方メートルで規制されるのか

それでも建築基準法は、原動機を使う工場を床面積という基準で区切っています。
作業場の床面積の合計が150平方メートルを超えた時点で、原則としてこの工場は商業地域に建てられなくなります。
括弧書きにはあわせて二つの除外規定が置かれており、日刊新聞の印刷所と自動車修理工場が対象です。
除外の範囲はこの二つでまったく異なり、詳しくは次の見出し以降で確認します。
まずは150平方メートルという基準そのものを押さえておく必要があります。
うちの工場もそろそろ手狭になってきたので、拡張を考えているところです。
それなら床面積の合計が150平方メートルを超えないか、まず確認しましょう。
床面積はどこまでを合計して数えるのか

複数の作業場に分かれていても、まとめて数える決まりになっています。
「各階又はその一部」と定められているため、複数の階や複数の部屋に工場の作業場が分かれていても合計します。
事務室や倉庫など原動機を使わない部分まで作業場に含めるかどうかは、実際の使われ方で判断されます。
増築のたびに合計を数え直さないと、いつの間にか150平方メートルを超えていた、ということも起こり得ます。
図面を見るときは部屋単位ではなく、工場全体の合計で確認する必要があります。
別の部屋に機械を増やしただけでも、合計に入るんですか。
はい、床面積の合計で見るので、部屋を分けても意味がありません。
次は例外の中身を見てみましょう。
日刊新聞の印刷所だけ上限が無いのはなぜか

このうち一つには、床面積の上限がまったく設けられていません。
条文は「日刊新聞の印刷所及び作業場の床面積の合計が三百平方メートルを超えない自動車修理工場」という並びで書かれており、面積の条件が付くのは自動車修理工場だけです。
つまり日刊新聞の印刷所は、150平方メートルをどれだけ超えても除外規定の対象であり続けます。
条文には理由までは書かれていませんが、日刊新聞の発行という業務の性質上、大型の印刷設備が必要になりやすいことが背景にあると考えられます。
同じ括弧書きの中でも、業種によって除外の設計がまったく違う点を押さえておく必要があります。
新聞を作る工場だけ、面積の制限が無いのは意外です。
はい、日刊新聞の印刷所には面積の条件そのものが付いていません。
次は自動車修理工場の上限を見てみましょう。
自動車修理工場の300平方メートルはどこから来た数字か

この数字は、他の用途地域の基準と比べると位置づけが見えてきます。
商業地域の(ぬ)項第二号では、この上限が300平方メートルまで引き上げられており、と項のちょうど2倍です。
一方で通常の原動機工場そのものの基準は、と項が50平方メートル、ぬ項が150平方メートルで3倍の差があります。
基準の引き上げ幅が業種によって2倍と3倍で異なっており、必ずしも同じ倍率で緩和されるわけではありません。
自分の工場がどちらの基準に当てはまるかは、業種と地域の組み合わせで一つずつ確認する必要があります。
同じ自動車修理工場でも、地域によって倍率が違うんですね。
はい、倍率は業種ごとに違います。
最後に手続きの流れを整理しましょう。
150平方メートルを超えそうなときは何をすればよいか

それでも基準を超えそうな場合に残る手続きを確認しておきましょう。
日刊新聞の印刷所に当たれば面積を問わず除外され、自動車修理工場に当たれば300平方メートルまでは建築できます。
どちらにも当たらず150平方メートルを超える場合は、通常の原動機工場と同じ扱いになり、原則として建築できません。
それでも建てたい場合や判断に迷う場合は、特定行政庁の許可を早めに相談する必要があります。
増築や用途変更のたびに床面積の合計を数え直し、着工前に確認しておくことが欠かせません。
うちの工場が二つの例外のどちらかに当たるか、まず確認してみます。
はい、除外規定に当たるかどうかから始めるのが確実です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
除外規定の中身を確認しながら進めます!
特定行政庁への相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第48条第10項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法別表第二(ぬ)項第二号、(と)項第二号(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第二条第一項第三号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。該当性の判断や特例許可の可否は個別の内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





