景観地区に指定されると、建物の高さや壁面の位置まで都市計画で決まることがあります。
用途地域とは違い、街並みの見た目を守るための建築基準法第六十八条という条文が根拠です。
高さ・壁面・敷地面積の三つが対象になり、公益上必要な建物や許可を受けた建物には例外もあります。
この記事では、景観地区で何がどこまで制限されるのかを条文から整理します。
うちの近所も景観地区に指定されそうだと聞きました。
建物を建てるときに何が変わるんですか?
景観地区では建築基準法第六十八条により、高さや壁面の位置まで都市計画で決められます。
まずはどんな制限が入るのか一緒に見ていきましょう。
高さや壁面の位置まで決まるなんて、普通の用途地域の規制とは違うんですね。
具体的にどこまで縛られるのか心配です。
条文を読み解けば、対象になる建物と例外になる建物がはっきり分かります。
この記事で第六十八条の中身を整理します。
- 景観地区に指定されると、建築物の高さは都市計画で定めた最高限度・最低限度の範囲に収めなければなりません。
- 壁面の位置や敷地面積の最低限度も、都市計画に定めがあれば従う必要があります。
- 公衆便所や巡査派出所など公益上必要な建物は、高さや壁面の制限の対象外になります。
- それ以外の建物で例外を使うには、特定行政庁の許可が必要です。
- 十分な空地を確保した建物は、一定の条件のもとで道路斜線や北側斜線の規定が適用除外になる特例があります。
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目次
景観地区に指定されると建築物はどんな制限を受けるのか

指定されると、建築基準法第六十八条にもとづく建築制限が上乗せされます。
用途地域のように建物の種類そのものを制限するのではなく、高さ・壁面の位置・敷地面積という三つの要素だけを狙って規制するのが特徴です。
最高限度だけを定める都市計画もあれば、最低限度まであわせて定める都市計画もあります。
どこまで定められているかは、指定地区ごとの都市計画の内容を見なければ分かりません。
まずは自分の土地がどの内容の景観地区に入っているかを確認することが出発点になります。
景観地区というのはそもそもどんな場所に指定されるんですか?
普通の用途地域と何が違うのか気になります。
景観法にもとづいて指定される区域で、建築基準法第六十八条が街並みを守るための建築制限を上乗せします。
高さ・壁面・敷地面積の三つが主な対象です。
どんな建物が高さの制限を受け、何が例外になるのか

ただし公益上必要な建物や許可を受けた建物は、この制限の対象から外れます。
一号に列挙された建物は、景観地区の指定があっても高さの上限・下限を気にせず建てられます。
それ以外の建物で高さの制限を外したい場合は、二号の特定行政庁の許可を得るしかありません。
許可は「用途上又は構造上やむを得ない」という個別の事情が必要で、誰でも自由に使える抜け道ではありません。
自分の建物がどちらに当たるのかは、着工前に必ず確認しておく必要があります。
公衆トイレや駐在所みたいな小さな建物まで高さ制限を受けるのは厳しくないですか?
そういう建物にも例外はあるんでしょうか。
公衆便所や巡査派出所など公益上必要な建物は、条文上はじめから対象外です。
それ以外は特定行政庁の許可がなければ制限どおりになります。
壁面の位置や敷地面積の最低限度はどこまで及ぶのか

どちらも都市計画で定められたときに効力を持ちます。
この制限は道路に面した壁面後退のようなイメージで、街並みの奥行きをそろえる役割を持ちます。
敷地面積の最低限度が定められている区域では、土地を細かく分割してその面積を下回る建築をすることも原則できません。
どちらも学校・駅舎・卸売市場など公益上必要な建物で特定行政庁の許可を受けたものは例外になります。
壁面線の位置や最低敷地面積の具体的な数値は、都市計画図でしか確認できません。
壁面の位置まで都市計画で決まるって知らなかったです。
これにも例外はあるんですか?
学校や駅舎、卸売市場など公益上必要な建物は、特定行政庁が認めれば例外になります。
敷地面積の最低限度にも同じ考え方の許可制度があります。
空地を確保すれば斜線制限を外せる特例があるのか

ただし条件を満たす区域は限られています。
ただし外れるのは第五十六条の斜線制限だけで、高さそのものの最高限度は都市計画の数値がそのまま生きます。
条例で壁面後退区域の工作物制限まで定められている区域という条件もあり、どの景観地区でも使える特例ではありません。
特定行政庁が交通・安全・防火・衛生の面で支障がないと認めることも必要です。
特例を使えるかどうかは、都市計画の内容と条例の両方を見比べないと判断できません。
空地を広く取れば北側斜線とか道路斜線を気にしなくていいってことですね。
ただ、どんな景観地区でも使える特例なんですか?
いいえ、高さ・壁面・敷地面積の最低限度がすべて都市計画で定められ、条例で壁面後退区域の工作物制限まで決まっている区域に限られます。
特定行政庁が交通や防火の支障がないと認めることも必要です。
景観地区に建てる前に何を確認すればよいか

着工前に順を追って確認しておけば、あとから設計をやり直す事態を防げます。
高さの最高限度・最低限度、壁面の位置、敷地面積の最低限度のそれぞれが定められているかを一つずつ確認します。
例外に当たりそうな建物であれば、着工前に特定行政庁へ相談し、許可の要否を確かめておきます。
許可には建築審査会の同意を準用する手続きが必要になる場合もあるため、時間の余裕を持って動くことが大切です。
迷ったときは所轄の建築指導課に問い合わせるのが確実です。
うちの土地が景観地区に入っているかどうかは、どこで確認すればいいですか?
建てる前にやることを教えてください。
まずは市区町村の都市計画課で景観地区の指定と高さ・壁面・敷地面積の内容を確認しましょう。
例外に当たりそうな場合は早めに特定行政庁へ相談するのが安全です。
よくある質問
まとめ
第六十八条の考え方がよく分かりました!
今度、都市計画課で確認してみます!
分かりやすくご説明できて安心しました。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第六十八条(景観地区内における建築物の高さの制限等)
- 建築基準法第四十四条第二項・第五十三条の二第三項・第五十六条
- 景観法
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





