BLOG

少量危険物はなぜ屋外と屋内で構造の基準が分かれるのか|タンクと移動タンクの基準もあわせて解説

少量危険物は置き場所ごとに構造が変わる

指定数量未満の危険物であっても、火を使わない、整理整頓するといった日常の管理だけで済むわけではありません。
指定数量の五分の一を超えると、貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備そのものにも基準がかかります。
屋外に置くか、屋内に置くか、タンクに入れるかで、求められる構造は大きく変わります。
火災予防条例(例)が定める、少量危険物の場所と設備ごとの構造基準をわかりやすく解説します

うちは指定数量よりずっと少ない量しか置いていないので、届出さえしておけば大丈夫ですよね。

いえ、指定数量の五分の一を超えると置き場所の構造にも基準がかかります。

具体的にはどこを見ればいいんですか。

屋外か屋内か、タンクかで基準が分かれます。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 少量危険物も指定数量の五分の一を超えると、場所の構造にも基準が及びます
  • 屋外で貯蔵するときは、架台の高さや周囲の空地又は塀が必要です。
  • 屋内で貯蔵するときは、壁や床を不燃材料にし、出入口に防火戸を設けます。
  • タンクで貯蔵するときは、鋼板の厚さと水圧試験に適合した構造が求められます
  • 移動タンクで運ぶときは、静電気を除去する接地などの措置が必要です。

少量危険物は屋外は空地と架台屋内は防火戸と換気タンクは厚さと試験移動タンクは接地が基準になることを示した図解

少量危険物になぜ置き場所の構造まで基準が及ぶのか

標識を掲げた少量危険物の保管棚
指定数量未満の危険物には、消防法第九条の四に基づき市町村の火災予防条例が適用されます。
条例が定める基準は、日常の管理だけでなく置き場所の構造にも及びます。
火災予防条例(例)第三十一条 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱い並びに貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備は、前条に定めるもののほか、次条から第三十一条の八までに定める技術上の基準によらなければならない。
結論は、指定数量未満でも量が増えれば構造まで規制の対象になるということです
指定数量の五分の一という量は、日常の管理だけでは足りないと考えられる境目です。
この境目を超えると、置き場所そのものの位置・構造・設備に基準がかかります。
基準の中身は、屋外・屋内・タンク・移動タンクといった置き方の種類ごとに分かれています。
自分の施設がどの区分に当たるかを最初に確認することが、対応の第一歩です。

うちの倉庫、指定数量の五分の一なんて意識したことがありませんでした。

数量を一度計算してみることをおすすめします。
次から具体的な基準を見ていきます。

屋外で貯蔵するときはどんな基準がかかるのか

空地に囲まれた屋外の少量危険物保管棚
屋外の決まった場所に置いて貯蔵する場合は、周囲の空間そのものが基準の対象になります。
架台を使うときの高さにも上限があります。
火災予防条例(例)第三十一条の三 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を屋外において架台で貯蔵する場合には、高さ六メートルを超えて危険物を収納した容器を貯蔵してはならない。(略)危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋外の場所の周囲には、容器等の種類及び数量に応じた幅の空地を保有するか、又は防火上有効な塀を設けること。(略)
結論は、架台の高さと周囲の空地の両方が基準の対象になるということです
屋外で架台を使って貯蔵する場合、容器を収納する高さは六メートルまでに制限されます。
周囲には数量に応じた幅の空地を確保するか、防火上有効な塀を設ける必要があります。
液状の危険物を扱う設備では、地盤面への浸透を防ぐ覆いや傾斜、ためますも欠かせません。
架台そのものも不燃材料で堅固に造ることが求められます。

屋外に棚を置いているだけなので、高さまでは気にしていませんでした。

六メートルという上限があります。
一度棚の高さを測ってみてください。

屋内で貯蔵するときはどんな構造が必要になるのか

防火戸のある屋内の少量危険物保管室
屋内で貯蔵する場合は、部屋そのものの構造が基準の対象になります。
壁や出入口だけでなく、換気の設備まで求められます。
火災予防条例(例)第三十一条の三の二 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を屋内において貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。一 壁、柱、床及び天井は、不燃材料で造られ、又は覆われたものであること。二 窓及び出入口には、防火戸を設けること。(略)六 可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある場合は、その蒸気又は微粉を屋外の高所に排出する設備を設けること。
結論は、部屋の壁から換気設備まで一体で基準にかかるということです
壁・柱・床・天井は不燃材料で造るか、覆う必要があります。
窓や出入口には防火戸を設け、延焼を防ぎます。
液状の危険物を扱う床は浸透しない構造にし、傾斜とためますで漏れを受け止めます。
可燃性の蒸気がたまりやすい場合は、屋外の高所へ排出する設備も必要です。

棚を防火戸のある部屋に移すだけでは足りないんですね。

はい。
換気設備まで含めて一体で確認してください。

タンクで貯蔵するときに見落としやすいのはどこか

地上タンクと地下タンクの液面表示装置
タンクで貯蔵する場合は、鋼板の厚さや試験など細かな基準が並びます。
地上のタンクと地下のタンクでは、求められる構造がさらに異なります。
火災予防条例(例)第三十一条の四 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。一 その容量に応じた厚さの鋼板又はこれと同等以上の材料で気密に造るとともに(略)水圧試験において、それぞれ漏れ、又は変形しないものであること。六 見やすい位置に危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
結論は、タンクは厚さと試験の両方に適合しないと基準を満たせないということです
タンクは容量に応じた厚さの鋼板で気密に造り、水圧試験で漏れや変形が無いことを確かめます。
地震で転倒しない措置やさび止めも必要で、見やすい位置には量を自動表示する装置を設けます。
地下タンクは、専用のタンク室に設置するか、危険物の漏れを防止できる構造で地盤面下に設置します。
上部から荷重を受けるおそれがある地下タンクには、荷重がかからないふたも欠かせません。

地上のタンクと地下のタンクで、そんなに基準が違うとは思いませんでした。

地下タンクは特に構造が細かく決まっています。
設置前に必ず確認してください。

移動タンクで運ぶときは何を確認すればよいのか

接地された移動タンクの積み下ろし作業
移動タンク(タンクローリー等)で貯蔵し、又は取り扱う場合も、専用の基準があります。
静電気対策と容器への詰め替えの扱いが特に重要です。
火災予防条例(例)第三十一条の六 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う移動タンクの技術上の基準は(略)二 タンクから液体の危険物を容器に詰め替えないこと。(略)三 静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物をタンクに入れ、又はタンクから出すときは、当該タンクを有効に接地すること。
結論は、詰め替えの原則禁止と静電気対策の接地が特に重要だということです
移動タンクから液体の危険物を容器に詰め替えることは原則できません
引火点が四十度以上の第四類の危険物を、安全な速度で決まったノズルで詰め替える場合だけ例外になります。
静電気による災害のおそれがある液体を出し入れするときは、タンクを有効に接地する必要があります。
明日からできることとして、接地の器具が積み下ろしのたびに使われているかを確認してみてください。

容器に詰め替えるのは普通にやっていました。

原則できません。
例外の条件を必ず確認してください。

よくある質問

Q少量危険物の構造基準は、指定数量の五分の一未満なら関係ないのですか?
Aはい。五分の一未満は個別の位置・構造・設備の基準の対象外です。ただし、品名又は指定数量を異にする危険物を同じ場所で扱う場合は、合算した結果で判定されることがあります。
Q屋外の架台の高さ六メートルは、容器を積み重ねる場合と同じ基準ですか?
Aいいえ。容器を直接積み重ねる場合の高さ制限とは別に、架台で貯蔵する場合の高さとして六メートルが定められています。架台の有無で基準が変わります。
Q屋内で貯蔵する場所の換気設備は、常時稼働させておく必要がありますか?
A条文は、可燃性の蒸気や微粉が滞留するおそれがある場合に排出設備を設けることを求めています。稼働のさせ方は現場の状況に応じて判断します。
Q移動タンクの静電気対策は、どんな危険物にも必要ですか?
A静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物が対象です。該当するかどうかは危険物の性質によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。

まとめ

少量危険物も指定数量の五分の一を超えると、場所の構造にも基準が及びます
屋外で架台を使うときは、高さ六メートルまでに制限されます
屋外の場所の周囲には、数量に応じた空地又は塀が必要です
屋内で貯蔵するときは、壁や床を不燃材料にし出入口に防火戸を設けます
タンクは容量に応じた厚さの鋼板で造り、水圧試験に適合させます
地下タンクは専用のタンク室に設置するか、漏れを防止できる構造にします
移動タンクで液体の危険物を出し入れするときは、タンクを有効に接地します

置き場所ごとに基準が違うこと、よく分かりました!

置き場所の点検から始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の四(指定数量未満の危険物に関する基準)
  • 火災予防条例(例)第三十一条・第三十一条の三・第三十一条の三の二・第三十一条の四・第三十一条の六

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。実際の運用は施設の許可内容や所轄消防署の指導によって異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
少量危険物は置き場所ごとに構造が変わる
指定数量未満の危険物であっても、火を使わない、整理整頓するといった日常の管理だけで済むわけではありません。 指定数量の五分の一を超えると、貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備そのものにも基準がかかります。 屋外に...