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連結送水管の耐震措置はなぜ貯水槽等と呼ばれるのか|配管と加圧送水装置の対象範囲を解説

連結送水管の耐震措置は貯水槽等のうち配管と加圧送水装置が対象になる範囲を示すアイキャッチ画像

消防用設備等の耐震措置というと、水を溜めた大きな貯水槽をまず思い浮かべます。
ところが連結送水管は、消防車が送水口にホースをつないで送水するだけの設備で、建物の中に水を溜めておく水源を持ちません。
それでも消防法施行規則は、連結送水管にも「貯水槽等には耐震措置を講じること」という条文をそのまま適用しています。
貯水槽を持たない設備に、なぜ貯水槽の名がついた条文がかかるのかを整理します。

連結送水管の耐震措置って、貯水槽なんて置いてないうちのビルでも関係あるんですか。

消防法施行規則第三十一条第十号を見ます。
貯水槽等には第十二条第一項第九号の措置を講じると定めています。

うちは送水口があるだけなんですが、それでも貯水槽等に当たるんでしょうか。

そこがこの条文のポイントで、貯水槽そのものが無くても条文はそのまま適用されます

この記事の結論
  • 連結送水管の耐震措置は消防法施行規則第三十一条第十号が定め、第十二条第一項第九号の規定を準用します。
  • 「貯水槽等」とは貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管等をまとめた略称です。
  • 連結送水管は消防車から送水口へ送水する仕組みのため、建物内に貯水槽を持ちません
  • 加圧送水装置と非常電源が対象になるのは高さ七十メートルを超える建築物に限られます。
  • 配管はどの連結送水管でも必ず耐震措置の対象になります。

連結送水管の耐震措置は貯水槽等のうち配管と加圧送水装置が対象になる範囲を示す図解

連結送水管の耐震措置はどの条文が定めているのか

連結送水管の条文が消防法施行規則第十二条を指し示す準用の様子
連結送水管の技術基準を定めた条文の中に、耐震措置そのものを書いた一文はありません。
かわりに、別の条文を指定して基準を借りる形になっています。
問1 連結送水管の設置及び維持に関する技術上の基準の細目には、耐震措置を独自に定めた条文があるか。
答1 独自の条文は無い。消防法施行規則第三十一条第十号は「貯水槽等には第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること」と定め、屋内消火栓設備の条文を指定して基準を借りている。
連結送水管の耐震措置は、条文の最後の号にひっそりと置かれています。
第三十一条は送水口の位置や配管の材質など全十号からなり、耐震措置はその最後の第十号に当たります。
第十二条第一項第九号は、もともと屋内消火栓設備のために書かれた条文です。
連結送水管はこの条文をそっくり指定して、自分の設備にも同じ考え方を適用しています。
条文の場所を知らないと、耐震措置の規定自体を見落としてしまいます。

送水口の基準とかは知ってましたけど、耐震の話は初耳です。

条文の最後の号に置かれているので目立ちません。
点検票に載っているか確認してみてください。

貯水槽等という言葉は何を指しているのか

貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管の四つのアイコンが並ぶ様子
「貯水槽等」は条文が作った略称で、中身は一つではありません。
何が含まれるのかを条文の定義部分で確認します。
問2 消防法施行規則第十二条第一項第九号がいう「貯水槽等」には、具体的に何が含まれるか。
答2 同号は「貯水槽、加圧送水装置、非常電源、配管等(以下「貯水槽等」という。)」と定めており、この四つをまとめて「貯水槽等」と呼んでいる。
「貯水槽等」は四つの設備要素をまとめた総称であり、貯水槽単体の呼び名ではありません。
貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管のうち、どれか一つでも設備として存在すれば、その部分に耐震措置が必要になります。
逆に言えば、四つのうち存在しない要素については、そもそも耐震措置の対象にもなりません。
この定義を知っているかどうかで、次に説明する連結送水管特有の事情の見え方が変わります。

貯水槽等っていうから、タンクだけの話かと思ってました。

四つをまとめた略称なんです。
設備ごとに当てはまる要素だけを見ていきます。

連結送水管に貯水槽がないのはなぜか

消防車が連結送水管の送水口にホースをつないで送水する様子
連結送水管の条文を最初から最後まで読んでも、貯水槽という言葉そのものが出てきません。
それには連結送水管特有の仕組みが関係しています。
問3 連結送水管の設置及び維持に関する技術上の基準の細目(消防法施行規則第三十一条)の中に、貯水槽の設置を求める規定はあるか。
答3 無い。同条は送水口・放水口・配管・加圧送水装置・非常電源についての規定を置くが、貯水槽そのものを設置させる規定は含まれていない。
連結送水管は、消防車が送水口から送り込む水をそのまま配管に通す設備で、建物内に水を溜めておく必要がありません。
屋内消火栓設備やスプリンクラー設備は、平常時から自前の水源(貯水槽)を確保しておく必要があります。
一方で連結送水管は、火災発生時に消防車が消防水利から水を汲み上げて送ることを前提にしており、あらかじめ水を溜めておく貯水槽の設置規定がそもそもありません。
「貯水槽等には耐震措置を講じること」という条文は連結送水管にもそのまま準用されますが、貯水槽という要素自体が最初から存在しないことになります。

じゃあうちのビルには貯水槽等の耐震措置は関係ないってことですか。

貯水槽の分は無関係ですが、残り三つの要素は建物によって話が変わります。
次で説明します。

加圧送水装置と非常電源はいつ耐震措置の対象になるのか

低い建物と高い建物を並べ高い建物だけに加圧送水装置と非常電源が追加される様子
貯水槽等の四要素のうち、加圧送水装置と非常電源はすべての連結送水管にあるわけではありません。
設置されるかどうかは建物の高さで決まります。
問4 連結送水管に加圧送水装置と非常電源が設置されるのはどんな建築物か。
答4 消防法施行規則第三十一条第六号イにより、高さ七十メートルを超える建築物では連結送水管を湿式とし、加圧送水装置を設ける。同条第七号により、その加圧送水装置を有効に二時間以上作動できる非常電源もあわせて設ける。
加圧送水装置と非常電源は、高さ七十メートルを超える建築物だけに追加される要素です。
高さ七十メートル以下の建築物の連結送水管は、送水口から直接配管に水を送る乾式または湿式の設備で、ポンプによる加圧も専用の非常電源も持ちません
これに対し高さ七十メートルを超える建築物では、送水の圧力だけでは上層階まで届きにくいため、建物側にもポンプ(加圧送水装置)を備え、それを動かす非常電源も備える仕組みになっています。
つまり貯水槽等の四要素のうち、加圧送水装置と非常電源の二つは、建物の高さという条件付きで初めて対象になります。

うちのビルは七十メートルもないので、加圧送水装置は無いはずです。

その場合は加圧送水装置と非常電源の分は対象外です。
ただし配管だけは別に考える必要があります。

配管はどんな連結送水管でも耐震措置の対象になるのか

点検員が連結送水管の配管に取り付けられた固定金具を確認している様子
貯水槽・加圧送水装置・非常電源が無い連結送水管でも、耐震措置の対象になるものが一つだけ残ります。
それが配管です。
問5 高さ七十メートル以下で加圧送水装置も非常電源も無い連結送水管には、耐震措置の対象になるものは何も無いか。
答5 無いわけではない。消防法施行規則第三十一条第五号の配管は、送水口を持つすべての連結送水管に必ず存在し、貯水槽等の四要素のうち「配管」として耐震措置の対象になる。
配管だけは、連結送水管の規模や方式にかかわらず必ず耐震措置の対象になります。
送水口から放水口まで水を通す配管は、連結送水管である以上どの建物にも存在する設備です。
高さ七十メートル以下で貯水槽も加圧送水装置も非常電源も無い建物であっても、配管の固定・支持金具が地震による震動等に耐えられるかは点検で確認すべき項目です。
「貯水槽等」という言葉だけを見て自分のビルには関係ないと判断せず、四要素のうちどれが自分の設備に当てはまるかを個別に確認することが実務での基本になります。

配管だけは、うちのビルでも見ておかないといけないんですね。

そのとおりです。
配管の固定金具だけは次の点検で確認してみてください。

よくある質問

Q連結送水管の配管の耐震措置は、具体的にどんな点検を行いますか?
A配管を固定する支持金具やブラケットに緩み・変形が無いか、壁や床の貫通部にすき間や損傷が無いかを目視と触診で確認します。支持金具の緩みは震動を吸収できず配管の損傷につながるため、重点的に確認します。
Q高さ七十メートルを超える建築物かどうかは、どこで確認できますか?
A建築確認申請の書類や消防用設備等の設計図書に記載された建築物の高さで確認できます。高さ七十メートルを境に連結送水管の湿式化と加圧送水装置の要否が変わるため、竣工図書での確認が確実です。
Q耐震措置を怠っていた場合、どのような扱いになりますか?
A消防法施行規則が定める技術上の基準の細目に適合しない状態となるため、消防用設備等点検の結果報告で不備として扱われます。点検票の是正指摘に沿って、固定金具の増設や交換などの是正を行います。
Q屋内消火栓設備の貯水槽の耐震措置と、連結送水管の配管の耐震措置は同じ基準ですか?
A同じ第十二条第一項第九号を根拠とするため、求められる考え方は共通です。対象となる設備要素が屋内消火栓設備では貯水槽等の四つすべてに及ぶのに対し、連結送水管では建物の条件によって範囲が変わる点が異なります。

まとめ

連結送水管の耐震措置は消防法施行規則第三十一条第十号が定め、第十二条第一項第九号を準用する
「貯水槽等」は貯水槽・加圧送水装置・非常電源・配管等をまとめた略称である。
連結送水管は消防車から送水する仕組みのため、貯水槽の設置規定がそもそも無い
加圧送水装置と非常電源が対象になるのは高さ七十メートルを超える建築物に限られる。
配管はどの連結送水管にも必ず存在し、規模にかかわらず耐震措置の対象になる。
「貯水槽等」という言葉だけで自分のビルに無関係と判断してはいけない
点検では配管の固定金具を確認し、七十メートル超の建物では加圧送水装置・非常電源もあわせて確認する。

貯水槽等の中身がバラバラだって、初めて分かりました。
次の点検では配管の固定を必ず見てもらいます。

連結送水管の耐震措置でお悩みでしたら、点検からお手伝いします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第十二条第一項第九号(貯水槽等の耐震措置)
  • 消防法施行規則第三十一条第五号・第六号・第七号・第十号(連結送水管の配管・加圧送水装置・非常電源・耐震措置)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。設備の設計・施工の詳細は所轄消防署や専門業者にご確認ください

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