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消防用設備等の点検に来る人はどんな資格を持っているのか|消防設備点検資格者になれる10のルートと資格を失う6つの事由を解説

消防用設備等の点検に来る人はどんな資格を持っているのかを示すアイキャッチ画像

消防用設備等の点検には、毎年きまった会社の担当者が来ます。
その人が名乗る肩書きは消防設備士のこともあれば消防設備点検資格者のこともあります。
どちらも消防法令が正面から認めている資格で、建物の関係者は点検をこの人たちに任せることになります。
そして点検資格者の免状は講習を受け続けなければ効き目を失います

点検に来た方の名札に消防設備点検資格者と書いてありました。
消防設備士とは違うのでしょうか。

別の資格です。
どちらも点検にあたれる人として条文に書かれています。

その資格はどうやって取るものなのですか。
建物の側で確かめられることはありますか。

省令が入口を十通り並べています。
そのうえで免状の有無が決め手になります。

この記事の結論
  • 点検を行えるのは消防設備士免状の交付を受けている者か総務省令で定める資格を有する者である
  • 総務省令で定める資格を有する者とは消防法施行規則が定める消防設備点検資格者のことである
  • 点検資格者になる入口は規則第31条の6第7項の一号から十号までの10通りである
  • どの入口を通っても登録講習機関の講習を修了して免状の交付を受けなければ資格者にならない
  • 同じ条の第8項は資格を失う場合を6つ並べており講習を受け続けなかったときもその一つである

消防設備士の免状と電気工事士や建築士からの講習の道と実務の経験による道そして免状が効き目を失う場合を並べて示した図解

点検を誰にさせるかはどの条文で決まっているのか

建物と書類を持った点検者と設備の制御盤を並べて点検を誰にさせるかという関係を示した図
消防用設備等の点検と報告の義務は、建物の関係者が負っています。
その点検を自分でやってよいのか、人に頼まなければならないのかも同じ条文が決めています。
消防法第17条の3の3 第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、(略)当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
頼む相手は二種類しか書かれていません
一つは消防設備士免状の交付を受けている者、もう一つは総務省令で定める資格を有する者です。
この二つ目が消防法施行規則の呼び名で消防設備点検資格者にあたります。
条文はどちらかに点検させろと書いているだけで、会社の規模や知名度には触れていません。
見積書に会社名しか書かれていないときは、実際に建物へ来る人がこの二つのどちらなのかを先に聞いておいてください。

会社に任せていれば資格のことは考えなくてよいと思っていました。

条文が見ているのは会社ではなくのほうです。
誰が点検したかは報告する側の責任にもつながります。

消防設備点検資格者になれるのはどんな人か

免状にあたる小さな札を掲げた三人と受付の机を並べて資格の入口が複数あることを示した図
総務省令で定める資格を有する者の中身は、消防法施行規則が並べています。
入口はひとつではなく、もともと持っている資格ごとに道が分かれています。
消防法施行規則第31条の6第7項 法第十七条の三の三に規定する総務省令で定める資格を有する者は、次の各号のいずれかに該当する者で、(略)登録講習機関(略)の行うものの課程を修了し、当該登録講習機関が発行する(略)書類(略)の交付を受けている者((略)「消防設備点検資格者」という。)とする。
一 法第十七条の六に規定する消防設備士
二 電気工事士法(略)第二条第四項に規定する電気工事士
三 建設業法(略)第二十七条(略)に規定する管工事施工管理技士
四 水道法(略)第十二条第二項に規定する政令で定める資格(略)を有する者
五 建築基準法第十二条第一項に規定する建築物調査員資格者証の交付を受けている者又は同条第三項に規定する建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者
六 建築士法第二条第二項に規定する一級建築士又は同条第三項に規定する二級建築士
入口の資格と免状の交付は別のものです
一号から六号までに並ぶのは消防設備士・電気工事士・管工事施工管理技士・水道の資格を有する者・建築物調査員や建築設備等検査員・一級建築士や二級建築士です。
ただし柱書をよく読むと、これらに当てはまるだけでは足りません。
登録講習機関の課程を修了し、そこが発行する免状の交付を受けてはじめて消防設備点検資格者になります。
建築士の資格証を見せられても、それは入口を通れる資格であって点検の免状そのものではないと覚えておいてください。

建築士の方が点検に来られたことがあります。
あれは資格の一つとして認められていたのですね。

入口として認められています。
そのうえで講習を修了しているかどうかが要ります。

資格を持っていない人でも点検資格者になれるのか

工具を持つ人と作業台の道具箱と積み上げた書類を並べて実務の経験による入口を示した図
同じ第7項の後半には、資格ではなく学歴と実務の経験を入口にする号が並んでいます。
現場で長く働いてきた人のための道です。
消防法施行規則第31条の6第7項 七 学校教育法による大学若しくは高等専門学校(略)において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した(略)後消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備について一年以上の実務の経験を有する者
八 学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校(略)において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科を修めて卒業した後消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備について二年以上の実務の経験を有する者
九 消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備について五年以上の実務の経験を有する者
十 前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると消防庁長官が認める者
学歴が上がるほど求められる実務の年数は短くなります
大学や高等専門学校で機械・電気・工業化学・土木・建築の学科を修めていれば1年、高等学校であれば2年です。
学歴を問わない九号は5年で、いずれも消防用設備等の工事または整備の経験を数えます。
十号は前の各号と同等以上と消防庁長官が認める者で、条文はそれ以上のことを書いていません。
七号から十号までを合わせると入口は10通りになり、どれを通っても最後は講習と免状にたどりつきます。

つまり経験だけでも入口はあるということですね。

そのとおりです。
数えるのは消防用設備等の工事または整備の経験に限られます。

点検資格者の免状はどんなときに効き目を失うのか

台の上に置かれた免状と封筒に禁止の記号を添えて資格を失う場合があることを示した図
免状は一度受け取れば一生ものというわけではありません。
同じ条の第8項が、資格を失う場合をまとめて置いています。
消防法施行規則第31条の6第8項 消防設備点検資格者は、次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を失うものとする。
一 精神の機能の障害により消防設備点検資格者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができなくなったことが判明したとき。
二 拘禁刑以上の刑に処せられたとき。
三 法に違反し、罰金の刑に処せられたとき。
四 消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検を適正に行っていないことが判明したとき。
五 資格、学歴、実務の経験等を偽ったことが判明したとき。
六 消防庁長官が定める期間ごとに登録講習機関の講習を修了し、当該登録講習機関が発行する免状の交付を受けなかったとき
何もしないでいるだけでも資格は失われます
一号から五号までは心身の状態・刑罰・点検の不適正・経歴の偽りという、行いに理由がある場合です。
これに対して六号だけは、期間ごとの講習を受けて免状の交付を受けなかったという不作為が理由になっています。
つまり再講習を受けないまま年数が過ぎると、本人が何も悪いことをしていなくても資格者ではなくなります。
点検を頼んでいる相手の免状に有効期限らしき日付が書かれていたら、その日付を過ぎていないかを見ておいてください。

受け続けなかっただけで失うというのは知りませんでした。
建物の側にも影響はありますか。

点検させる義務を負うのは関係者のほうです。
誰が点検したかは記録に残るので確かめておくと安心です。

明日からなにを確認すればよいのか

書類の入った台帳の棚と報告書を読む人と机の上の記録を並べて確認の手順を示した図
確かめる場所は難しくありません。
点検のあとに受け取る書類と、次の点検を頼むときのやりとりの中にあります。
消防法施行規則第31条の6 5 法第十七条の三の三の規定による点検の方法及び点検の結果についての報告書の様式は、消防庁長官が定める。
6 法第十七条の三の三の規定により消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者が点検を行うことができる消防用設備等又は特殊消防用設備等の種類は、消防庁長官が定める
免状があればどの設備でも見られるわけではありません
点検を行える設備の種類は消防庁長官が定めることになっており、免状の種別によって範囲が分かれます。
報告書の様式も同じく消防庁長官が定めるので、点検した人を書く欄はその様式に従うことになります。
次の点検の見積りを取るときに、来る人が消防設備士なのか点検資格者なのか、免状の種別はなにかを聞いておきましょう。
受け取った報告書は維持台帳に綴じ、立入検査で聞かれたらそのまま示せる状態にしておいてください。

次の見積りのときに免状の種別を聞いてみます。
それを控えておけばよいでしょうか。

それで十分です。
報告書と一緒に残しておけば立入検査のときに慌てません。

よくある質問

Q消防設備士の免状があれば講習は要りませんか?
A消防法第17条の3の3は消防設備士免状の交付を受けている者を点検にあたれる者として並べています。規則第31条の6第7項の講習は、消防設備点検資格者になるための道筋を定めたものです。
Q実務の経験は消防以外の仕事でも数えられますか?
A条文が数えているのは消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事又は整備についての実務の経験です。それ以外の業務が含まれるかどうかは条文に書かれていないので、講習を行う登録講習機関にご確認ください。
Q点検資格者の資格を失った人が点検したらどうなりますか?
A消防法第17条の3の3は政令で定める防火対象物について資格を有する者に点検させることを関係者に求めています。個別の事案の扱いは条文に書かれていないので、所轄消防署にご確認ください。
Q免状の種別によって点検できる設備は変わりますか?
A変わります。規則第31条の6第6項は、点検を行うことができる消防用設備等または特殊消防用設備等の種類を消防庁長官が定めると規定しています。

まとめ

点検の根拠は消防法第17条の3の3と消防法施行規則第31条の6である
条文が挙げる点検者は消防設備士免状の交付を受けている者と総務省令で定める資格を有する者の二種類である
第7項の入口は一号から十号までの10通りである
どの入口でも登録講習機関の課程を修了し免状の交付を受けることが要件になる
実務の経験による入口は学歴に応じて1年・2年・5年に分かれる
第8項は資格を失う場合を六つ並べており講習を受けなかったときもその一つである
点検を行える設備の種類と報告書の様式は消防庁長官が定める

次の点検のときに免状の種別を控えておきます。

そこまでできていれば安心です。
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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の6
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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