屋外消火栓設備には専用の条文(消防法施行規則第22条)があるので、開閉弁の位置から非常電源まですべて独自の基準だと思われがちです。
点検票の非常電源の欄が屋内消火栓設備とそっくりな書式になっているのを見て、疑問に思ったことはないでしょうか。
条文を号ごとに読むと、屋外消火栓設備だけの基準と、屋内消火栓設備からそのまま借りている基準がはっきり分かれています。
この記事では条文が「準用」という形でどこまで借りているのかを整理します。
屋外消火栓の点検票を見ていたら、非常電源の欄が屋内消火栓の点検票とほとんど同じ書式でした。
それは偶然ではありません。
消防法施行規則第22条が屋内消火栓の規定をそのまま借りているからです。
独自に決まっているのは屋外消火栓箱の高さや標示くらいだと思っていました。
その理解でおおむね合っています。
今日はどこまで借りていて、どこが屋外だけの数字か整理しましょう。
- 屋外消火栓設備の非常電源は、消防法施行規則第十二条第一項第四号の屋内消火栓の規定をそのまま借りている
- 配線や配管の基準も同じ条文(第五号・第六号)を準用している
- 大規模施設の防災センター等への表示義務(第八号)も屋外消火栓設備に準用される
- 貯水槽やポンプの耐震措置(第九号)も屋内消火栓と同じ基準である
- 屋外消火栓固有の数字は、落差や圧力の計算式とノズル先端の放水圧力の上限にだけ現れる
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目次
屋外消火栓設備に独自の基準はどれだけあるのか

実際に号を並べて読むと、そう単純ではないことが分かります。
開閉弁の高さ、放水用器具の性能、屋外消火栓箱の位置、そして「ホース格納箱」という表示の文字まで、ここまでは屋外消火栓だけの規定です。
ところが号五以降は様子が変わり、呼水装置は屋内消火栓の第十二条第一項第三号の二を、非常電源は同項第四号を、それぞれ「規定の例により」設けると書かれています。
つまり第22条は前半が固有の条文、後半が屋内消火栓の借用条文という二段構えの構造をしています。
この境目を知らずに読むと、後半の号も屋外消火栓だけの基準だと誤解してしまいます。
号五から急に「屋内消火栓の例による」と出てきて驚きました。
屋外消火栓は独立した設備ですが、細かい技術は屋内消火栓と共有しているんです。
次の号から順に見ていきましょう。
非常電源はどんな基準で設ける必要があるのか

屋内消火栓設備向けに書かれた条文ですが、屋外消火栓設備にもそのまま適用されます。
原則は非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備・燃料電池設備の4種類から選べますが、延べ面積が千平方メートル以上の特定防火対象物では、非常電源専用受電設備を選ぶことができません。
停電中でも消火設備を動かし続けるための規定なので、受電設備だけに頼る建物では条件を満たさないという考え方です。
条文の先には設置場所や配電盤の種類まで細かい要件が続きますが、いずれも屋内消火栓設備と同じ内容が屋外消火栓設備にも適用されます。
点検の際は、屋外消火栓の非常電源が屋内消火栓と設備を共用しているのか、別に用意されているのかをまず確認してください。
非常電源専用受電設備を選べない建物があるとは知りませんでした。
延べ面積が千平方メートル以上の特定防火対象物が対象です。
該当するかどうかは建物の用途と面積表で確認できます。
配線や配管防災センターへの表示も同じ基準を借りるのか

さらに、大規模な建物では表示の義務まで屋内消火栓設備と共通です。
操作回路の配線は耐熱性のある電線を使い金属管工事等で保護すること、配管は原則専用とし逆止弁と止水弁を設けることが、いずれも第十二条の読み替えで適用されます。
号十一の総合操作盤への準用は、延べ面積5万平方メートル以上の防火対象物や地下街など限られた大規模施設だけが対象なので、多くの現場では関係しません。
関係の有無を確かめずに「うちも防災センターに表示が要る」と思い込むと、余計な工事を発注してしまいます。
まずは自分の建物が号十一の面積要件に当てはまるかどうかを確認するところから始めてください。
うちのビルにも防災センターへの表示が要るのか気になります。
延べ面積5万平方メートル以上などの大規模施設だけが対象です。
該当しない建物では心配いりません。
屋外消火栓だけの数字はどこに残っているのか

屋外消火栓設備の固有の数字が、この号にまとまって出てきます。
高架水槽を用いる場合の落差は摩擦損失水頭に25メートルを加えて求めるという式そのものは屋内消火栓と同じ形をしていますが、屋外消火栓設備は号十のイからニまでに独立して書かれています。
さらにニは、ノズルの先端の放水圧力が0.6メガパスカルを超えないための措置を求めており、これは屋外消火栓設備だけの上限です。
一方で号十二の耐震措置は、第十二条第一項第九号を指すだけの借用条文で、貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管等に地震による震動等に耐える措置を求める中身は屋内消火栓とまったく同じです。
号十が固有の式、号十二が借用の条文というように、隣り合う号でも性質がはっきり分かれています。
号十だけ数字がたくさん出てくるのはそういう理由だったんですね。
固有の式が並ぶのはここだけです。
次の号十二はまた借用に戻ります。
明日からなにを確認すればよいのか

最後に加圧送水装置そのものの設置場所の基準を確認しておきましょう。
非常電源・配線・配管・耐震措置の欄は屋内消火栓設備の点検票とほぼ同じ内容になっているはずなので、様式が違っていたら業者に確認してください。
号十の落差・圧力の計算式とノズル先端0.6メガパスカルの上限は屋外消火栓設備だけの数字なので、改修工事の見積りではこの部分の記載が独立してあるかを見ます。
加圧送水装置は点検に便利で被害を受けるおそれが少ない箇所に置く決まりなので、物置代わりに埋もれていないかも見ておきましょう。
条文の構造を知っておくと、改修工事の見積りでどの費用が共通部分でどの費用が屋外消火栓固有の部分かを見分けやすくなります。
点検票を見比べるところから始めてみます。
共通部分と固有部分が分かれば、工事の見積りも読みやすくなります。
不明な点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
屋外消火栓の非常電源が屋内消火栓と同じ条文だったとよく分かりました。
さっそく点検票を見比べてみます。
その点検票の読み合わせから、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第22条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第19条
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





