給水管や配電管が防火区画を貫通する部分に使う耐火二層管は、これまで防火区画ごとに国土交通大臣の個別認定を受けなければ使えませんでした。
令和7年7月4日に施行された告示改正で、この耐火二層管について告示そのものに数値基準が新設され、認定を受けなくても基準さえ満たせば使える配管材料として位置づけられました。
建築設備の定期検査では、給水管や排水管が防火区画等を貫通する部分の配管材料と外径を確認しますが、この改正で耐火二層管の扱いが具体的に変わっています。
今回は耐火二層管の定義から内管・外管の対応表、床や壁の被覆厚の基準までを解説します。
耐火二層管って、以前から使われている配管ですよね。
それが告示で変わるとどういうことですか。
これまでは個別の大臣認定が前提でした。
今回の改正で告示だけで使えるようになった条件を見ていきましょう。
数値基準というのは、配管の太さのようなものですか。
そのとおりです、内管と外管の肉厚と外径の組み合わせで決まります。
床や壁の構造条件とあわせて、順番に確認していきます。
- 耐火二層管は硬質塩化ビニルの内管と繊維モルタルの外管からなる二層構造の管です
- 従来は防火区画を貫通するたびに大臣認定を受ける必要がありましたが、令和7年7月4日施行の告示改正で数値基準が新設されました
- 内管の外径・肉厚と外管の外径・肉厚の組み合わせで基準を満たすかが決まります
- 貫通する床や壁は2時間耐火構造・1時間耐火構造・1時間準耐火構造・45分間準耐火構造の4区分ごとに被覆厚が定められています
- 2以上の区分に該当するときは、大きいほうの数値を採用します
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目次
なぜ耐火二層管に告示の数値基準が新設されたのか

そのうちの1つが、今回の改正で扱いが変わりました。
ロの外径基準の詳細は平成12年建設省告示第1422号(以下「本告示」)が定めていますが、対象は難燃材料や硬質塩化ビニル単層の管に限られ、耐火二層管は含まれていませんでした。
耐火二層管は口径や貫通部分の仕様ごとに個別の大臣認定を取得する必要があり、その実績が積み重なったことで、仕様として告示に落とし込むための技術的な知見が得られました。
これを受けて本告示が改正され、耐火二層管を用いた給水管等の外径に係る基準が新たに規定されています。
認定を受けなくても使えるようになったということですね。
はい、基準を満たせば認定書類を探さずに済みます。
まずは耐火二層管そのものの構造から確認しましょう。
耐火二層管とはそもそもどんな配管を指すのか

それぞれの層に使える材料も告示で決まっています。
外側を包む繊維モルタルは、燃えやすい有機物をできるだけ含まない配合にすることが条件です。
この二層構造そのものは「不燃材料」には該当しないため、告示に数値基準が新設される前は、大臣認定を受けたもの以外は防火区画等を貫通させることができませんでした。
検査では、貫通部分に使われている配管が単層の塩化ビニル管なのか、耐火二層管として認定または告示の基準に適合するものなのかをまず見分けます。
見た目だけでは普通の塩ビ管と区別しにくそうです。
おっしゃるとおりで、外径や表示ラベルで確認します。
次は具体的な数値の対応関係を見てみましょう。
内管と外管の肉厚や外径はどう対応しているのか

片方だけ基準を満たしていても足りません。
外管の肉厚は6.0mm以上を基本に、内管が太くなるほど6.5mm・7.0mm・7.5mm以上と厚くなっていきます。
検査で難しいのは、実際の配管が複数の区分にまたがって該当するケースです。
その場合は原則どおり、対応する数値が大きいほうを基準として採用します。
数値がたくさんあって、現場で全部覚えるのは大変そうです。
実務では製品の表示ラベルと告示の表を突き合わせます。
続いて貫通する側の床や壁の条件を見ていきましょう。
鉄筋コンクリート造の床や壁ではどんな被覆厚が必要か

求められる被覆厚は防火性能の区分ごとに変わります。
2時間耐火構造では床・壁とも被覆厚100mm以上が求められるのに対し、1時間耐火構造では床70mm以上・壁75mm以上まで緩和されます。
被覆厚は、管が中空部のある床や壁を貫通する場合は防火被覆そのものの厚さ、中空部のない床や壁の場合は床や壁自体の厚さを指します。
検査では、対象の防火区画がどの区分に当たるかを図面や仕様書で確認したうえで、実測した被覆厚と照らし合わせます。
うちのビルは鉄筋コンクリート造なので、この基準が当てはまりそうです。
防火区画の耐火性能によって被覆厚が変わる点がポイントです。
最後に木造や中空部がある場合の扱いも見ておきましょう。
木造の床や壁、中空部がある場合はどう扱われるのか

木造や中空部のある構造では、板の枚数や厚さで基準を満たします。
1時間準耐火構造では12.5mm以上のせっこうボードを2枚以上、45分間準耐火構造では12.5mm以上と9.5mm以上を組み合わせた張り方が基準になります。
中空部を有する床や壁(軽量鉄骨下地のボード壁など)を大臣認定の構造で使う場合は、区画する部分そのものの厚さが判定基準になります。
検査ではボードの重ね張りの枚数や継ぎ目の状態を目視し、記録と食い違いがないかを確認します。
木造でも条件を満たせば耐火二層管を使えるんですね。
はい、構造ごとの被覆条件さえ満たせば使えます。
最後によくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
告示が変わった理由から被覆厚の基準まで、よく分かりました!
次回の検査では配管の表示もあわせて確認します!
配管材料や被覆厚の確認まで、丁寧に対応いたします。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条の2の4第1項第七号
- 平成12年建設省告示第1422号(準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件、最終改正:令和7年7月4日国土交通省告示第509号)
- 国土交通省住宅局建築指導課「準耐火構造の防火区画等を貫通する給水管、配電管その他の管の外径を定める件の一部を改正する告示案について(概要)」(令和7年3月)
※本記事は公表されている法令および告示に基づく一般的な解説です。実際に使用できる配管の材質や被覆厚は、建物ごとの防火区画の構造や既存の認定内容によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または建築設備等検査員にご確認ください。





