百貨店の化粧品売り場や地下街のドラッグストアには、香水や除光液やヘアスプレーなど、消防法でいう危険物に当たる商品が数多く並んでいます。
指定数量未満だから届出は要らないと思っていても、置いてよい場所そのものが条例で制限されていることは意外と知られていません。
出入口のそばやレジ横のワゴンに何気なく積んだ商品が、実は避難の妨げになるという理由で制限の対象になっていることがあります。
どの場所が制限され、どんな商品なら例外になるのかを、火災予防条例(例)の条文にもとづいて解説します。
売場の入口のすぐ横に、香水の特売ワゴンを置いています。
これって何か問題があるんでしょうか。
実は火災予防条例(例)第三十一条の四が、出入口の近くなど特定の場所での貯蔵・取扱いを禁じています。
香水くらいの量でも制限されるんですか。
小容量の商品は対象外になる仕組みがあります。
順番に確認していきましょう。
- 百貨店等及び地下街の売場や展示部分では、指定数量未満の危険物を置けない場所が条例で決まっています(火災予防条例(例)第三十一条の四)
- 制限されるのは出入口の付近と階段の直下及びその付近です
- そのほか消防長又は消防署長が火災予防上又は避難上必要と認めて個別に指定した場所も対象になります
- 危険物の規制に関する規則が定める小容量の化粧品やエアゾールは、この制限の対象外です
- 対象外の商品でも、知識のある担当者が扱い十分な管理を行う義務は残ります
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目次
百貨店等及び地下街ではなぜ危険物の扱いに特別な制限があるのか

不特定多数の人が出入りする施設だからこそ、置き場所そのものが問われる仕組みです。
少量危険物の共通基準(第三十一条・第三十一条の二)が場所を問わずかかるのに対し、この規定は不特定多数が通行する売場という場面だけを切り出して上乗せする基準です。
ただし書のとおり、一定の商品は対象そのものから外れる仕組みも用意されています。
まずは条文が名指しした具体的な禁止場所を確認します。
少量危険物の基準は前にも聞いたことがありますが、それとは別の話なんですね。
はい、売場という場所に上乗せされる基準です。
次で具体的な場所を見ましょう。
出入口の付近や階段の直下はなぜ制限の対象になるのか

火災のときに人がまず向かう場所だからこそ、危険物を置くこと自体が禁じられています。
出入口は火災発生時に人が殺到する場所で、そこに危険物があると初期消火や避難の妨げになりかねません。
階段は上下階をつなぐ避難経路そのもので、直下で危険物が燃えると階段全体をふさいでしまうおそれがあります。
特売ワゴンやレジ横の陳列であっても、置き場所がこの二か所に当たれば条文の対象になります。
うちの店は非常階段の下を在庫置き場にしています。
危険物に当たる商品があるなら階段の下は避けるべきです。
在庫の中身を確認してみてください。
消防署が個別に指定する場所とはどこか

建物ごとの事情に応じた受け皿となる第三号が用意されています。
売場の形や避難経路の取り方は施設ごとに違うため、条文があらかじめすべての場所を書き切ることはできません。
そこで火災予防上又は避難上特に必要と判断した場所を、所轄の消防機関が個別に指定できる仕組みになっています。
指定の有無や範囲は施設ごとに異なるので、判断は所轄消防署に確認するのが確実です。
うちの地下街の売場が指定されているかどうかは、どこで分かりますか。
条文には基準しか書かれていないので、所轄消防署への確認が必要です。
立入検査の記録も参考になります。
化粧品や制汗剤はなぜこの制限の対象外になるのか

運搬容器の表示が省略できるほど少ない量だからこそ、置き場所の制限からも外れます。
化粧品は最大容積百五十ミリリットル以下、制汗剤などのエアゾールは最大容積三百ミリリットル以下であれば、この特例の対象です。
規則はほかにも第四類の動植物油類を最大容積二・二リットル以下で対象にするなど、品目ごとに細かく容積を分けています。
容器のラベルに表示が省略されているからといって安全というわけではなく、条文が定めた容積の範囲内かどうかを確認することが前提になります。
うちの香水は容量が大きいボトルもあります。
容積を超えるボトルは対象外になりません。
商品ごとに容量を確認してください。
対象外であっても何が求められるのか

場所や容量の条件を満たしていても、管理そのものは免除されません。
危険物に関し必要な知識を有する者に取り扱わせることと、十分な管理を行うことの二つが同時に義務付けられています。
アルバイト従業員が商品を並べる場合でも、危険物としての性質を知らないまま扱わせるのは条文の趣旨に反します。
明日からは、売場担当者に商品の品目と容量を伝えたうえで、置き場所が出入口や階段の近くになっていないかを一度見て回ってください。
対象外の商品だから何もしなくていいと思っていました。
管理の義務は容量にかかわらず続きます。
売場担当者への周知から始めましょう。
よくある質問
まとめ
特売ワゴンの場所と商品の容量を、さっそく確認してみます!
判断に迷ったら早めのご相談が安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第九条の四
- 火災予防条例(例)第三十一条の四
- 危険物の規制に関する規則第44条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





