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居室が5室以上ある階はなぜ寝室がなくても火災警報器が必要になるのか|床面積7㎡以上の部屋が対象になる特別ルールを解説

居室が五室以上ある住宅の廊下に住宅用防災機器が設置されているイメージ

住宅用防災機器(火災警報器)は寝室と階段に付ければ、それで足りると考えていないでしょうか。
実は消防法施行令は、寝室が無い階でも設置を求める場合があります。
書斎や子ども部屋、来客用の部屋が多い住宅では、この規定に気づかないまま設置が漏れていることがあります。
この記事では総務省令が定める「床面積7㎡以上の居室が5以上ある階」への追加設置ルールを整理します。

寝室は2階に1部屋だけなので、警報器は寝室と階段の2か所で足りますよね。

部屋の数によってはそれだけでは足りないことがあります。
もう一つ、条文を確認しましょう。

うちは2階に子ども部屋や書斎がいくつもあるんですが、それも関係あるんですか。

大いに関係します
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 寝室・階段のほかに、床面積7㎡以上の居室が5以上ある階には廊下にも設置が必要になることがあります
  • この規定は消防法施行令ではなく総務省令(設置及び維持に関する基準を定める省令)に置かれています
  • 対象になる居室は寝室に限らず、書斎や子ども部屋、来客用の部屋も数に入ります
  • 廊下が無い住宅では、設置場所が階段の上端または下端に振り替わります
  • 対象になるのは寝室・階段の設置対象から外れた階だけで、二重に設置する必要はありません

住宅用防災機器は寝室と階段が基本だが居室が五室以上ある階では廊下にも設置が必要になり廊下が無ければ階段の上端または下端に設置することを示した図解

住宅用防災機器は寝室と階段だけで足りるのか

寝室の天井と階段の上端に住宅用防災機器が設置された二階建て住宅の断面イメージ
消防法施行令は、住宅用防災機器を付けるべき場所を具体的に指定しています。
まずは基本となる二か所を条文で確認します。
消防法施行令第五条の七第一項第一号 住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の感知器は、次に掲げる住宅の部分に設置すること。イ 就寝の用に供する居室(略) ロ イに掲げる住宅の部分が存する階(避難階を除く。)から直下階に通ずる階段(屋外に設けられたものを除く。) ハ イ又はロに掲げるもののほか、居室が存する階において火災の発生を未然に又は早期に、かつ、有効に感知することが住宅における火災予防上特に必要であると認められる住宅の部分として総務省令で定める部分
設置場所の基本は「寝室(就寝の用に供する居室)」と「その階から直下階に通ずる階段」の二か所です
条文はイ・ロに加えてハ号という第三の区分を置いており、「総務省令で定める部分」への設置も義務づけています。
このハ号がどんな住宅の部分を指すのかは、条文本体には書かれておらず、総務省令に委ねられています。
つまり寝室と階段だけを見て「設置は終わった」と判断するのは早計だということです。

寝室と階段さえ押さえれば、もう終わりだと思っていました。

それが「ハ号」という第三のルールがあるんです。
次にその中身を見ましょう。

廊下への設置が必要になるのはどんな階なのか

五つの部屋が並ぶ廊下の天井に住宅用防災機器が設置された住宅の一室階のイメージ
「総務省令で定める部分」の中身は、住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令に書かれています。
そこには具体的な数値の要件がありました。
住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令第四条第三号 令第五条の七第一項第一号イ若しくはロ又は前二号の規定により住宅用防災警報器又は感知器が設置される階以外の階のうち、床面積が七平方メートル以上である居室が五以上存する階の次に掲げるいずれかの住宅の部分 イ 廊下(略)
寝室や階段の設置対象から外れた階でも、床面積7㎡以上の居室が5以上あれば、その階の廊下に設置が必要になります
条件は二つ重なっています。対象外の階であること、そして7㎡以上の居室が5室以上あることです。
一戸建てでも、書斎・子ども部屋・和室・来客用の洋室などが連なる階では、この条件に当てはまることがあります。
自分の住宅の各階で、床面積7㎡以上の部屋がいくつあるかを数えてみてください。

うちの2階は寝室のほかに子ども部屋が2つと書斎と客間があります。

合わせて5部屋ですね。
それぞれ7㎡以上あるかどうかも確認しましょう。

廊下が無い住宅では設置場所がどう変わるのか

廊下の無い住宅で階段の上端と下端それぞれに住宅用防災機器が設置された二つの間取りを並べたイメージ
戸建て住宅の中には、そもそも廊下が無い間取りもあります。
その場合の振り替え先も、同じ条文の続きに定められています。
住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令第四条第三号 (前略)当該階の次に掲げるいずれかの住宅の部分 イ 廊下 ロ 廊下が存しない場合にあつては、当該階から直下階に通ずる階段の上端 ハ 廊下及び直下階が存しない場合にあつては、当該階の直上階から当該階に通ずる階段の下端
廊下が無い住宅では、設置場所は階段の上端、それも無ければ階段の下端へと順番に振り替わります
イ・ロ・ハの三段階で、設置できる場所が必ずどこかに定まる仕組みです。
最上階に廊下も直下階も無いような特殊な間取りでも、直上階から通ずる階段の下端という形で設置場所が確保されます。
自分の住宅にあてはめるときは、まず廊下の有無から確認するのが近道です。

うちは廊下が無いタイプなので、階段の上のほうに付けることになりそうです。

そのとおりです。
次は見落としやすいポイントを説明します。

なぜ大きな住宅ほど見落としやすいのか

書斎と子ども部屋と来客用の部屋が並ぶ寝室ではない部屋ばかりの住宅の一室階のイメージ
ここまでの「居室」という言葉に、寝室のイメージを重ねていないでしょうか。
実はこの言葉の範囲は、思っているより広いのです。
建築基準法第二条第四号 居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
「居室」には寝室だけでなく、書斎や趣味の部屋、来客用の部屋まで含まれます
条文の「居室」は建築基準法の定義を借りており、就寝に使うかどうかは関係ありません。
延べ床面積が大きく部屋数の多い住宅ほど、寝室以外の居室が積み重なって5室以上という条件に達しやすくなります。
「寝室は1部屋しかないから対象外」という思い込みが、見落としの一番の原因です。

寝室じゃない部屋まで数えるなんて、考えたこともなかったです。

そこが見落としの一番の原因です。
最後に確認の手順をまとめます。

自分の住宅が対象かどうかどう確認すればよいのか

間取り図とメジャーとチェックリストを使って住宅用防災機器の設置場所を確認しているイメージ
やることは、階ごとに部屋の数と広さを数え直すことです。
順番に三つ確認してください。
  • 各階について、寝室その直下階へ通ずる階段に設置済みかを確認する
  • 寝室・階段の対象にならない階で、床面積7㎡以上の居室(書斎・子ども部屋・来客用の部屋を含む)がいくつあるか数える
  • 5室以上あれば、その階の廊下(無ければ階段の上端、それも無ければ下端)に設置する
数え終えたら、実際の設置作業や条例上の細かな基準はお住まいの市町村に確認してください
この省令はあくまで全国共通の基準で、実際の規制は市町村の火災予防条例で定められます。
判断に迷う場合は、所轄消防署に間取り図を見せて相談すると確実です。

まずは自分の家の各階で、部屋の数と広さを数え直してみます。

それが一番の近道です。
迷ったら消防署にも相談してみてください。

よくある質問

Q寝室が1部屋しかない住宅でも廊下への設置が必要になることはありますか?
Aあります。寝室・階段の対象にならない階で床面積7㎡以上の居室が5以上あれば、寝室がその階に無くても廊下への設置が必要です。
Q子ども部屋や書斎は「居室」の数に入りますか?
A入ります。「居室」は建築基準法の定義に基づくため、就寝に使うかどうかに関係なく、居住・執務・作業・娯楽などに継続的に使う部屋はすべて数えます。
Q廊下も直下階もない住宅ではどうなりますか?
A当該階の直上階から通ずる階段の下端に設置場所が振り替わります。廊下・階段上端・階段下端の順に、必ずどこかに設置場所が定まる仕組みです。
Qこの規定は全国どこでも同じ内容ですか?
A総務省令が定める基準であり、実際の規制は市町村の火災予防条例で定められます。細部は自治体ごとに異なることがあるため、所轄消防署への確認をおすすめします。

まとめ

住宅用防災機器の設置場所は、消防法施行令第五条の七第一項第一号により寝室と、その階から直下階に通ずる階段が基本です
条文にはイ・ロのほかにハ号があり、総務省令で定める部分への設置も義務づけられています
ハ号の中身は、床面積7㎡以上の居室が5以上ある階の廊下です
廊下が無い住宅では、設置場所は階段の上端、さらに無ければ下端へ振り替わります
「居室」には寝室だけでなく書斎や子ども部屋、来客用の部屋も含まれます
部屋数の多い住宅ほど、寝室以外の居室が積み重なって条件に達しやすくなります
実際の規制は市町村の火災予防条例に基づくため、迷ったら所轄消防署に確認しましょう

寝室以外の部屋も数える必要があるとは知りませんでした。
週末に間取り図を見直してみます。

床面積と部屋数を数え直すだけで確認できます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第五条の七(住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の基準)
  • 住宅用防災機器の設置及び維持に関する条例の制定に関する基準を定める省令第四条(平成十六年総務省令第百三十八号)
  • 建築基準法第二条第四号(居室の定義)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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