工業地域のように用途規制がゆるやかな土地であれば、ごみ処理施設や火葬場も自由に建てられると思われがちです。
しかし建築基準法は、これらの施設についてだけ、用途地域とは別枠の追加ルールを設けています。
根拠は建築基準法第51条で、敷地の位置そのものを都市計画で決めてもらう必要があるという仕組みです。
この記事では条文を確認しながら、処理施設の建築に必要な手続きを整理します
うちの近くの工業地域に、ごみ処理施設を建てたいという相談が来ているんですが、用途地域さえ合っていれば大丈夫でしょうか。
いいえ、建築基準法第51条という別の規制がかかります。
まず条文を確認しましょう。
用途地域の規制とは別に、もう一つルールがあるということですか。
はい、敷地の位置そのものを都市計画で決めてもらう必要がある規制です。
順番に見ていきましょう。
- 火葬場やごみ処理場などの処理施設は、用途地域の規制とは別に敷地の位置を都市計画で決める必要があります
- 対象は卸売市場・火葬場・と畜場・汚物処理場・ごみ焼却場と政令で定めるごみ処理施設・産業廃棄物処理施設です
- 都市計画で決めなくても、特定行政庁の許可を受けるか政令で定める小規模の範囲内であれば建てられます
- 卸売市場は延べ面積500平方メートル以下、汚物処理場・ごみ焼却場は処理能力3,000人以下が小規模の目安です
- 一度許可や適用除外で建てた施設でも、増築後の規模が当初の1.5倍を超えると再び手続きが必要になります
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目次
火葬場やごみ処理場はなぜ用途地域だけでは建てられないのか

建築基準法別表第二とは異なる条文が、これらの施設を規制しています。
用途地域で許される用途であっても、この手続きを経ていなければ新築も増築もできません。
根拠は建築基準法第51条で、別表第二とは独立した条文です。
次は、具体的にどんな施設がこの規制の対象になるのかを見ていきます。
用途地域の表とは別に、こんな条文があったんですね。
はい、別表第二とは別の第51条という条文です。
次は対象になる施設を見てみましょう。
どんな施設がこの規制の対象になるのか

これに加えて政令は、ごみ処理施設一般や産業廃棄物処理施設もこの規制の対象に含めています。
ただし工場などに附属し、その建物で出た廃棄物だけを処理する設備は対象から除かれます。
次は、都市計画で位置を決めずに建てる方法があるのかを見ていきます。
名指しされた5つの施設だけでなく、政令の方でも追加されているんですね。
はい、自家処理の設備は除外される点もポイントです。
次は建てる方法を見てみましょう。
都市計画で決めずに建てる方法はあるのか

2つ目は、政令で定める小規模の範囲内で新築・増築する場合で、この場合は許可すら不要になります。
たとえば卸売市場は延べ面積500平方メートル以下、汚物処理場やごみ焼却場は処理能力3,000人以下であれば、この規制自体がかかりません。
次は、この小規模の例外に落とし穴が無いかを見ていきます。
小規模なら審議会にかけなくてもいいんですか。
はい、政令の基準以下ならこの規制自体がかかりません。
次は増築の落とし穴を見てみましょう。
許可を受けた施設ならどれだけでも増築してよいのか

汚物処理場やごみ焼却場であれば、許可を受けた当初の処理能力の1.5倍、または4,500人のどちらか少ない方が上限です。
卸売市場・と畜場・火葬場についても、当初の延べ面積の1.5倍か750平方メートルのどちらか少ない方という同じ考え方の上限があります。
この上限を超える増築を計画する場合は、改めて都市計画の決定や許可を得直す必要があります。
小規模で建てたあとに、少しずつ増築を重ねればいずれ大きくできそうですが。
いいえ、当初の1.5倍という上限で頭打ちになります。
次は確認の手順を整理しましょう。
建てる前に何を確認すればよいのか

- 敷地が都市計画区域内かどうかを確認する(区域外であれば第51条の適用がない)
- その敷地の位置が都市計画ですでに決定されているかを自治体の都市計画図で確認する
- 決定されていない場合は、延べ面積や処理能力が政令で定める小規模の範囲内に収まるか確認する
- 範囲を超える場合は特定行政庁への許可申請が必要になることを説明する(審議会の手続きに時間がかかるため早めの相談を促す)
- 既存施設の増築であれば許可当初の規模の1.5倍という上限を超えていないか確認する
用途地域の確認だけでは足りないんですね。
はい、都市計画図の確認まで含めてご案内ください。
迷ったらよくある質問も参考にしてください。
よくある質問
まとめ
処理施設の位置決定という仕組みがよく分かりました。
次の相談でも迷わず確認できそうです。
敷地の位置の判断に迷ったら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第51条
- 建築基準法施行令第百三十条の二の二
- 建築基準法施行令第百三十条の二の三
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





