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ごみ固形化燃料はなぜ指定可燃物として規制されるのか|1,000キログラム以上の届出と貯蔵基準を解説

ごみ固形化燃料の貯蔵タンクが並ぶ工場の外観

三重県で発生したごみ固形化燃料(RDF)の火災では、消火活動中に消防職員2名が殉職する重大な事故になりました。
この事故をきっかけに、消防庁はRDFを含む再生資源燃料を指定可燃物に加え、貯蔵や取扱いの基準を整備しました。
廃棄物処理施設や工場でRDFやRPFを扱っているなら、量と管理のどちらの基準にも注意が必要です。
再生資源燃料は、量が基準を超えた瞬間から届出と技術基準の対象になります

うちの工場でもRDFを保管していますが、指定可燃物として届出が必要なんでしょうか。

再生資源燃料は1,000キログラムを境に届出の要否が変わります。
順番に見ていきましょう。

量さえ守っていれば、あとは特に気を付けることはないんですか。

実は水分管理や集積高さにも細かい基準があります。

この記事の結論
  • ごみ固形化燃料(RDF)を含む再生資源燃料は、指定可燃物として市町村条例の規制対象です
  • 再生資源燃料は1,000キログラム以上を貯蔵・取扱いすると届出が義務になります
  • 廃棄物固形化燃料等は水分管理と適切な温度での受け入れが基準として定められています
  • 3日を超えて集積する場合は集積高さ5メートル以下に抑えなければなりません
  • 数量が100倍以上になるとタンクの排出構造や散水設備など追加の基準が加わります

ごみ固形化燃料が1,000キログラムから届出の対象になる流れを示した図解

ごみ固形化燃料はなぜ消防法令の規制対象になったのか

静かなごみ固形化燃料の貯蔵タンクと工場を並べたイメージ
平成15年、三重県のRDF焼却発電施設で貯蔵タンクの火災が発生し、消火活動中の事故で消防職員2名が殉職しました。
この事故を受け、消防庁は再生資源燃料を指定可燃物に位置づける法整備を行いました。
(消防法第九条の四第一項)指定数量未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める
指定可燃物は法律ではなく市町村条例が基準を定める仕組みです
消防庁は事故を受けて設置した検討会の知見をもとに、RDFを含む再生資源燃料を危険物の規制に関する政令別表第四へ追加し、指定可燃物という枠組みに位置づけました。
指定可燃物は危険物ほどの危険性は無いものの、火災が起きると拡大が速く消火が著しく困難になる物品として扱われます。
この位置づけがあるからこそ、次に見る数量と技術基準が意味を持ちます。
自分の施設で扱っている燃料が再生資源燃料に当たるかどうか、まずここを確認してください。

うちで扱っているのはRDFじゃなくてRPFなんですが、それも対象になるんでしょうか。

はい。
RPFも再生資源燃料に含まれます

再生資源燃料はどれだけの量から規制の対象になるのか

はかりの上に積まれた再生資源燃料の塊と届出書類を並べたイメージ
再生資源燃料と一口に言っても、対象になる物品の範囲と数量の基準が定められています。
まずはどこからが規制の対象になるのかを確認します。
(危険物の規制に関する政令別表第四備考第五号)再生資源燃料とは、資源の有効な利用の促進に関する法律第二条第四項に規定する再生資源を原材料とする燃料をいう。(同表・数量欄)再生資源燃料の数量は1,000キログラムとする。
再生資源燃料は1,000キログラム以上で規制の対象になります
ごみ固形化燃料(RDF)や廃プラスチック固形燃料(RPF)など、廃棄物を原材料とする燃料の多くがこの再生資源燃料に含まれます。
このうち水分によって発熱又は可燃性ガスの発生のおそれがあるものは「廃棄物固形化燃料等」として、さらに細かい基準が上乗せされます。
市町村条例では、1,000キログラム以上を貯蔵・取扱いする場合に消防長又は消防署長への届出が義務づけられています。
自施設で扱う量が1,000キログラムを超えているかどうかを、まず量ってみてください。

うちのRPFは常に数百キログラム程度なんですが、それでも届出は必要ですか。

1,000キログラム未満なら条例上の届出義務はありません
ただし増える見込みがあるなら早めの確認をおすすめします。

廃棄物固形化燃料等の貯蔵と取扱いにはどんな基準があるのか

温度計付きの貯蔵タンクと高さを制限された集積の山を示したイメージ
廃棄物固形化燃料等は、発熱・発火のリスクを抑えるための独自の基準があります。
ここでは貯蔵・取扱いに関する基準を確認します。
(火災予防条例(例)第三十四条第一項第五号)再生資源燃料のうち、廃棄物固形化燃料その他の水分によつて発熱又は可燃性ガスの発生のおそれがあるもの(廃棄物固形化燃料等)を貯蔵し、又は取り扱う場合は、次によること。イ 適切な水分管理を行うこと。ロ 貯蔵する場合は、適切な温度に保持された廃棄物固形化燃料等に限り受け入れること。ハ 三日を超えて集積する場合においては、五メートル以下の適切な集積高さとすること。ニ 温度、可燃性ガス濃度の監視により発熱の状況を常に監視すること。
基準は水分・温度・高さ・監視の4本柱です
受け入れる段階で水分管理を行い、適切な温度のものだけを受け入れることがまず求められます。
3日を超えて集積する場合は、発火時にも消防活動がしやすいよう集積高さを5メートル以下に抑えなければなりません。
そのうえで、温度と可燃性ガス濃度を常時監視し、異常の早期発見に努めます。
これらは全て、火災になる前に発熱を止めるための基準だと理解しておいてください。

集積の高さって、普段あまり意識したことがありませんでした。

3日を超えて積むときは5メートル以下を意識してください。

実務で見落としやすいのはどこか

大型タンクの排出弁と散水設備を示したイメージ
数量が増えるほど、基準はさらに上乗せされていきます。
特に見落としやすいのが、100倍以上を扱う場合の設備面の基準です。
(火災予防条例(例)第三十四条第二項第四号)廃棄物固形化燃料等を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備は…次に掲げる技術上の基準によること。イ 発熱の状況を監視するための温度測定装置を設けること。ロ 数量の百倍以上をタンクにおいて貯蔵する場合は、当該タンクは発熱が生じた場合に迅速に排出できる構造とすること。ただし、散水設備又は不活性ガス封入設備を設置した場合は、この限りでない。(第三十四条の二)数量の百倍以上の再生資源燃料等を貯蔵し、又は取り扱う場合は、当該場所における火災の危険要因を把握するとともに、当該危険要因に応じた火災予防上有効な措置を講じなければならない。
100倍を超えると設備そのものに基準が加わります
タンクで貯蔵する場合は、発熱時に迅速に排出できる構造にするか、散水設備・不活性ガス封入設備を設ける必要があります。
さらに100倍以上を扱う施設は、自らその場所の火災の危険要因を把握し、必要な予防措置を講じる義務も負います。
届出だけで満足せず、1,000キログラムの100倍=100トンという節目を意識しておくことが実務上のポイントです。
温度測定装置の設置状況や散水設備の有無を、この機会に点検してみてください。

うちの施設、そんなに大きな量は扱っていないので大丈夫だと思っていました。

量が増えたときに基準が変わることだけは覚えておいてください

明日からなにを確認すればよいのか

人物が届出書類とタンクの温度計を見比べて確認する様子を示したイメージ
最後に、明日から確認しておきたい実務のポイントを整理します。
量と管理体制の両方を、あらためて洗い出してみてください。 確認すべきは量・届出・現場の管理体制です
  • 自施設で扱う再生資源燃料の在庫量が1,000キログラムを超えていないか計量する
  • 超えている場合は所轄の消防長又は消防署長への届出が済んでいるかを確認する
  • 受け入れ時の水分管理と、集積高さ5メートル以下のルールが現場で守られているか点検する
  • 温度測定装置と可燃性ガス濃度の監視体制が機能しているか確認する
  • 数量が100倍(100トン)に近づいていないか、タンクの排出構造や散水設備の有無とあわせて見直す

1,000キログラムの計量と届出の確認、今日中にやってみます

それができれば当面の基準はクリアです

よくある質問

Qごみ固形化燃料(RDF)とRPFはどちらも再生資源燃料に含まれますか?
Aはい。どちらも資源の有効な利用の促進に関する法律に規定する再生資源を原材料とする燃料として、再生資源燃料に含まれます。
Q再生資源燃料が1,000キログラム未満なら基準は一切関係ありませんか?
A市町村条例上の届出義務や技術基準は数量が基準に達してから生じます。ただし在庫量が増える見込みがあるなら早めに所轄消防署へ確認しておくと安心です。
Q廃棄物固形化燃料等とそれ以外の再生資源燃料で基準は同じですか?
Aいいえ。水分によって発熱・可燃性ガスが発生するおそれがある廃棄物固形化燃料等には、水分管理や集積高さなど独自の基準が上乗せされます。
Q100倍以上を扱う場合、必ずタンクの構造を変えなければなりませんか?
A迅速に排出できる構造が原則ですが、散水設備又は不活性ガス封入設備を設置すればこの限りではないとされています。

まとめ

ごみ固形化燃料(RDF)を含む再生資源燃料は、指定可燃物に位置づけられています
きっかけは平成15年の三重県RDF火災で、消防職員2名が殉職する事故でした
再生資源燃料は1,000キログラム以上で市町村条例の届出対象になります
廃棄物固形化燃料等は水分管理・適温受入・集積高さ5メートル以下・監視の4基準を守らなければなりません
数量が100倍以上になるとタンクの排出構造や散水設備等の追加基準が加わります
100倍以上を扱う施設は火災の危険要因を自ら把握し予防措置を講じる義務を負います
まずは在庫量を計量し、届出の要否と現場の管理体制を確認することから始めてください

再生資源燃料の量と基準、今日のうちに社内で確認します

量と管理体制の両方を、平常時から見直しておいてください
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第九条の四第一項
  • 危険物の規制に関する政令別表第四備考第五号
  • 火災予防条例(例)第三十四条第一項第五号・第二項第四号・第三十四条の二
  • ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策について(平成16年 消防庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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