屋外貯蔵タンクをまとめて囲む防油堤には、危険物があふれた場合の受け皿という役割だけでなく、消防隊が近づくための道路や、タンクどうしの間隔についても細かい基準があります。
防油堤の中に何基まで置けるのか、道路にどう接していればよいのか、タンクと堤の距離はどう決まるのか、条文だけを追っていると全体像がつかみにくいところです。
実はこれらの基準の多くに、引火点が高い危険物なら適用を外れるという共通のただし書きが付いています。
この記事では危険物の規制に関する規則第二十二条を手がかりに、防油堤内のタンク配置を決める基準を整理します。
うちの防油堤、タンクをあと何基増やせるのか気になっていました。
基数だけでなく道路や間隔の基準も条文で決まっていますよ。
今日はまとめて整理しましょう。
危険物の種類によって基準が変わることもあるんでしょうか。
引火点によって除外されることがあります。
順番に見ていきましょう。
- 防油堤内に設置できる屋外貯蔵タンクの数は原則十基以下である
- 防油堤内のタンクは容量に応じた路面幅員を持つ構内道路に直接面するように設ける
- 防油堤そのものも周囲が構内道路に接するように設けなければならない
- 防油堤とタンクの間隔はタンクの直径に応じて高さの三分の一または二分の一以上とする
- 引火点が二百度以上の危険物を扱うタンクは、これらの基準の多くが適用除外になる
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目次
防油堤内に設置できる屋外貯蔵タンクの数はなぜ上限があるのか

規則は防油堤の中に置けるタンクの数そのものに上限を設けています。
ただし防油堤内のすべてのタンクの容量が二百キロリットル以下で、かつ引火点が七十度以上二百度未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合に限り、二十基まで増やすことが認められています。
小さなタンクをまとめて多数置くケースを想定した緩和です。
一方で引火点が二百度以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクには、この基数制限そのものが適用されません。
防油堤の中に何基まで入れられるかは、タンクの容量と危険物の引火点の組み合わせで変わるということです。
うちのタンクはすべて小さいので、もっと増やせるかもしれません。
容量と引火点の両方を満たすか確認してみましょう。
次は道路の基準を見ていきます。
屋外貯蔵タンクはなぜ構内道路に直接面していなければならないのか

規則はタンクが道路に直接面していることまで求めています。
| 屋外貯蔵タンクの容量(引火点が七十度未満の危険物) | 構内道路の路面幅員 |
|---|---|
| 五千キロリットル以下 | 六メートル以上 |
| 五千キロリットルを超え一万キロリットル以下 | 八メートル以上 |
| 一万キロリットルを超え五万キロリットル以下 | 十二メートル以上 |
| 五万キロリットルを超える | 十六メートル以上 |
防油堤の内側でタンクがどれだけ整っていても、道路から離れていれば消火活動に取りかかれません。
必要な道路幅は表のとおり容量が大きくなるほど広がり、五千キロリットル以下の六メートル以上から、五万キロリットルを超えると十六メートル以上まで四段階に分かれています。
なお引火点が七十度以上二百度未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクは、一万キロリットル以下なら六メートル以上、それを超えると八メートル以上という緩やかな基準になります。
自社のタンクがどの段階に当たるかは、許可証に記載された容量で確認できます。
せっかく防油堤に収めても、道路の幅まで足りているか心配になってきました。
容量と引火点をあわせて表と照らし合わせてください。
次は防油堤自体の道路の基準を見てみましょう。
防油堤そのものはなぜ周囲を構内道路で囲まれていなければならないのか

規則は防油堤の周囲そのものを構内道路に接するように求めています。
タンク個々が道路に面していることを求める前の号とは別に、防油堤という構造物そのものの周りをぐるりと道路で囲む必要があるということです。
消防隊が防油堤のどの面からでも接近できるようにする狙いだと考えられます。
前の号にあった「引火点が二百度以上ならこの限りでない」というただし書きは、この号には付いていません。
つまり防油堤の周囲を道路で囲む基準だけは、貯蔵する危険物の種類にかかわらず必ず満たす必要があります。
タンクの話とは別に、堤そのものの基準もあるんですね。
この号にただし書きは無く、すべての防油堤が対象です。
次はタンクと堤の間隔を見ていきましょう。
防油堤とタンクの間隔はなぜタンクの直径で決まるのか

この間隔はタンクの直径の大小で二段階に分かれています。
直径が十五メートル未満のタンクは高さの三分の一以上、十五メートル以上のタンクは高さの二分の一以上の距離を側板から防油堤まで保たなければなりません。
直径が大きいタンクほど、より広い間隔を求められる仕組みです。
そしてこの号にも、引火点が二百度以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクには適用しないというただし書きが付いています。
基数の上限、道路の路面幅員、そしてこの間隔の基準と、条文の複数の号に同じただし書きが繰り返し出てくる点は覚えておきたいところです。
引火点が高い危険物だと、いろんな基準がまとめて外れるんですね。
燃えにくい危険物ほど、規制が緩む共通の考え方です。
最後に小規模なタンクの特例を見てみましょう。
小規模なタンクだけの防油堤はなぜ道路の基準が緩和されるのか

ところが防油堤内のタンクがすべて小規模なら、この基準そのものが緩みます。
一基でも二百キロリットルを超えるタンクが防油堤内にあれば、この緩和は使えず前の号どおり路面幅員を満たす構内道路が必要になります。
条件を満たす場合は、路面幅員が定められた構内道路でなくても、消防活動に支障がないと認められる道路又は空地に面していれば足ります。
小規模なタンクをまとめて置く現場では、この号を確認しておくと道路の整備計画が変わってくることがあります。
自社のタンクの容量が基準にかかるかどうかは、防油堤内のすべてのタンクをまとめて確認する必要があります。
うちの防油堤、すべて小さいタンクなので当てはまるか確認します。
一基でも超えていないか、まとめて数えてみてください。
分からない点は所轄消防署にも確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
基数も道路も間隔も、みんなタンクの容量と引火点で決まるんですね。
自社の防油堤がどの基準に当たるか、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する規則第二十二条第二項第四号・第五号・第六号・第七号・第八号
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





