建築確認の申請は、今や紙だけではありません。
消防庁は令和3年2月9日、消防予第40号で電子申請による確認申請に対する消防同意等事務の取扱いを通知しました。
指定確認検査機関が電子申請を受け付ける場合でも、消防長等が同意するまでの法律上の仕組みは変わりません。
この記事では、電子申請ならではの決めごとと、紙に出力した場合の扱いを解説します。
取引先の指定確認検査機関が、確認申請をすべて電子申請に切り替えたと聞きました。
消防同意の手続きも変わるのでしょうか。
手続きの流れ自体は変わりません。
ただやり取りの方法には決めておくべき点があります。
電子化されると、本人確認や改ざん防止はどうしているのか気になります。
そこも通知にはっきり書かれています。
順番に確認していきましょう。
- 令和3年2月9日、消防予第40号により電子申請による確認申請に係る消防同意等事務の取扱いが通知されました
- 対象は指定確認検査機関が実施する電子申請による確認に係る消防同意及び建築基準法第93条第4項の通知です
- 電磁的記録は本人確認と改ざん防止を行った上でやり取りすることとされています
- ファイルの送受信方法・同意の通知方法・補正手続は事前に協議し合意することが望ましいとされています
- 電子申請された図書を紙に出力した場合は、平成11年の別の通知による手続きになります
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目次
電子申請による建築確認はなぜ消防同意の扱いが通知されたのか

では、なぜ今になって消防同意の事務についてあらためて通知が出されたのか。
申請者にとっては窓口まで出向く時間的・距離的な制約がなくなります。
消防長等にとっても、事務の効率化や図書を保存するスペースの削減が期待できるとされました。
さらに、押印を求める手続を見直す国の動きに合わせて、電子署名の代わりにデータへの氏名等の記録で足りることとされたのが直接のきっかけです。
次は、この通知が具体的にどの手続を対象にしているのかを見ていきます。
消防の側にも図書の保管スペースが減るメリットがあるんですね。
そのとおりです。
次は、どの手続が対象になるのかを見ていきましょう。
電子申請による確認のうちどの手続が対象になるのか

すべての建築確認がこの通知の対象になるわけではありません。
消防同意等事務には2つの手続が含まれます。ひとつは消防法第7条に基づく建築確認への同意そのもの。もうひとつは建築基準法第93条第4項に基づく、消防同意が要らない住宅の場合に消防長等へ行う通知です。
この通知が対象にしているのは、このうち指定確認検査機関が電子申請で確認を行う場合のやり取りです。
自社の建築確認が指定確認検査機関に出されているのか、特定行政庁に出されているのかを、まず確認しておくと話が早くなります。
消防同意と、住宅のときの通知は別物なんですね。
はい、どちらも電子化の対象という点は共通です。
次は具体的な決めごとを見ていきましょう。
電子申請のやり取りは具体的に何を決めておくのか

通知は、その中身を3つに整理しました。
まず土台になるのが本人確認と改ざん防止で、電磁的記録に氏名等を記録する方法などで行います。
そのうえで、電子ファイルをどうやり取りするか、同意する・しないをどう通知するか、図面の補正をどう手続きするかの3点を、指定確認検査機関と消防長等が事前に協議して合意しておくことが望ましいとされました。
決め方の細部までは法令で固定されていません。だからこそ、現場でどう合意されているかを確認しておく必要があります。
次は、実務でとくに見落としやすいポイントを見ていきます。
やり方は決まっていなくて、当事者同士で決めるということですか。
はい、そこが電子化ならではの決めごとです。
次は見落としやすい落とし穴を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

紙に戻る場面と、自治体ごとに対応が分かれる場面の2つに注意が要ります。
指定確認検査機関が電子申請された図書を紙に出力した場合、その先の消防同意等事務は平成11年4月28日付け消防予第92号という別の通知に従うことになります。電子化の手続きのつもりで進めていると、途中で根拠が切り替わっていることに気づきにくい部分です。
もうひとつは、建築主事等が電子申請に対応する場合です。この場合も対応自体は認められていますが、指定確認検査機関のように国が定型を示しているわけではなく、各地方公共団体において協議した上で対応することとされています。
さらにこの通知によって、平成27年2月12日付けの旧通知(消防予第53号)は廃止されています。古い通知を根拠にした説明が現場に残っていないかも、あわせて確認しておきたいところです。
紙に出した途端、根拠になる通知が変わるとは知りませんでした。
そこは気づきにくい部分です。
最後に、明日からの確認手順をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

自社の案件を思い浮かべながら、順番に見ていきましょう。
対応している場合は、ファイルの送受信方法・同意の通知方法・補正手続の3点について、指定確認検査機関と消防長等の間でどう合意されているかを確かめておきます。
図書を紙に出力する場面があるかどうかも聞いておくと、根拠になる通知の切り替わりを見落とさずに済みます。
建築主事等が電子申請を運用している地域であれば、その地方公共団体でどう協議されているかも確認しておきたい点です。
迷ったときは、所轄の消防署に直接問い合わせるのが確実です。
まずは取引先の指定確認検査機関に、合意の中身を聞いてみます。
それが一番確実な一歩です。
迷ったときは所轄の消防署にも相談してください。
よくある質問
まとめ
まず取引先に合意の中身を確認するところから始めればいいと分かりました。
今日中に聞いてみます。
送受信・通知・補正の3点を確認すれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「電子申請による建築確認に係る消防同意等事務の取扱いについて」(令和3年2月9日付け消防予第40号 消防庁予防課長)
- 「消防法等の一部を改正する法律等の運用について」(平成11年4月28日付け消防予第92号)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第7条
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第93条
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





