建築設備の定期検査報告書に「要是正」の判定が並んでいると、次に何をすればよいのか分からず手が止まってしまうことがあります。
検査はあくまで不具合を見つけるための手続きであり、それ自体が建物を直してくれるわけではありません。
実は建築基準法には、検査結果を踏まえて建物を適法な状態に戻すための、所有者・管理者向けのルールが別に定められています。
この記事では要是正と判定された後に何をどこまで行えばよいのかを、根拠条文に沿って整理します。
先日の定期検査で要是正がいくつか付いてしまいました。
これって早く直さないといけないんでしょうか。
はい、放置してよいものではありません。
建築基準法にも根拠となる条文があるので、順番に見ていきましょう。
うちは複数の設備で指摘があって、正直どこから手を付ければいいのか迷っています。
優先順位の考え方も含めて、記事の中で整理していきますね。
- 要是正の判定は、建築基準法第8条が定める維持保全の努力義務を具体的に示したものです
- 是正の期限そのものを定める条文はなく、人命に関わる項目から優先して直すという考え方が基本になります
- 床面積などの規模で指定された建築物は、維持保全計画の作成まで求められることがあります
- 是正が完了したら次回検査で確認できるよう記録を残しておくことが実務上重要です
- 是正の指示に従わない場合、最終的には措置命令や行政代執行に発展することがあります
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目次
要是正と判定されたら法律上何をしなければならないのか

実はこの一文の背景には、建築基準法が所有者に課している別の義務があります。
建築基準法第8条第1項は、所有者・管理者・占有者に対して建物を常時適法な状態に保つよう努力義務を課しています。
定期検査はこの義務が守られているかを定期的に確認する仕組みであり、「要是正」の判定はその義務が果たされていない箇所を具体的に示したものです。
罰則が直接科されるのは主に検査や報告そのものを怠った場合で、要是正への対応そのものに罰則規定はありませんが、努力義務であっても放置してよい理由にはなりません。
まずは検査結果表の要是正欄を確認し、どの設備のどの項目が該当するのかを洗い出すところから始めましょう。
要是正には直接の罰則が無いなら、急がなくても大丈夫なんでしょうか。
義務はあるので放置は禁物です。
次の項目で期限の考え方を見ていきましょう。
是正の期限はいつまでと決まっているのか

まずは期限に関する条文の建て付けを確認しておきましょう。
だからこそ、どの項目から手を付けるかという優先順位づけが実務上の課題になります。
非常用照明や排煙設備のように火災時の避難に直結する設備は、次回検査を待たずに速やかな是正が望まれます。
一方で外観の軽微な劣化など緊急性の低い項目は、計画的な修繕スケジュールに組み込んでも差し支えないと考えられます。
専門業者に現地を確認してもらい、危険度の高い項目から順に是正の見積りを取るのが現実的な進め方です。
確かに、非常用照明が切れたままなのは怖いですね。
優先して直すよう伝えます。
その判断で問題ありません。
次は建物の規模によって追加で求められることを説明します。
大規模な建物では是正の進め方に追加のルールがあるのか

規模によって上乗せされるルールを確認しておきましょう。
対象になるのは、安全上・防火上・衛生上特に重要な政令指定の特殊建築物や、特定行政庁が個別に指定した建築物です。
これらの建物では、要是正の項目が出るたびに場当たり的に対応するのではなく、維持保全計画に沿って点検・修繕のサイクルを回すことが求められます。
国土交通大臣が定める指針(法第8条第3項)も参考にしながら、計画の作成や見直しを検討するとよいでしょう。
自分の建物がこの規模指定に該当するかどうかは、特定行政庁の窓口や検査を依頼した検査員に確認しておくと安心です。
うちの規模だと計画書まで作る必要があるのか気になります。
該当するかどうかは特定行政庁への確認が確実です。
次は是正が終わったあとの記録の残し方です。
是正が完了したことはどう記録すればよいのか

是正後にやっておくべき記録の残し方を整理します。
定期検査は毎回の時点での状態を見る手続きなので、過去の是正実績を自動的に引き継いでくれるわけではありません。
是正前後の写真、工事日と内容が分かる請求書や報告書を保管しておくと、次回検査時の確認がスムーズになります。
複数の設備で是正が重なるときは、設備ごとに記録をまとめておくと検査員への説明も簡単になります。
維持保全計画を作成している建物では、計画の実施記録として一体で管理するのも有効です。
つまり直したら終わりではなく、証拠を残すところまでがセットなんですね。
そのとおりです。
最後に、是正を怠った場合にどうなるかを見ておきましょう。
是正を怠るとどうなるのか

最後に是正を怠った場合の流れを確認しておきましょう。
要是正そのものへの罰則が無いからといって、無制限に放置してよいわけではありません。
特定行政庁が違反と判断すれば措置命令を出すことができ、これに従わない場合は行政代執行による強制是正と費用負担に発展します。
一方、検査そのものを行わなかったり不誠実な報告をしたりした場合は、また別に罰則の対象になります。
どちらのルートに進んでも所有者側の負担は増えるため、要是正の判定が出た段階で早めに専門業者へ相談するのが結局は近道です。
早めに相談する方が安心だと分かりました。
ありがとうございます。
是正のご相談も含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
よくある質問
まとめ
要是正から命令や代執行まで一直線に進むわけではないと分かって、少し安心しました。
そのとおりです。
要是正が出た段階で早めに動くほど選択肢は広がります。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第8条(維持保全)
- 建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)
- 行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)
※本記事は建築基準法及び行政代執行法の現行規定にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。個別の建物における是正の要否や期限、措置命令の適用については、所管の特定行政庁又は専門家に必ずご確認ください。





