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炎感知器はどこになら設置できるのか|監視空間と4つの条件を解説

高い天井の倉庫で柱に取り付けられた炎感知器の写真

天井が高いホールや吹抜けのあるロビーでは、天井に感知器が届かず、代わりに炎感知器が使われることがあります。
けれど炎感知器は好きな場所に置けばよいわけではなく、置いてはいけない場所と守るべき条件が消防法施行規則に細かく定められています。
「監視空間」という聞き慣れない言葉も、条文を順番に追えば難しい話ではありません。
この記事では炎感知器を設置できる条件を、条文に沿って一つずつ整理します

うちのロビーは天井がとても高くて、普通の感知器だと丸い形のものが付いていません。
あれは炎感知器という別物なんですか。

そのとおりです。
炎感知器には置いてよい場所と守るべき条件が条文で決まっています。

点検のときに「監視空間」という言葉を聞いたことがありますが、意味がよく分かりませんでした。

床に近い空間のことで、条文が具体的な範囲を決めています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 炎感知器は火災の炎そのものを利用して自動的に感知する感知器である
  • 水蒸気が多量に滞留する場所火炎が露出する設備がある場所には設置できない
  • 設置には天井等への取付け・監視空間の確保・障害物の回避・日光の回避という4つの条件がある
  • 監視空間とは床面から高さ一・二メートルまでの空間を指し、壁で区画された区域ごとに確保する
  • 点検では監視空間の範囲と公称監視距離が守られているかを実測して確かめる

炎感知器の設置は監視空間で決まることを示す図解(天井や壁に設置・監視空間を確保・障害物を避ける・日光を避けるの4ステップ)

炎感知器はどんな仕組みで火災を見つけるのか

壁に取り付けられた丸い炎感知器と小さな炎の形のアイコンを並べた図
天井に丸い機器が付いていても、それが煙や熱を感知するものとは限りません。
条文は炎感知器という種類をはっきり別扱いにしています。
消防法施行規則第23条第4項第1号イ(略) 感知器(炎感知器(火災により生ずる炎を利用して自動的に火災の発生を感知するものをいう。以下同じ。)を除く。以下この号(ホを除く。)において同じ。)(略)
炎感知器は炎そのものを見て火災を判断する感知器です
煙感知器は煙の粒子を、熱感知器は温度の変化をとらえますが、炎感知器は火災で生じる炎そのものを利用して自動的に感知します。
条文はこの定義を、通常の感知器の規定から炎感知器を除く形のかっこ書きで示しています。
天井が高い倉庫や吹抜けのホールで、煙や熱が感知器まで届きにくい場所に選ばれることが多い種類です。
次の章では、その炎感知器を置いてはいけない場所を見ていきます。

煙でも熱でもなく、炎そのものを見ているんですね。

そのとおりです。
だからこそ設置できる場所にも独自の条件があります。

炎感知器を置いてはいけない場所はどこか

裸火のガスコンロと壁の炎感知器に禁止マークを並べた図
炎を利用して感知する装置だからこそ、置けない場所も炎感知器ならではのものがあります。
条文は水蒸気と裸火の2つを名指ししています。
消防法施行規則第23条第4項第1号ホ 炎感知器にあつては、ハに掲げる場所のほか、次に掲げる場所 (イ)ニ(ロ)から(ニ)まで、(ヘ)及び(ト)に掲げる場所 (ロ)水蒸気が多量に滞留する場所 (ハ)火を使用する設備で火炎が露出するものが設けられている場所 (ニ)(イ)から(ハ)までに掲げる場所のほか、感知器の機能に支障を及ぼすおそれのある場所
水蒸気の多い場所と裸火のある設備の近くには置けません
(イ)が指す「腐食性ガスが発生するおそれのある場所」「厨房その他正常時において煙が滞留する場所」「著しく高温となる場所」「煙が多量に流入するおそれのある場所」「結露が発生する場所」は、煙感知器などと共通して外れる場所です。
そのうえで炎感知器だけに追加されているのが、水蒸気が多量に滞留する場所と、ガスコンロのように火炎が露出する設備のある場所です。
炎そのものを見て感知するしくみだからこそ、湯気や裸火を誤って炎と読み取ってしまう場所は避けるようにされています。
厨房のコンロの真上のような場所に炎感知器を選んでいないか、まず確かめてください。

裸火のそばに置くと、逆に誤作動しそうな気がしていました。

感覚のとおりです。
条文もその場所を名指しで除外しています。

設置するときに守るべき4つの条件とは

高い位置の炎感知器と床近くの薄い監視空間を並べた図
置いてはいけない場所を避けたら、次は置き方そのものの条件です。
条文は4つの条件を順番に並べています。
消防法施行規則第23条第4項第七号の四 炎感知器(道路の用に供される部分に設けられるものを除く。)は、次に定めるところによること。 イ 感知器は、天井等又は壁に設けること。 ロ 感知器は、壁によつて区画された区域ごとに、当該区域の床面から高さ一・二メートルまでの空間(以下「監視空間」という。)の各部分から当該感知器までの距離が公称監視距離の範囲内となるように設けること。 ハ 感知器は、障害物等により有効に火災の発生を感知できないことがないように設けること。 ニ 感知器は、日光を受けない位置に設けること。ただし、感知障害が生じないように遮光板等を設けた場合にあつては、この限りでない。
条件は取付け位置・監視空間・障害物・日光の4つです
イは取付け位置の話で、感知器を天井等又は壁に設けることを求めています。
ロは監視空間の話で、次の章でくわしく取り上げます。
ハは障害物の話で、物陰になって炎を感知できない置き方を避けること、ニは日光の話で、直射日光を誤って炎と読み取らないように設けることを求めています。
ニにはただし書きがあり、遮光板などで対策していれば日光の当たる位置でも設置できます。

日光が当たる窓際には絶対に付けられないんですか。

遮光板を設ければ設置できます。
ただし書きがそう定めています。

監視空間はどうやって確かめればよいのか

低い間仕切り壁と壁際の炎感知器と床近くの薄い監視空間を並べた図
条件のなかでも一番つかみにくいのが、この監視空間という考え方です。
条文の言葉を分解すると、実はシンプルな範囲の話です。
消防法施行規則第23条第4項第七号の四ロ(再掲) 感知器は、壁によつて区画された区域ごとに、当該区域の床面から高さ一・二メートルまでの空間(以下「監視空間」という。)の各部分から当該感知器までの距離が公称監視距離の範囲内となるように設けること。
監視空間は床から一・二メートルまでの帯状の空間です
人がしゃがんだときの高さのイメージに近く、その帯のどの場所からも感知器までの距離が公称監視距離に収まっている必要があります。
「壁によつて区画された区域ごとに」とあるので、間仕切り壁で区切られた部屋なら区画ごとに監視空間を確保しなければならず、隣の部屋の感知器で兼ねることはできません。
公称監視距離は各メーカーが感知器ごとに定めて表示している数値で、機器のラベルや仕様書で確認できます。
広い一部屋でも、柱や間仕切りで区画が分かれていないかを図面で確認しておくと安心です。

床全体ではなく、一・二メートルまでの低い帯だけを見ればいいんですね。

そのとおりです。
区画ごとに範囲が変わる点だけ注意してください。

点検で何を確認すればよいのか

チェックリストを持つクリップボードと壁の炎感知器から床へ伸びる点線の計測線を並べた図
ここまでの条件を、点検のときにどう確かめればよいかをまとめます。
図面だけでなく、現地での見え方も一緒に確認します。
消防法施行規則第23条第4項第七号の四(再掲) イ 感知器は、天井等又は壁に設けること。 ロ (略)当該区域の床面から高さ一・二メートルまでの空間(監視空間)の各部分から当該感知器までの距離が公称監視距離の範囲内となるように設けること。 ハ 感知器は、障害物等により有効に火災の発生を感知できないことがないように設けること。 ニ 感知器は、日光を受けない位置に設けること。ただし、感知障害が生じないように遮光板等を設けた場合にあつては、この限りでない。
点検では条文の4条件をそのまま現地でなぞります
まず取付け位置が天井等または壁であること、次に監視空間の範囲が公称監視距離に収まっているかを、感知器の仕様書と実際の距離で照らし合わせます。
棚や什器が新しく置かれて障害物になっていないか、窓からの日光が直接当たっていないかも合わせて見ます。
水蒸気の出る設備や火炎の露出する設備が後から近くに設置されていないかも、あわせて確認してください。
設置したときの条件がそのまま今も保たれているかを見るのが、日常点検の要点です。

設置したときのままだと思い込まず、今の状態を見ればいいんですね。

そのとおりです。
棚の配置換え一つで条件が崩れることもあります。

よくある質問

Q炎感知器と煙感知器はどちらを選んでもよいのですか?
A場所の区分によって決まっており、自由に選べるわけではありません。天井等の高さが二十メートル以上になる場所では、施行規則第23条第5項第五号により炎感知器が指定されています。
Q監視空間の高さはどんな建物でも一・二メートルで同じですか?
Aはい。施行規則第23条第4項第七号の四ロは、床面から高さ一・二メートルまでの空間と定めており、建物の種類や用途による違いはありません。
Q屋外の吹きさらしの場所に炎感知器を置いてもよいですか?
A上屋その他外部の気流が流通する場所は、感知器の種類を問わず、有効に火災を感知できないものであれば設置対象から外れます。判断が難しい場合は所轄消防署に確認してください。
Q日光の当たる位置に設置してしまった場合はどうすればよいですか?
A施行規則第23条第4項第七号の四ニのただし書きにより、遮光板などで感知障害が生じないようにすれば、その位置のままでも設置できます。

まとめ

炎感知器は炎そのものを利用して自動的に火災を感知する感知器である
水蒸気が多量に滞留する場所には置けない
火炎が露出する設備がある場所にも置けない
設置には取付け位置・監視空間・障害物・日光という4つの条件がある
監視空間は床面から一・二メートルまでの空間を指す
監視空間は壁で区画された区域ごとに確保しなければならない
点検では設置時の条件が今も保たれているかを現地で確かめる

置けない場所と4つの条件がはっきり分かって、点検で何を見ればいいか整理できました!

お役に立てて何よりです。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第23条第4項第1号(感知器の設置場所・除外場所)
  • 消防法施行規則第23条第4項第七号の四(炎感知器の設置基準)
  • 消防法施行規則第23条第5項第五号(天井等の高さ二十メートル以上の場所への炎感知器の指定)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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