建築設備の定期検査報告は、換気・排煙・非常用照明の話でひとまとまりに理解していても、給排水設備がなぜ含まれるのかで手が止まることがあります。
さらに分譲マンションやテナントビルのように所有者が複数いる建物では、誰が報告書を出すのかも曖昧になりがちです。
加えて検査で古い基準に適合しない部分が見つかったとき、それをどう報告書に反映すればよいかも実務上の悩みどころです。
この記事では、給排水設備が対象になる理由から報告主体・提出期限・既存不適格の扱いまでを整理して解説します。
うちのビルは去年から給水タンクの検査もするよう言われたんですが、正直なぜ給排水まで対象なのか分かっていません。
今度理事会で管理組合としてまとめて報告する話も出ていて、誰が窓口になるのかも決まっていません。
給排水設備が対象になった理由と、管理組合での報告のまとめ方を順番に説明しますね。
合わせて報告書の提出期限や、既存不適格が見つかったときの扱いもご案内します。
先日の検査で古い基準に合っていない部分があると言われたんですが、報告書にどう書けばいいのか不安です。
直したあとの扱いも気になっています。
既存不適格の書き方と、改善後にどう変わるかも含めてこの記事でまとめて解説します。
提出期限と一緒に確認していきましょう。
- 給水設備・排水設備が定期検査の対象になったのは衛生上の観点から腐食や老朽化による事故を防ぐためである
- 分譲マンションでは管理組合や自治会の代表者がまとめて報告することが望まれ、テナントビルでも所有者等がまとめて報告できる
- 報告書は検査を実施した日から1箇月以内に提出するのが原則である
- 検査で既存不適格に該当する指摘が見つかったときは、検査結果表の該当欄に印を付けて特記事項に状況を記載する
- 既存不適格を改善したあとの検査では指摘なしの判定に変わる
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目次
給水設備・排水設備はなぜ定期検査の対象になっているのか

その理由を知っておくと、対象範囲の判断にも迷いにくくなります。
換気・排煙・非常用照明は建築基準法第35条などに直接規定がありますが、給排水設備は法第36条にもとづく設備のうち、東京都が独自に対象を指定したものです。
指定の根拠は建築基準法第12条第3項で、政令(建築基準法施行令第16条第3項)が個別に指定するのは昇降機と防火設備だけで、残りは特定行政庁の判断に委ねられています。
給水タンクや排水槽は目に見えない場所にあるため、劣化が進んでから発覚することも珍しくありません。
自分のビルの給排水設備がどの方式かを知っておくことが、対象かどうかを判断する第一歩になります。
うちの給水タンクも古いので、老朽化が理由と聞くと少し不安になります。
今度点検のときに詳しく見てもらいます。
気になる点は検査員に遠慮なく伝えてください。
早めの相談が老朽化対策の第一歩です。
所有者が複数いる分譲マンションやテナントビルは誰が報告するのか

分譲マンションやテナントビルではどう扱えばよいのかを整理します。
分譲マンションでは管理組合や自治会が窓口になり、これらの組織がなければ報告書提出上の代表者を決めておきます。
分譲共同住宅と店舗・事務所など他の分譲用途が混在する建物では、それぞれの管理責任で個別に報告することもできますが、建物全体が報告対象になる場合は建物全体をまとめて報告することが望まれます。
テナントビルも同様に、所有者等がまとめて報告するのが基本ですが、テナントの管理責任者が個別に報告して差し支えありません。
どちらの形をとるにしても、誰が報告するかを最初に決めておくと、翌年以降の報告もスムーズになります。
管理組合ではまだ誰が窓口になるか決まっていません。
まとめて報告するのがよいとは知りませんでした。
次の理事会で報告の担当を決めておくと安心です。
㈱防災屋でも窓口づくりをお手伝いできます。
報告書は検査を実施してからいつまでに提出すればよいのか

検査済証の交付日から数える報告サイクルとは別に、検査の実施日からの期限もあります。
報告の周期(初回2年・以降1年、国土交通大臣が定める項目は3年)は検査済証の交付日を起点にしますが、実際に検査を行った後は1箇月以内に報告書を出す必要があります。
検査の予定を早めに立てたつもりでも、実施日から提出までの間隔が空くと期限を超えてしまうことがあります。
特に検査員への依頼から結果のとりまとめまで時間がかかる大規模な建物では、逆算して検査日程を組んでおくと安全です。
提出先はセンターが窓口になっている場合が多いので、事前に確認しておくと当日の手続きがスムーズです。
検査済証の周期だけ気にしていて、検査後の提出期限は知りませんでした。
今回は余裕を持って準備します。
検査の日程を決めるときに提出期限も一緒に逆算すると安心です。
スケジュールのご相談もお気軽にどうぞ。
検査で既存不適格に該当する指摘が出たときはどう報告するのか

これがすべて「要是正」として扱われるわけではなく、既存不適格という別の枠組みがあります。
これは建築基準法第3条第2項が定める考え方で、基準ができた時点で既にあった建築物や設備には、その規定を適用しないという原則にもとづいています。
検査結果表では「要是正」と「既存不適格」の両方に印を入れ、いつの基準に合っていないのかを特記事項に具体的に書き残します。
既存不適格だからといって放置してよいわけではなく、所有者等には状況を説明し、改修に向けた指導を行うことが求められます。
古い建物ほどこの整理が複雑になりやすいので、判定基準の施行年月日を一つずつ確認する作業を省かないことが大切です。
要是正と既存不適格の違いがよく分かっていませんでした。
両方に印を入れるとは知らなかったです。
施行年月日を確認する手間はかかりますが、正確な記録のために欠かせない作業です。
整理のお手伝いもできます。
既存不適格を改善した場合はどのように報告が変わるのか

改善後は検査結果の書き方そのものが変わります。
これは建築基準法第3条第3項第5号が定める考え方で、規定に適合するに至った建築物や設備には、既存不適格としての適用除外がそこで終わるという整理です。
一度改善すれば、その後の検査で同じ部分が既存不適格として再び扱われることはありません。
ただし改善後に別の原因で現行法規に適合しない状態になった場合は、既存不適格ではなく要是正として扱われる点に注意が必要です。
改善工事を行ったら、次回の検査までに図面や工事記録等を整理しておくと、判定がスムーズに進みます。
改善すれば既存不適格の扱いがなくなるとわかって安心しました。
次の検査までに改善を検討してみます。
改善の計画から検査までまとめてサポートできます。
まずは現状の整理から始めましょう。
よくある質問
まとめ
給排水設備が対象になった理由から、報告の担当や期限まで整理して理解できてすっきりしました!
まずは管理組合で報告の窓口を確認してみます!
既存不適格の扱いも含めて、いつでもご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第3条・第12条・第101条
- 建築基準法施行令第16条
- 東京都建築基準法施行細則第13条
※本記事は東京都建築基準法施行細則にもとづく東京都の運用を解説したものです。他の特定行政庁では対象範囲・報告の時期・既存不適格の取り扱いが異なる場合がありますので、他地域の建物については所管の特定行政庁に必ずご確認ください。本記事は建築基準法・同施行令及び東京都の関係規則の現行規定にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。





