消防用設備等の着工届や設置届では、平面図や配管・配線の系統図などの添付図書を求められます。
しかし同じ建物で複数の設備工事が重なると、消防同意や許可申請の際にすでに提出した図面まで、届出のたびに出し直さなければならないのかと迷う場面があります。
実は消防庁の通知は、消防機関が既に保有している図書であれば、それをもって届出の添付図書に代えてよいと定めています。
この記事では、図書を流用できる条件と、流用できない場合の扱いを、条文と通知に基づいて解説します。
消防同意のときに出した図面と同じものを、着工届でもまた出すよう言われて困っています。
もう一度全部作り直さないといけないんでしょうか。
実は消防機関が既に持っている図書なら、出し直さなくてよい場合があるんです。
え、同じ書類を二重に出さなくていいんですか。
はい、条件を満たせば流用できます。
詳しく見ていきましょう。
- 消防同意や許可申請の際に既に消防機関が保有している図書は、そのまま着工届・設置届の添付図書として使えます
- 設置届の添付書類は平面図・配管配線の系統図・試験結果報告書と定められています
- 特殊消防用設備等でも、設備等設置維持計画などを含めて同じように流用できます
- 消防用設備等に直接関係しない事項の記載や添付図書以外の提出は原則求められません
- 流用できるかどうかは消防機関が保有しているかどうかで決まり、届出者が一方的に省略できるわけではありません
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目次
消防同意で出した図書は着工届でもう一度出す必要があるのか

一方でその建物は、消防同意や建築確認の段階でも、よく似た図面を既に消防機関へ提出しているはずです。
消防同意の手続きでは、建築主事や指定確認検査機関から消防長又は消防署長へ、防火に関する審査のために建築物の図面が回ってきます。
つまり多くの建物では、着工届や設置届を出す前の段階で、消防機関の手元にすでに類似の図面が存在していることになります。
これを踏まえて消防庁の通知は、同じ図書を出し直させない運用を定めています。
次の見出しから、実際にどんな図書がどんな条件で流用できるのかを見ていきます。
消防同意のときにも図面を出しているのは知っていましたが、着工届とはつながっていると思っていませんでした。
同じ建物の図書なら、消防機関の手元にすでにあることが多いんです。
どんな図書ならそのまま流用できるのか

このうち消防機関が既に持っているものは、出し直さずに済ませられます。
設置届に必要な平面図や配管及び配線の系統図も、消防同意や許可申請のときに提出済みでそのまま使えるものであれば、再提出は不要です。
逆に、まだどの手続きでも出していない新しい図書は、当然ながら流用のしようがなく、通常どおり添付する必要があります。
「既に持っているかどうか」は消防機関側の保有状況の話であり、届出者が事前に確認しておく価値があります。
迷ったときは、消防同意や許可申請の窓口となった消防署に、その図書が届出時にも使えるかを聞いておくと確実です。
同じ図面を二度描き直す必要はないってことですね。
はい、消防機関が保有していればその図書をそのまま届出に使えます。
特殊消防用設備等でも同じように流用できるのか

既に保有している図書を流用できる運用は、この特殊消防用設備等にもそのまま適用されます。
特殊消防用設備等の場合、平面図や系統図に加えて設備等設置維持計画と特殊消防用設備等試験結果報告書を添付する必要があります。
一方でこれらの図書のうち、消防同意や許可申請の際に既に消防機関へ提出済みのものがあれば、通常の消防用設備等と同じように流用の対象になります。
つまり流用のルールは設備の種類を問わず、消防機関が図書を保有しているかどうかだけで判断される仕組みです。
特殊消防用設備等を扱う場合は、設備等設置維持計画そのものが流用対象になり得るかも含めて、事前に確認しておくとよいでしょう。
うちは特殊消防用設備等を使う予定なんですが、流用のルールは別扱いになりますか。
いいえ、特殊消防用設備等でも同じ運用が使えます。
流用できるかどうかは誰が判断するのか

一方で消防機関の側も、届出に直接関係しない書類まで求めることは想定されていません。
図書が消防機関の手元に無ければ、当然ながら流用はできず、通常どおり添付書類として提出する必要があります。
一方で消防機関の側も、消防用設備等又は特殊消防用設備等に直接関係する事項以外の書類の提出を原則として求めないこととされています。
つまり流用のルールは「届出者を甘やかす」ものではなく、「双方にとって不要な重複を避ける」ための運用だと理解しておくのが正確です。
届出者が任意で追加の図書を提出すること自体は妨げられていないので、必要と感じた資料は添えて構いません。
じゃあ「面倒だから出しません」と自己判断で省略してもいいわけではないんですね。
その通りです。
あくまで消防機関が既に保有しているかどうかが基準になります。
明日から何を確認しておけばよいのか

図書の流用は消防機関ごとの運用にもよるため、早めの確認が近道です。
- その建物が過去に消防同意や建築確認、許可申請を受けているかを確認する
- その際に提出した図書が消防機関に現在も保管されているかを窓口に確認する
- 今回の工事が消防用設備等か特殊消防用設備等かを整理し、必要な図書の種類を確認する
- 流用できる図書とできない図書を切り分けて、届出時に説明できるようにしておく
特に複数の設備工事が同じ建物で重なるときは、どの図書がどの手続きで既に提出済みかを一覧にしておくと、届出のたびに迷わずに済みます。
不明な点は自己判断せず、着工届や設置届の窓口となる消防署に事前相談しておくのが確実です。
図書の重複提出を避けることは、届出者の手間を減らすだけでなく、消防機関側の確認作業の効率化にもつながります。
提出済みの図書を一覧にしておけば、次の工事のときも迷わずに済みますね。
はい、その一覧が消防署との事前相談のときにも役立ちます。
よくある質問
まとめ
同じ図面を何度も出し直さなくていいなら、届出の準備がぐっと楽になります!
図書の流用でお悩みでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第7条(消防同意)
- 消防法第17条の3の2(設置届)
- 消防法第17条の14(着工届)
- 消防法施行規則第31条の3(設置届の添付図書)
- 設置届及び着工届の添付図書等に関する運用について(令和5年3月30日付け消防予第196号・消防危第68号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





