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防災用の備蓄倉庫はなぜ延べ面積に算入されなくてよいのか|建築基準法施行令第二条が定める五十分の一の上限を解説

防災用の備蓄品が並ぶ倉庫の棚を写した写真

延べ面積は建築物の各階の床面積の合計として、容積率の基準になります。
専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分は、この延べ面積から一定の割合まで除くことが認められています。
車庫や宅配ボックスと同じ枠組みですが、備蓄倉庫には防災専用という独自の要件があります。
この備蓄倉庫部分の不算入の仕組みと、認められる上限を解説します

うちのビルにも防災用の備蓄倉庫を作ろうと思うんですが、延べ面積が増えて容積率がきびしくなりませんか。

建築基準法施行令第二条に、不算入となる備蓄倉庫部分の規定があります。
まず条文の枠組みから見ていきましょう。

専ら防災のためという条件がついているんですね。

はい、用途と面積の両方に条件があります。
条文の中身を順番に確認しましょう。

この記事の結論
  • 建築基準法施行令第二条第一項第四号ロは、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分について、容積率算定用の延べ面積に算入しなくてよいと定めています
  • 不算入が認められるのは防災用品専用の倉庫として使う部分に限られます。
  • 不算入の上限は、敷地内建築物の各階床面積合計の五十分の一です(同条第三項第二号)。
  • 車庫や宅配ボックスなど他の不算入部分とは区分ごとに別枠で、上限を合算することはできません
  • 既存建物への増築時は施行令第百三十七条の八の規定にも留意が必要です。

防災用の備蓄倉庫は延べ面積に入らないことを示す図解

なぜ防災用の備蓄倉庫は延べ面積に算入されなくてよいのか

防災用の備蓄品を並べた倉庫スペースと隣に建つ建物のイラスト
延べ面積は建築物の各階の床面積の合計で、容積率の算定に使われる基本の数字です。
ただし専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分は、この延べ面積に算入しなくてよいと定められています。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ロ・第三項第二号(備蓄倉庫部分) 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(略)。(第三項)備蓄倉庫部分 五十分の一
専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分は、床面積の合計に一定の割合を乗じた面積を限度に延べ面積から除かれます
この不算入は容積率の算定に使う延べ面積だけの話で、消防法令が使う延べ面積には影響しません。
対象になるのは車庫や貯水槽と同じく、建築基準法施行令第二条第一項第四号が列挙する部分の一つです。
防災用の備蓄品を置くスペースを設けても、この規定を使えば容積率を圧迫せずに済みます。
次は「専ら防災のために」という要件の中身を見ていきましょう。

備蓄倉庫を作っても、車庫や貯水槽と同じように容積率には響かないんですね。

専ら防災のためであれば、一定の面積まで延べ面積に算入されません。
次は対象になる要件を見ていきましょう。

専ら防災のためという要件はどこまで求められるのか

防災用品だけが並ぶ専用倉庫と一般物品を混在させた倉庫を並べたイラスト
条文が不算入を認めるのは、あくまで防災専用の倉庫として使う部分です。
他の用途と兼用している場合は、この規定の対象になるとは限りません。
建築基準法施行令第二条第一項第四号ロ(備蓄倉庫部分) 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の用途に供する部分(第三項第二号及び第百三十七条の八において「備蓄倉庫部分」という。)。
条文の「専ら防災のために」という文言は、備蓄倉庫としての用途に限定して使われていることを求めています
非常用の食料や飲料水、簡易トイレといった防災用の備蓄品を保管する部分がこれにあたります。
同じ倉庫の中に事務用品や在庫商品など防災と関係のない物品を保管している場合、専ら防災のためとは言いにくくなります。
用途を明確にするため、図面や管理台帳に備蓄倉庫であることを記録しておくと確認の際に役立ちます。
次は、この備蓄倉庫部分がどこまで不算入になるのかを見ていきましょう。

防災用品と一緒に、他の在庫も置いてしまいそうなんですが大丈夫でしょうか。

防災用品専用であることが前提です。
次は不算入になる面積の上限を確認しましょう。

不算入になる面積の上限はどう計算するのか

建物の床面積と備蓄倉庫部分の割合を示すイラスト
備蓄倉庫部分の不算入は、無制限に認められるわけではなく上限が定められています。
上限は建物の規模に応じて計算されます。
建築基準法施行令第二条第三項 (略)当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用する。備蓄倉庫部分 五十分の一
備蓄倉庫部分の不算入は、敷地内にある建築物の各階床面積の合計の五十分の一を限度に認められます
敷地内に建物が二棟以上ある場合は、それぞれの床面積の合計を足し合わせた数字が基準になります。
自動車車庫等部分の五分の一と比べると、備蓄倉庫部分の五十分の一はかなり小さい割合です。
延べ面積の大きい建物ほど、備蓄倉庫として不算入にできる面積の絶対値も大きくなります。
次は、車庫や宅配ボックスなど他の不算入部分との関係を見ていきましょう。

敷地に建物が二つあるときは、それぞれ別に五十分の一を計算するんですか。

いいえ、敷地全体の床面積の合計に対して五十分の一です。
次は他の不算入部分との関係を確認しましょう。

車庫や宅配ボックスと不算入の枠は合算できるのか

備蓄倉庫の箱が枠からはみ出している様子を示すイラスト
車庫や宅配ボックスにも、それぞれ専用の不算入の枠があります。
備蓄倉庫の枠を使い切っていないからといって、他の枠を融通できるわけではありません。
建築基準法施行令第二条第三項 自動車車庫等部分 五分の一。備蓄倉庫部分 五十分の一。蓄電池設置部分 五十分の一。自家発電設備設置部分 百分の一。貯水槽設置部分 百分の一。宅配ボックス設置部分 百分の一。
不算入の限度は部分の区分ごとに個別に定められており、他の部分の余った枠を合算することはできません
たとえば車庫の不算入枠を使い切っていなくても、その余りを備蓄倉庫部分の上限に上乗せすることはできません。
また備蓄倉庫部分の面積が五十分の一の上限を超えた場合、超えた分は通常どおり延べ面積に算入されます。
上限超過に気づかないまま増築や用途変更を進めると、容積率の計算がずれて確認申請でつまずくおそれがあります。
次は、実際に備蓄倉庫を設けるときの手順を確認しましょう。

車庫の枠が余っていたら、備蓄倉庫の分に回せるかと思っていました。

区分ごとに別々の上限なので、融通はできません。
次は実際の手順を見ていきましょう。

備蓄倉庫を設けるときは実務でどう確認すればよいか

図面と備蓄倉庫の模型を並べたイラスト
備蓄倉庫を新設・増築するときは、設計段階から不算入の扱いを確認しておくと安心です。
既存の建物に後から備蓄倉庫を加える場合には、別の視点も必要になります。
建築基準法施行令第百三十七条の八(容積率関係) 法第三条第二項の規定により(略)容積率規定の適用を受けない建築物について、増築又は改築後における(略)備蓄倉庫部分の床面積の合計(略)が、第二条第三項各号に掲げる(略)割合を乗じて得た面積を超えないものであること。
確認申請の設計図書には、備蓄倉庫部分の用途と面積を明記し、五十分の一の上限内であることを示す必要があります
既存不適格の建物に増築で備蓄倉庫を加える場合は、増築後の床面積が上限を超えないかを別途確認する規定が設けられています。
用途を防災専用に保つため、保管する物品を定期的に点検し、防災と関係のない物品が紛れ込んでいないか確認しておくと安心です。
不明な点は設計者や所轄の特定行政庁に確認し、思わぬ容積率オーバーを避けましょう。

増築で備蓄倉庫を増やすときは、また別の確認がいるんですね。

はい、増築後の面積も上限内かを確認します。
気になる場合はまず図面を見直してみましょう。

よくある質問

Q備蓄倉庫部分の不算入にはどんな要件がありますか?
A専ら防災のために設ける備蓄倉庫としての用途に限られ、他の用途と兼用する部分は対象になりません(建築基準法施行令第二条第一項第四号ロ)。
Q不算入になる面積の上限はどのくらいですか?
A敷地内建築物の各階床面積合計の五十分の一が限度です(同条第三項第二号)。
Q車庫や宅配ボックスの不算入枠と合算できますか?
Aできません。区分ごとに個別の上限が定められており、他の枠を融通することはできません。
Q既存の建物に備蓄倉庫を増築するときは何を確認しますか?
A増築後の備蓄倉庫部分の床面積が上限を超えないことなど、施行令第百三十七条の八が定める要件を確認します。

まとめ

専ら防災のために設ける備蓄倉庫部分は、容積率算定用の延べ面積に算入しなくてよいと定められています
対象になるのは防災用品専用の倉庫に限られ、他用途と兼用すると対象から外れるおそれがあります。
不算入の上限は敷地内建築物の各階床面積合計の五十分の一です。
敷地内に建物が二棟以上ある場合は、それぞれの床面積の合計を足し合わせて計算します。
車庫や宅配ボックスなど他の区分とは別枠で、上限は合算できません
上限を超えた分は通常どおり延べ面積に算入され、容積率に影響します。
既存建物への増築時は施行令第百三十七条の八の規定にも留意が必要です。

うちの防災備蓄倉庫の面積も、一度図面で確認してみます!

備蓄倉庫の面積算定を含む確認も、㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第二条第一項第四号ロ・第三項第二号(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第百三十七条の八(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法第五十二条第一項(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の建物における算定方法や適用の可否は、設計内容や敷地の状況によって異なります。個別の判断は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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