消防用設備等の点検に来てもらったとき、自社の従業員に手伝わせてよいものか迷ったことはないでしょうか。
消防用設備等の点検は、法律で定められた資格者にさせることが原則です。
ただし資格者以外の人がまったく関われないわけではなく、消防庁が示した線引きがあります。
この記事では、無資格の従業員が点検に関わってよい範囲と、資格者本人でなければできない作業の境界を整理します。
点検業者さんが来たとき、うちの従業員が手伝ってもいいんでしょうか。
手伝える作業は補助的な内容に限られます。
どこまでかを見ていきましょう。
補助的な内容というのは、具体的にどんな作業ですか。
消防庁が示した具体例があります。
順番に確認しましょう。
- 消防用設備等の点検は、法律が定める資格者に行わせることが原則です
- 根拠は消防法第17条の3の3です
- 資格者以外の人の作業は、消防庁の通知により補助的な内容に限られると整理されています
- 名指しされているのは資機材の搬送と足場の固定の2つです
- 機器の作動確認や判定そのものは、資格者本人が担う必要があります
▼

目次
消防用設備等の点検を無資格の従業員が手伝ってもよいのか

そのとき何をどこまで手伝わせてよいのか、消防庁の通知が答えを示しています。
点検そのものを行えるのは、消防設備士免状の交付を受けている者、または点検資格者に限られます。
一方で補助的な内容であれば、資格を持たない人が関わっても差し支えないという整理です。
では補助的な内容とは、具体的にどんな作業を指すのでしょうか。
お見込みのとおりというのは、質問の内容をそのまま認めたということですか。
そのとおりです。
次は具体的な中身を見ていきます。
補助的な作業として認められているのはどんな内容なのか

どちらも点検を円滑に進めるための、いわば下ごしらえの作業です。
点検で使う機材を現場まで運ぶ作業や、脚立や作業台などの足場を固定する作業がこれにあたります。
通知の文言には「等」の一字が付いており、この2つに限定する趣旨とまでは読み取れません。
ただし通知が具体的に示しているのはこの2例だけなので、それ以外の作業を補助的だと自己判断するのは避けたほうが安全です。
荷物を運んだり脚立を支えたりするくらいなら、うちでもできますね。
その範囲であれば問題ありません。
次はなぜこの線引きになるかです。
点検そのものと補助的な作業はなぜ区別されるのか

点検の中身に立ち返ると理由が見えてきます。
資機材を運ぶことや足場を固定することは、その判断そのものではなく、判断のための準備にあたります。
理由までは通知に明記されていませんが、確認・判定という中身と準備という手足の作業を分けて考えると、この線引きは理解しやすくなります。
逆に言えば、機材の操作や状態の確認に踏み込む作業は、補助の範囲を超えると考えられます。
判断が要らない作業だから、資格が無くてもよいということですね。
そのイメージで大きく外れません。
次は超えてはいけない側を見てみましょう。
資格者でなければできない作業はどこからか

資格者本人でなければできない作業には、共通する特徴があります。
たとえば受信機のスイッチを操作して作動を確かめることや、外観の損傷を見て良否を判定することがこれにあたります。
これらは点検の結果そのものを左右するため、通知が挙げる補助的な内容には含まれません。
資格を持たない従業員に安易に任せてしまうと、点検自体が適正に行われていないと扱われるおそれがあります。
作動確認や判定は、忙しくても手伝わないほうがよさそうですね。
そこは資格者に任せてください。
最後に依頼前の準備を確認します。
点検業者に依頼するとき防火管理者は何を準備すればよいか

確認しておきたいポイントを整理します。
- 点検当日に資機材の搬送を手伝えるよう、搬入経路や台車を用意しておく
- 脚立や作業台を使う箇所では、足場の固定を担当する人を決めておく
- 機器の操作や判定は資格者本人に任せ、従業員は指示を待つ体制にしておく
搬送や固定を自社で担えれば、点検業者の作業時間を短くできる場合もあります。
一方でどこまで手伝ってよいかは現場や設備によって判断が分かれることもあるため、迷ったら点検業者に事前に確認してください。
補助の範囲を超えて従業員に作業をさせることのないよう、当日の役割分担を決めておくと安心です。
次の点検までに、搬送と足場の担当を決めておきます。
それが決まっていると当日の進行もスムーズです。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
次の点検日までに役割分担を決めておきます!
これで従業員にも安心して頼めます。
補助と点検の境界を押さえておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の3
- 消防法施行令第36条第2項
- 消防予第317号「消防用設備等に係る執務資料の送付について」(平成19年9月3日)問1
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。個別の点検作業でどこまで補助が認められるかは、設備の種類や現場の状況によって異なります。実際の役割分担については、点検業者または所轄消防署にご確認ください。





