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建築設備の定期検査は誰が行い報告書はどう提出するのか|資格の確認から正本副本の行方まで解説

資格者証を掲げる建築設備の女性検査員

建築設備の定期検査は、資格を持つ検査員が行うことが法律で定められています。
とはいえ、空室がある場合の扱いや検査後の提出期限、報告書の行き先まで正しく把握している方は少ないのではないでしょうか。
検査員の資格をどう確認するか、休業中のテナントも検査対象になるのかなど、実務で迷いやすい点は数多くあります。
本記事では、誰が検査を行い、報告書がどのように提出・保管されるのかを、建築基準法と東京都の規定にもとづいて解説します。

資格を持つ人でないと検査できないなんて、正直知りませんでした。
うちのビルの管理人さんに任せてもいいと思っていました。

建築設備の検査は、一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員でなければ行えません。
管理人さんがどれだけ設備に詳しくても、資格がなければ検査はできないんです。

空いているテナントの部屋も、検査してもらう必要があるんですか。
誰も使っていないので後回しでもいい気がしてしまいます。

使っていない部屋でも、設備が設置されている限り検査は必要です。
今日は資格の確認方法から報告書の提出先まで、順番にご案内しますね。

この記事の結論
  • 建築設備の定期検査を行えるのは、一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員資格者証を持つ人だけです。
  • 空室や休業中の部分があっても、報告対象の設備がある限り検査は必要です。
  • 検査から報告書の提出までは、1か月以内という期限が定められています。
  • 報告書の提出は原則として窓口での受付で、郵送は事前の相談が必要です。
  • 提出した報告書は正本・副本・写しに分かれ、それぞれ別の場所で扱われます。

建築設備の定期検査における資格の確認から報告書の提出までの流れを示す図解

建築設備の定期検査は誰が行ってよいのか

資格者証を提示する女性検査員と検査を任せられない建物管理人のイラスト
建物の設備に詳しいというだけでは、定期検査を行う資格にはなりません。
法律は検査を行える人をはっきりと限定しています。
問1 当該建築物の管理人は、建築設備の定期検査を自分で行うことができるか。
答1 当該建築設備に詳しい管理人等であっても、建築設備検査員資格等を有しない者は定期検査を行うことはできません
定期検査を行えるのは、法律で定められた資格を持つ人だけです
建築基準法第12条第3項は、一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者に検査をさせなければならないと定めています。
どれだけ設備に詳しい管理人や管理会社の担当者であっても、この資格を持たなければ検査はできません。
検査を依頼する側は、依頼先が資格を持つ人物かどうかを最初に確認しておく必要があります。
資格の有無は、次に説明する資格者証交付証明書や名簿でも確認できます。

管理会社に維持管理を任せているので、そこにお願いすれば安心ですよね。

管理会社という組織ではなく、その会社に所属する資格を持つ人物が検査を行う必要があります。
担当者に資格があるかどうか、事前に確認しておくと安心です。

検査員の資格はどこで確認できるのか

検査員資格者証交付証明書のカードを提示する女性検査員のイラスト
依頼した検査員が本当に資格を持っているか、所有者側から確認する方法もあります。
東京都のセンターが運営する仕組みを使うと安心です。
問2 依頼する検査員が建築設備検査員の資格を持っているかどうかを、所有者等はどのように確認すればよいか。
答2 検査員は、定期検査を実施するときに検査員である旨を明らかにできるものを携帯することが望まれます。東京都のセンターでは、検査員資格者証交付証明書(カード)及び腕章を発行する事業を行うとともに、掲載を希望した検査員の名簿をホームページで公開しています。
資格の有無は、名簿や身分証で客観的に確認できます
検査員は現場で検査員である旨を明らかにできるものを携帯することが望まれており、資格者証交付証明書(カード)や腕章がその役割を果たします。
掲載を希望した検査員は、東京都のセンターが公開する名簿でも確認できます。
依頼前にこうした証明を確認しておけば、検査後になって資格の有無を疑う事態を避けられます。
特に初めて依頼する検査業者の場合は、遠慮せずに確認することをおすすめします。

検査に来てくれた方が本当に資格を持っているか、その場で確認する方法はあるんですか。

検査員である旨を明らかにできる資格者証やカードを携帯していることが多いので、その場で確認できます。
気になる場合は事前に名簿でも調べておくと安心です。

空室や休業中の部分があっても検査は必要か

誰もいないテナント区画の設備を点検する女性検査員のイラスト
テナントが退去して誰も使っていない部屋があると、検査の対象から外れるように思えるかもしれません。
しかし、建築設備が設置されている限り扱いは変わりません。
問3 テナントビル等で未入居(空室)及び休業中の場合も検査しなければならないか。
答3 原則として未入居(空室)及び休業中であっても、所有者等は常時適法な状態に維持管理する必要があるので保守管理状態等を確認し、報告書の建築物概要書等に未入居(空室)及び休業中の部分がある旨を特記してください。未入居部分、空室部分の用途は確認申請時の用途に供されるとし、テナント退去の場合は同一用途又は確認申請時の用途に供されるとして、必要な設備、設置されている報告対象建築設備は検査を行い報告してください
報告義務は建物の使用状況ではなく、設備の設置状況で決まります
建築基準法第8条は、所有者・管理者・占有者に建築物の敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持する努力義務を課しています。
テナントが退去して空室になっても、換気設備や排水設備といった建築設備そのものは残っているため、検査・報告の対象からは外れません
報告書には、未入居や休業中の部分がある旨を建築物概要書等に特記したうえで報告します。
「誰も使っていないから後回しでよい」と考えず、他の部分と同じように検査を受けることが大切です。

空いている部屋にまで検査員さんを入れるのは、正直手間に感じてしまいます。

設備が設置されている限りは検査の対象なので、省略はできません。
空室の分もまとめて日程を組んでおくと効率的です。

検査からどれくらいの期間内に報告すればよいのか

検査日から1か月以内の提出期限を示すカレンダーのイラスト
検査を終えたら、いつまでも報告書を寝かせておいてよいわけではありません。
検査と提出の間には、明確な期限が定められています。
問4 定期検査報告書は、検査を実施してからどれくらいの期間内に提出すればよいか。
答4 報告書は、定期検査実施後1箇月以内に提出することになっています。
検査と報告書の作成・提出は、1か月以内に収める必要があります
東京都建築基準法施行細則第13条第6項は、報告書について「報告の日前一月以内に検査し、作成したものでなければならない」と定めています。
つまり、検査を実施した日から起算して1か月を超えてから報告書を提出することはできません
検査の実施日と報告書の作成日、提出日の間隔が空きすぎないよう、検査の直後に報告書を仕上げる意識が必要です。
検査の日程を組むときは、報告の期限から逆算してスケジュールを立てるとよいでしょう。

検査が終わってから、のんびり報告書を作っていてもよいと思っていました。

検査日から1か月以内という期限があるので、後回しにはできません。
検査が終わったらすぐに報告書の作成に取りかかりましょう。

報告書はどうやって提出し、提出後はどう扱われるのか

窓口で正本・副本・写しの3部の報告書を提出する女性検査員のイラスト
報告書の提出は、郵送だけで済ませられるとは限りません。
提出した後、書類がどこへ渡るのかも知っておくと安心です。
問5 報告書は郵送で提出できるか。また、提出した報告書はどのように扱われるか。
答5 センターでは報告書の受付時に、報告書として遺漏、不整合がないことをヒアリング等により確認していますので、原則として窓口での受付としております。郵送での提出を希望される際は事前にご相談ください。正本は特定行政庁に提出され一定期間保存、副本は所有者等に返却、写しはセンターで一時的に保管しています。
報告書の提出は、原則として窓口での受付です
センターは受付の際に遺漏や不整合がないかをヒアリングで確認するため、郵送を希望する場合は事前の相談が必要です。
提出した報告書は1部で終わらず、正本・副本・写しの3つに分かれて扱われます。
正本は特定行政庁に提出されて一定期間保存され、副本は所有者等の手元に返却されます。
写しはセンターで一時的に保管されるため、控えを紛失した場合の確認先としても覚えておくとよいでしょう。

窓口まで持って行かないといけないんですね、郵送で済ませたいと思っていました。

内容の確認のために原則は窓口での受付となっています。
どうしても難しい場合は、早めにセンターへ相談してみましょう。

よくある質問

Q管理会社に維持管理を委任していれば、管理会社が検査を行ってよいか?
Aいいえ。検査を行えるのは一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員資格者証を持つ人物であり、管理会社という組織そのものが検査を行えるわけではありません。
Q報告書を郵送で提出したい場合はどうすればよいか?
A原則は窓口での受付のため、郵送を希望する場合は事前にセンターへ相談する必要があります。
Q未入居や空室の部分は報告書にどのように記載すればよいか?
A建築物概要書等に未入居(空室)及び休業中の部分がある旨を特記したうえで、その部分の用途は確認申請時の用途として扱い、設置されている設備を検査・報告します。
Q検査済証と定期検査の報告済証は同じものか?
Aいいえ。検査済証は建築確認の完了検査(建築基準法第7条)で交付されるもので、報告済証は定期検査報告(同法第12条第3項)を受理した際に交付される別の書類です。

まとめ

建築設備の定期検査を行えるのは、一級建築士・二級建築士または建築設備等検査員資格者証を持つ人だけです。
資格の有無は資格者証交付証明書や名簿で確認できます。
検査員は現場で検査員である旨を明らかにできるものを携帯することが望まれます。
空室や休業中の部分があっても、設備が設置されている限り検査・報告の対象です。
検査から報告書の提出までは1か月以内という期限があります。
報告書の提出は原則として窓口での受付で、郵送は事前相談が必要です。
提出した報告書は正本・副本・写しに分かれ、正本は特定行政庁、副本は所有者、写しはセンターにそれぞれ渡ります。

資格の確認から報告書の行き先まで、検査の流れがよく分かりました!
次の検査のときは、早めに資格を確認してみます。

資格の確認や報告書の手続きで迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第8条・第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 東京都建築基準法施行細則第13条第6項(東京都例規集)
  • 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025(東京都)「第6章 参考資料 1.建築設備定期検査報告制度に関するQ&A」(1)⑧⑬、(3)①②、(4)④、(5)①②

※本記事は公表されている建築基準法令および東京都建築設備定期検査報告実務マニュアルに基づく一般的な解説です。報告書の受付方法や様式の運用は自治体や検査機関ごとに異なる場合があります。個別の手続きは特定行政庁または検査機関にご確認ください。

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