都市再生特別地区は、再開発のニュースでよく耳にする都市計画上の指定のひとつです。
高度利用地区や特定街区と同じく、都市計画そのものが建物のかたちを直接定め直す仕組みですが、この地区だけは踏み込み方が違います。
建物の用途規制そのものまで、都市計画の判断で塗り替えられることがあるのです。
この都市再生特別地区という仕組みがどこまで規制を塗り替えるのかを解説します
再開発のニュースでよく聞く都市再生特別地区って、普通の容積率緩和と何が違うのでしょうか。
都市再生特別地区は容積率だけでなく用途規制まで塗り替えられます。
まず制度の全体像から見ていきましょう。
用途規制まで変わるなら、普通の用途地域とはかなり違う場所になりそうですね。
はい、都市計画そのものが個別に数字と用途を定め直す仕組みです。
制度の中身を順番に確認しましょう。
- 都市再生特別地区は、容積率・建蔽率・建築面積・高さという四つの数値を都市計画そのものが定め直す地区です(建築基準法第六十条の二第一項)。
- 移転が容易な小規模建築物・公衆便所や交番等・特定行政庁が許可した学校や駅舎等の三類型は適用除外となります(同項各号)。
- 壁面の位置の制限も都市計画で定められ、同じ三類型の建物には適用されません(同条第二項)。
- 誘導すべき用途に供する建築物は、用途地域など第四十八条から第四十九条の二までの規定が適用除外になります(同条第三項)。
- 道路斜線などの高さの制限・高度地区・日影規制は適用されず、都市計画が高さの数値を個別に定め直します(同条第五項・第六項)。
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目次
都市再生特別地区はなにが特別な地区なのか

都市再生特別地区は、そのなかでも都市計画そのものが最も踏み込んで建物のかたちを決め直す地区です。
通常の用途地域では、これらの数値は用途地域の区分ごとに定められた計算式や上限の範囲内で決まります。
都市再生特別地区では区分にとらわれず、個別のプロジェクトごとに都市計画が数字を指定します。
高度利用地区(第五十九条)や特定街区(第六十条)も似た仕組みですが、都市再生特別地区はこれらよりさらに踏み込んだ規制の塗り替えができます。
次は、この規制の対象から外れる建物があるのかを確認しましょう。
都市計画が数字を決め直すのは、高度利用地区と同じ話に見えます。
近い仕組みですが、都市再生特別地区はさらに踏み込みます。
次は対象から外れる建物を見ていきましょう。
どんな建築物がこの規制から外れるのか

容易に移転や除却ができる建物など、一部の建物は適用除外として扱われます。
一号は木造や鉄骨造などで階数二以下・地階なしの、簡単に動かせる建物が対象です。
二号は公衆便所や交番など、公益上どうしても必要な小規模施設です。
三号は学校や駅舎、卸売市場のような公益施設で、こちらは特定行政庁の許可を受けたものに限られます。
また第二項により、壁面の位置の制限も同じ三類型の建物には適用されません。
次は、この地区でもっとも特徴的な用途規制の塗り替えを確認しましょう。
学校や駅舎まで対象になるんですね。
はい、ただし三号は特定行政庁の許可が必要です。
次は用途規制の扱いを見ていきましょう。
用途規制まで都市計画が塗り替えるとはどういうことか

高度利用地区や特定街区にはない仕組みです。
第四十八条の用途地域による用途制限や、特別用途地区・特定用途制限地域の規定もあわせて適用除外になります。
これにより、住宅系の用途地域であっても商業・業務・文化施設などを積極的に誘導する計画が実現できます。
容積率の最高限度についても、都市計画が定めた数字を第五十二条第一項各号の数値とみなして扱う技術的な規定があります(同条第四項)。
次は、高さの制限や日影規制がどう扱われるのかを確認しましょう。
用途地域の規制まで外れるなら、かなり自由な計画が組めそうです。
そのとおりです、誘導すべき用途の建物に限られますが自由度は高いです。
次は高さや日影規制の扱いを見ていきましょう。
高さの制限や日影規制はどう扱われるのか

通常なら適用される複数の規定が、この地区では除外されます。
除外される規定は、建築物の各部分の高さの制限(第五十六条)・特例容積率適用地区の高さの限度(第五十七条の四)・高度地区(第五十八条)・特定用途誘導地区の高さの限度(第六十条の三第二項)です。
かわりに高さの上限は、都市再生特別地区に関する都市計画そのものが個別に定めます。
日影規制についても、この地区内の建物は対象区域外にある建築物とみなされます(同条第六項)。
隣接する建物の管理者にとっては、一般的な高さ制限や日影の基準では説明がつかない建物が現れることがある点に注意が必要です。
隣の敷地の建物が急に高くなっても、日影の規制が効かないことがあるんですね。
はい、その場合は個別の都市計画の内容を確認する必要があります。
次は実務で確認すべき手順を整理しましょう。
都市再生特別地区に関わるときは何を確認すればよいのか

関わりのある建物の管理者や近隣の所有者が確認すべき点を整理します。
- 計画地や近隣の敷地が都市再生特別地区に指定されているかを都市計画課で確認する
- 指定されている場合は、その都市計画が定める容積率・建蔽率・建築面積・高さの具体的な数値を個別に確認する
- 誘導すべき用途として定められた内容と、用途地域の規制がどこまで適用除外になっているかを確認する
- 近隣の建物が対象区域外とみなされる扱いを受けていないか、日影や高さについて事前に確認する
一般的な用途地域や高さ制限の知識だけでは判断できず、地区ごとの都市計画の図書を直接確認する必要があります。
三号の学校や駅舎などに該当する建物を計画する場合は、特定行政庁の許可と建築審査会の同意が必要になります(同条第七項)。
近隣で大規模な再開発計画が進んでいる場合は、日影や高さの前提が変わっている可能性を早めに確認しておくと安心です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
まずは都市計画課で自分の敷地を確認してみます。
個別の都市計画の内容を確認することが第一歩です。
次はよくある質問を見ていきましょう。
よくある質問
まとめ
再開発エリアの個別の都市計画をまず確認してみます!
用途規制や高さの確認を含む相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十条の二第一項〜第七項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法第四十四条第二項・第四十八条・第四十九条・第四十九条の二・第五十二条第一項・第五十六条・第五十六条の二第一項・第五十七条の四・第五十八条・第六十条の三第二項(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の都市計画の内容や規制の適用範囲は地区ごとに異なります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。





