少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク、いわゆるタンクローリーには、指定数量以上のタンクとは別に、火災予防条例が定める専用の技術上の基準があります。
タンク本体の厚さや水圧試験、間仕切りや防波板、安全装置や配管の弁、マンホールや防護枠まで、細かく決められています。
危険物の規制に関する政令が定める移動タンク貯蔵所とは別の枠で、指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物に適用される基準です。
この記事では、少量危険物を運ぶ移動タンクに求められる構造基準を号ごとに整理して解説します
タンクローリーは荷台に危険物を積んで運ぶだけなので、特に基準は無いですよね。
いえ、少量危険物であっても移動タンクの構造そのものに基準がかかります。
具体的にはどこまで決められているんですか。
タンク本体から安全装置、マンホールまで一通りあります。
順番に見ていきましょう。
- 少量危険物の移動タンクには、専用の位置、構造及び設備の技術上の基準があります。
- タンク本体は厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で気密に造り、水圧試験に適合させます。
- 4,000リットル以下ごとに間仕切りを設け、2,000リットル以上の区画には防波板が必要です。
- 安全装置と排出口の弁は、非常時に直ちに閉鎖できる構造にします。
- マンホールや注入口のふた、防護枠にも定められた厚さと構造があります。
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目次
少量危険物の移動タンクにはなぜ専用の基準があるのか

移動タンクは荷台ではなく専用の車両として扱われ、常置場所から構造まで一通り基準が及びます。
移動タンクは火災予防上安全な場所に常置しなければなりません。
これは指定数量以上を扱う移動タンク貯蔵所の基準とは別枠で、指定数量の五分の一を超えた少量危険物にもかかる基準です。
外面のさび止め措置は、タンク本体の基準(前条第二項第三号)を準用する形で定められています。
つまり、荷台に積んで走るだけの車両扱いはできません。
うちの駐車場のどこに置いてもいいわけではないんですね。
火気を扱う場所から離れているかを確認してください。
常置場所は事前に決めておきましょう。
タンク本体はどんな強度で造らなければならないのか

数値は移動タンク貯蔵所の基準とほぼ同じ水準です。
タンクは厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板で気密に造り、圧力タンク以外は70キロパスカル、圧力タンクは常用圧力の1.5倍の圧力で10分間の水圧試験に耐える必要があります。
車体への固定はUボルト等で行い、シャーシフレームまたは相当する部分に強固に固定します。
走行中の振動や衝撃で緩む固定方法は認められません。
鋼板の厚さは自分では測れませんね。
はい。
製造時の検査記録や車検証で確認してください。
間仕切りと防波板はなぜ必要になるのか

容量が大きいほど、その揺れを抑える構造が求められます。
タンク内部は4,000リットル以下ごとに完全な間仕切りで区切り、それぞれの区画にマンホールと安全装置を設けます。
間仕切りで仕切られた区画の容量が2,000リットル以上あるときは、厚さ1.6ミリメートル以上の防波板を追加で設けなければなりません。
間仕切りは液体の移動そのものを止め、防波板は区画の中で液体が波打つ勢いを抑える、という役割の違いがあります。
間仕切りがあれば防波板は要らないのかと思っていました。
容量2,000リットル以上の区画は両方必要です。
区画ごとの容量を確認してください。
安全装置と配管の弁は何を防いでいるのか

作動圧力の数値まで条例で決まっています。
安全装置は常用圧力に応じて作動する圧力の範囲まで決められており、内圧が上がりすぎる前に作動します。
下部に排出口を設けるときは、非常時に直ちに閉鎖できる弁等を設け、その旨を見やすい位置に表示します。
弁は外部からの衝撃で壊れないよう保護する措置もあわせて必要です。
明日からできることとして、排出口の弁が非常時にすぐ閉められる状態にあるかを確認してみてください。
弁が壊れたときのことまで考えられているんですね。
はい。
衝撃を受けやすい位置にないかも見てください。
マンホールと防護枠は明日から何を確認すればよいのか

ふたの厚さと防護枠の両方を確認します。
マンホールと注入口のふたは、厚さ3.2ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の材料で造らなければなりません。
これらの附属装置がタンク上部に突き出しているときは、転倒したときの損傷を防止する防護枠を設ける必要があります。
配管の先端には弁等を設け、可燃性の蒸気が滞留するおそれのある場所の電気設備は引火しない構造にします。
明日からできることとして、附属装置の周りに防護枠が実際に付いているかを見に行ってみてください。
マンホールのふたも危険物の設備の一部なんですね。
はい。
ふたと防護枠は次の点検でまとめて見てください。
よくある質問
まとめ
タンクの中まで基準があるとは思いませんでした!
車検証や点検記録から確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物に関する基準)
- 火災予防条例(例)第三十一条の六(少量危険物を貯蔵し、又は取り扱う移動タンクの技術上の基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。実際の運用は施設の許可内容や所轄消防署の指導によって異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





