天井が高いホールや吹抜けのあるロビーでは、天井に感知器が届かず、代わりに炎感知器が使われることがあります。
けれど炎感知器は好きな場所に置けばよいわけではなく、置いてはいけない場所と守るべき条件が消防法施行規則に細かく定められています。
「監視空間」という聞き慣れない言葉も、条文を順番に追えば難しい話ではありません。
この記事では炎感知器を設置できる条件を、条文に沿って一つずつ整理します。
うちのロビーは天井がとても高くて、普通の感知器だと丸い形のものが付いていません。
あれは炎感知器という別物なんですか。
そのとおりです。
炎感知器には置いてよい場所と守るべき条件が条文で決まっています。
点検のときに「監視空間」という言葉を聞いたことがありますが、意味がよく分かりませんでした。
床に近い空間のことで、条文が具体的な範囲を決めています。
順番に見ていきましょう。
- 炎感知器は火災の炎そのものを利用して自動的に感知する感知器である
- 水蒸気が多量に滞留する場所や火炎が露出する設備がある場所には設置できない
- 設置には天井等への取付け・監視空間の確保・障害物の回避・日光の回避という4つの条件がある
- 監視空間とは床面から高さ一・二メートルまでの空間を指し、壁で区画された区域ごとに確保する
- 点検では監視空間の範囲と公称監視距離が守られているかを実測して確かめる
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目次
炎感知器はどんな仕組みで火災を見つけるのか

条文は炎感知器という種類をはっきり別扱いにしています。
煙感知器は煙の粒子を、熱感知器は温度の変化をとらえますが、炎感知器は火災で生じる炎そのものを利用して自動的に感知します。
条文はこの定義を、通常の感知器の規定から炎感知器を除く形のかっこ書きで示しています。
天井が高い倉庫や吹抜けのホールで、煙や熱が感知器まで届きにくい場所に選ばれることが多い種類です。
次の章では、その炎感知器を置いてはいけない場所を見ていきます。
煙でも熱でもなく、炎そのものを見ているんですね。
そのとおりです。
だからこそ設置できる場所にも独自の条件があります。
炎感知器を置いてはいけない場所はどこか

条文は水蒸気と裸火の2つを名指ししています。
(イ)が指す「腐食性ガスが発生するおそれのある場所」「厨房その他正常時において煙が滞留する場所」「著しく高温となる場所」「煙が多量に流入するおそれのある場所」「結露が発生する場所」は、煙感知器などと共通して外れる場所です。
そのうえで炎感知器だけに追加されているのが、水蒸気が多量に滞留する場所と、ガスコンロのように火炎が露出する設備のある場所です。
炎そのものを見て感知するしくみだからこそ、湯気や裸火を誤って炎と読み取ってしまう場所は避けるようにされています。
厨房のコンロの真上のような場所に炎感知器を選んでいないか、まず確かめてください。
裸火のそばに置くと、逆に誤作動しそうな気がしていました。
感覚のとおりです。
条文もその場所を名指しで除外しています。
設置するときに守るべき4つの条件とは

条文は4つの条件を順番に並べています。
イは取付け位置の話で、感知器を天井等又は壁に設けることを求めています。
ロは監視空間の話で、次の章でくわしく取り上げます。
ハは障害物の話で、物陰になって炎を感知できない置き方を避けること、ニは日光の話で、直射日光を誤って炎と読み取らないように設けることを求めています。
ニにはただし書きがあり、遮光板などで対策していれば日光の当たる位置でも設置できます。
日光が当たる窓際には絶対に付けられないんですか。
遮光板を設ければ設置できます。
ただし書きがそう定めています。
監視空間はどうやって確かめればよいのか

条文の言葉を分解すると、実はシンプルな範囲の話です。
人がしゃがんだときの高さのイメージに近く、その帯のどの場所からも感知器までの距離が公称監視距離に収まっている必要があります。
「壁によつて区画された区域ごとに」とあるので、間仕切り壁で区切られた部屋なら区画ごとに監視空間を確保しなければならず、隣の部屋の感知器で兼ねることはできません。
公称監視距離は各メーカーが感知器ごとに定めて表示している数値で、機器のラベルや仕様書で確認できます。
広い一部屋でも、柱や間仕切りで区画が分かれていないかを図面で確認しておくと安心です。
床全体ではなく、一・二メートルまでの低い帯だけを見ればいいんですね。
そのとおりです。
区画ごとに範囲が変わる点だけ注意してください。
点検で何を確認すればよいのか

図面だけでなく、現地での見え方も一緒に確認します。
まず取付け位置が天井等または壁であること、次に監視空間の範囲が公称監視距離に収まっているかを、感知器の仕様書と実際の距離で照らし合わせます。
棚や什器が新しく置かれて障害物になっていないか、窓からの日光が直接当たっていないかも合わせて見ます。
水蒸気の出る設備や火炎の露出する設備が後から近くに設置されていないかも、あわせて確認してください。
設置したときの条件がそのまま今も保たれているかを見るのが、日常点検の要点です。
設置したときのままだと思い込まず、今の状態を見ればいいんですね。
そのとおりです。
棚の配置換え一つで条件が崩れることもあります。
よくある質問
まとめ
置けない場所と4つの条件がはっきり分かって、点検で何を見ればいいか整理できました!
お役に立てて何よりです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第23条第4項第1号(感知器の設置場所・除外場所)
- 消防法施行規則第23条第4項第七号の四(炎感知器の設置基準)
- 消防法施行規則第23条第5項第五号(天井等の高さ二十メートル以上の場所への炎感知器の指定)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





