自家用発電装置は、停電時に非常用照明装置へ電気を送る大切な予備電源です。
定期検査ではこの発電装置についても、接地線の接続状況と絶縁抵抗を確認します。
どちらも判定基準は基準書に載っていますが、実際に何をどう測るのかという手順まではあまり知られていません。
この記事では、接地抵抗計とメガー(絶縁抵抗計)の具体的な使い方から、判定に使う数値の一覧までを整理します。
報告書に「接地抵抗」「絶縁抵抗」という欄があるのは知っていますが、正直どうやって測っているのか想像がつきません。
接地抵抗計とメガーという専用の測定器を使って、それぞれ決まった手順で数値を読み取ります。
今回はその手順を詳しく見ていきましょう。
電気の話は苦手なんですが、数値の意味も分かるようになりますか。
はい、判定に使う数値の一覧もあわせて紹介します。
順番に見ていけば、報告書の数字が読めるようになりますよ。
- 検査事項(11)接地線の接続の状況は、接続端子部の緩みと著しい腐食の有無を目視で確認する項目です
- 接地抵抗計はE・P・Cの3端子を使い、被測定接地極から10mと20mの位置に補助接地極を設けて測定します
- 接地抵抗の測定は地電圧が10ボルト以上あると誤差が生じるため、原因を取り除いてから測り直します
- 検査事項(12)絶縁抵抗は、電気設備に関する技術基準を定める省令第58条が定める数値を下回っていないかで判定します
- 絶縁抵抗計(メガー)は回路電圧に応じて500Vと1,000Vを使い分ける機器です
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目次
自家用発電装置の接地はなぜ検査するのか

接地線がゆるんだり腐食していると、いざというときに正しく働きません。
発電機本体又は配電盤の接地端子部について、接続端子部にゆるみがないか、著しい腐食が生じていないかを見ます。
「著しい腐食」の具体的な判定は、腐食状況の判定基準を参考にします。
なお自家用発電装置は、法令による予備電源として用いられているものが検査の対象で、消防用設備等の負荷のみに使われている場合は対象外です。
電気事業法の自家用電気工作物にも該当するため、原則として電気主任技術者の立会いのもとで検査を行います。
発電機の接地って、そんなに厳密に見るものなんですね。
はい、接地が甘いと感電や誤作動につながるので、目視でも丁寧に確認しています。
接地抵抗計はどうやって使うのか

電池式の接地抵抗計(アーステスタ)を使い、決まった手順で数値を読み取ります。
被測定接地極をE端子に、第1補助接地極(電圧用)をP端子に、第2補助接地極(電流用)をC端子にそれぞれ接続します。
接地端子盤には通常、接地抵抗測定用の補助接地極が2か所埋設されていますが、ない場合は被測定接地極から直線上で約10mと20mの位置に補助接地極を設けます。
測定前には電池のバッテリーチェックと指針の零点調整を必ず行い、正しい値が出る状態にしてから押しボタンスイッチを押します。
他の部分に接地端子盤が設けられている場合は、発電機盤の接地線の端子を外して断線の有無を調べたうえで、接地端子盤を利用して測定します。
E、P、Cの3つの端子って、どうやって覚えればいいんですか。
Eはアース、Pは電圧、Cは電流と覚えると分かりやすいですよ。
接続する順番さえ守れば難しくありません。
接地抵抗の測定で見落としやすい注意点は何か

測定の前後、それぞれに見落としやすい注意点があります。
接地抵抗計と接地端子の間の配線がしっかり接続されていないと、正しい値を測定できません。
地電圧が10ボルト以上あると誤差が生じるため、主な原因である絶縁不良を取り除いてから測定し直します。
測定を終えたら、接地端子盤で切り離した接地線の再接続を確実に行うことも忘れてはいけません。
つなぎ忘れたままでは、せっかく測定した接地そのものが機能しなくなってしまいます。
測定が終わったら、それで完了じゃないんですね。
はい、外した接地線を戻し忘れると本末転倒なので、最後まで気を抜けません。
絶縁抵抗はどんな数値で管理されているのか

回路の使用電圧によって、求められる絶縁抵抗値が変わります。
電気設備に関する技術基準を定める省令第58条は、300V以下で対地電圧150V以下の場合を0.1メガオーム以上、その他の場合を0.2メガオーム以上、300Vを超えるものを0.4メガオーム以上と定めています。
発電機本体については、この低圧電路の基準とは別に、電機子巻線や界磁巻線ごとに定められた管理値も参考として使われます(電機子巻線と大地間は定格電圧600V以下で3メガオーム、600Vを超えると5メガオーム、界磁巻線と大地間は3メガオームが目安です)。
自家用発電装置は電気事業法の自家用電気工作物に該当するため、この検査も電気主任技術者の立会いのもとで行うのが原則です。
電圧によって求められる数値が違うんですね。
そうなんです。
まずは自分の建物の回路電圧が何ボルトかを確認するところから始まります。
絶縁抵抗計(メガー)はどうやって使うのか

回路の電圧に合わせて、適切な機種を選ぶ必要があります。
低圧配電線・低圧機器には500V、高圧配電線・高圧機器には1,000Vの絶縁抵抗計を使い分けます(低圧電路の維持管理では250Vのものが使われることもあります)。
測定は必ず遮断器を切って電源をオフにした状態で行い、ライン用プローブとアース用プローブを短絡して指針が0になることを確かめてから始めます。
ライン用プローブには直流の高電圧がかかるため、測定中は体や測定回路に人が触れないよう注意します。
配線が長く静電容量が大きい回路ほど、測定後に接地して放電させる作業も欠かせません。
メガーのプローブ、うっかり触ってしまいそうです。
そうですね、直流の高電圧がかかるので、測定中は絶対に手を触れないようにしてください。
よくある質問
まとめ
接地抵抗計とメガー、それぞれの使い方がやっと分かりました。
今度の検査では数値の意味まで理解して立ち会います!
電気の測定は専門知識が必要な分野なので、無理せず有資格者に任せてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(定期検査報告義務)
- 建築基準法施行令第126条の5(非常用の照明装置の構造・予備電源)
- 電気設備に関する技術基準を定める省令第58条(低圧の電路の絶縁性能)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別表第三(非常用の照明装置の検査結果表)
※本記事は建築基準法・同施行令・電気設備に関する技術基準を定める省令等に基づき、一般的な検査要領を解説したものです。個別の建物における具体的な判定や測定は、電気主任技術者や建築設備検査員による現地調査、または所轄の特定行政庁にご確認ください。





