消防用設備等の非常電源には、低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤や分電盤が使われます。
この配電盤や分電盤には「第1種」と「第2種」という区分があり、設置できる場所が異なります。
区分を取り違えると、点検や増設の際に基準を満たさない配電盤を使ってしまう恐れがあります。
設置場所によって、配電盤に求められる耐熱性の基準が変わることを理解しておく必要があります。
分電盤に「第1種」とか「第2種」と書いてあるんですが、これは何の違いなんでしょうか。
設置する場所によって求められる耐熱性が違うんです。
順番に確認していきましょう。
うちの機械室にある配電盤がどちらに当たるのか気になります。
設置場所の条件を見れば区分が分かりますよ。
まずは制度の成り立ちから見ていきますね。
- 低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤・分電盤には、原則として第1種配電盤等を用います。
- 不燃区画された専用の室や屋外・屋上に設ける場合は、第1種以外の配電盤等も使えます。
- 不燃区画された変電設備室・機械室・ポンプ室等に設ける場合は、第2種配電盤等を使うことができます。
- 機械室に火災の発生のおそれのある設備又は機器が置かれていると、第2種は選べません。
- この区分は昭和56年の告示改正で設けられ、現在の条文にもそのまま引き継がれています。
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目次
配電盤や分電盤の基準はなぜ設置場所で分かれることになったのか

かつては設置場所を問わず一律の基準でしたが、昭和56年の改正で区分が生まれました。
昭和50年の旧基準は、非常電源専用の回路かどうかだけで区分しており、設置場所は基準に反映されていませんでした。
しかし変電設備室や機械室のように不燃材料で区画され、そもそも火災の影響を受けにくい場所であれば、同じ厳しさの耐熱基準を求める必要はありません。
そこで昭和56年の改正で、設置場所に応じて第1種・第2種の2段階に分け直したのがこの告示です。
現在の消防法施行規則にも、この区分の考え方がそのまま引き継がれています。
てっきり配電盤はどれも同じ基準だと思っていました。
設置場所によってリスクが違うので、基準も分けられているんです。
どの配電盤や分電盤が対象になるのか

まずどの設備が対象になるのかを確認します。
高圧や特別高圧で受電するキュービクル式非常電源専用受電設備は、専用の室に設ける等の別の基準で扱われるため、この第1種・第2種の区分には入りません。
また非常電源専用受電設備そのものではなく、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・自動火災報知設備など、消防用設備等の非常電源として使われている配電盤・分電盤が対象になります。
一般の照明・コンセント用の配電盤にこの基準は及びません。
建物のどの配電盤が非常電源用なのかは、単線結線図や非常電源の系統図で確認するのが確実です。
うちの建物にも非常電源用の配電盤があるはずです。
系統図で非常電源専用のものかどうかを確認してみましょう。
第1種と第2種はどこで基準が変わるのか

どこが変わるのかを見ていきます。
第1種配電盤等は、キャビネット自体の耐火試験と、内部の配線用機器・配線の耐熱試験の両方に適合する必要があります。
第2種配電盤等は、設置場所そのものが火災の影響を受けにくいことを前提にしているため、耐熱性に関する規定が緩和されています。
つまり第2種のほうが基準が甘いわけではなく、設置場所の防火性能で不足分を補っている、という関係です。
どちらに適合する製品かは、製造者による表示や適合を示す資料で確認できます。
第2種のほうがゆるい基準だと思っていました。
基準がゆるいのではなく、設置場所の防火性能で補っているんです。
第2種を選べない機械室があるのはなぜか

実務で見落としやすい例外があります。
条文は「機械室」を第2種でよい場所として挙げていますが、火災の発生のおそれのある設備又は機器が置かれている機械室は、この括弧書きで明確に除外されています。
たとえばボイラーや燃焼式の温風発生機などが同じ室内にある場合、不燃材料で区画されていても第2種配電盤等は使えません。
機械室の使い方が後から変わり、燃焼機器を新たに持ち込んだときに、既存の第2種配電盤等が基準を満たさなくなるおそれがあります。
機械室に設備を追加するときは、配電盤・分電盤の区分もあわせて見直す必要があります。
機械室に暖房用のボイラーを置く予定なんですが、大丈夫でしょうか。
その場合は第2種が使えなくなるので、先に確認しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

設置場所と表示の両方を確認する手順を押さえておきます。
不燃区画された専用の室、屋外・屋上、変電設備室・機械室・ポンプ室のいずれに当たるかを図面と現地の両方で確かめてください。
機械室の場合は、火災の発生のおそれのある設備又は機器が同室にないかも合わせて確認します。
配電盤・分電盤自体には第1種・第2種のどちらに適合するかを示す表示があるはずなので、点検業者に確認してもらいましょう。
設置場所を変える増改築の際は、配電盤・分電盤の区分も見直しの対象になることを覚えておいてください。
表示を見ればどちらの種類か分かるんですね。
はい、点検業者にも合わせて確認してもらうと確実です。
よくある質問
まとめ
配電盤の区分がよく分かりました。
さっそく設置場所を確認します!
どんなことでもお気軽にどうぞ。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 配電盤及び分電盤の基準を定める告示(昭和56年12月22日消防庁告示第10号)
- 「配電盤及び分電盤の基準を定める告示について(通知)」(昭和57年1月11日消防予第7号・消防庁予防救急課長、改正:平成13年3月消防予第103号・消防危第53号)
- 消防法施行規則第12条第1項第4号イ(非常電源専用受電設備の設置基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





