建築設備定期検査の「排水設備」区分では、排水管そのものの状態だけでなく、冷蔵庫や給水ポンプなど個々の機器の排水がどうつながっているかも確認します。
これらの機器の排水を排水管に直接つないでしまうと、排水管内の汚水や害虫が逆流し、食品や飲料水を汚染するおそれがあります。
そこで検査基準書は、どのような機器の排水を「間接排水」としなければならないかを、具体的な機器の例まで挙げて整理しています。
本記事では、間接排水の対象となる機器の範囲を、検査基準書と建築基準法の告示に沿って整理して解説します。
間接排水という言葉は聞きますが、
具体的にどの機器が対象なのかよく分かっていません。
はい、冷蔵庫や給水ポンプなど、告示が挙げる代表例を見ていくと分かりやすいです。
今回はその範囲を解説します。
厨房の機器やプールの排水も
関係あるんですか。
はい、建物の用途によっては、そうした機器も対象になります。
- 冷蔵庫や水飲み器など、飲食にかかわる機器の排水は排水管に直接つなぎません。
- 滅菌器や消毒器、洗浄装置など医療・研究用機器の排水も同じ扱いになります。
- 給水ポンプや空気調和機、給水タンクの水抜管やオーバーフロー管も対象です。
- プールや浴場、水景設備の排水も、汚染防止の必要性に応じて間接排水とします。
- 基準書の一覧に無い機器でも、汚染防止が必要なものは間接排水として扱います。
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目次
排水管に直接つないではいけない機器にはどんな共通ルールがあるのか

まずはこのルールの全体像を確認します。
(1)冷蔵庫、水飲み器その他これらに類する機器の排水管、(2)滅菌器、消毒器その他これらに類する機器の排水管、(3)給水ポンプ、空気調和機その他これらに類する機器の排水管、(4)給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管の4つの区分です。
これらの機器の排水は、いったん大気中で縁を切る排水口空間を設けたうえで、間接的に排水管へ流します。
直接つないでしまうと、排水管内の汚水や臭気、害虫が逆流して、食品や飲料水を扱う機器を汚染するおそれがあるためです。
次の項目から、この4区分に含まれる具体的な機器を一つずつ見ていきます。
排水管につながず、
いったん空気に触れさせるということですね。
はい、その空間の有無を検査で確認しています。
冷蔵庫や流し台など飲食にかかわる機器はどこまでが対象か

厨房まわりの機器も多く含まれます。
冷蔵庫や冷凍庫、ショーケースといった冷蔵機器だけでなく、皮むき機や洗米機、蒸し器、製氷機、食器洗浄機、消毒庫なども同じ区分です。
調理用の流しやカウンター流しなど、食品を扱う流し台も間接排水の対象に含まれます。
水飲み器や飲料用冷水機、給茶機も、飲料水を直接口にする機器として同じ扱いになります。
検査では、これらの機器の排水管が排水管へ直結していないか、実際の配管を目視で確認します。
厨房の機器がこんなに
たくさん対象になるとは思いませんでした。
はい、食品を扱う機器はまとめて対象になると考えると分かりやすいです。
滅菌器や洗浄装置など医療・研究用機器はなぜ対象になるのか

飲食物とは異なる理由で、間接排水が求められます。
蒸留水装置や滅菌水装置、洗浄器、洗浄装置といった医療・研究用機器が対象です。
これらの機器は水治療用機器も含め、排水経路を通じて薬液や汚染物質が施設内へ逆流すると、衛生上のリスクが大きくなります。
飲食にかかわる機器とは対象となる理由が異なりますが、排水口空間を設けるという対処方法は同じです。
検査では、こうした機器が設置されている建築物かどうかをまず確認したうえで、該当する機器の排水を点検します。
うちのビルには関係ないと思っていましたが、
用途によっては対象になるんですね。
はい、建物の用途に合わせて対象設備を確認しています。
給水ポンプや空気調和機、給水タンクの排水はどう扱うのか

飲食物と直接触れない機器でも、飲料水にかかわる限り対象になります。
給水用ポンプや空気調和機、冷凍機、冷却塔など、水を使用する装置の排水も同じ区分に入ります。
受水槽や高置水槽など給水タンクからの水抜管やオーバーフロー管、熱交換器や貯湯タンクからの水抜管も対象です。
露受け皿や水切りの排水管、飲料用冷水系統の水抜管も同じ考え方で扱います。
これらは飲料水そのものではなく設備側の排水ですが、飲料水系統とつながっている以上、汚染を防ぐ必要があるためです。
受水槽のオーバーフロー管まで
対象になるとは知りませんでした。
はい、飲料水系統とつながる設備は、まとめて確認しています。
プールや浴場、水景設備の排水にも同じ考え方は及ぶのか

基準書に個別の機器名が載っていない場合の考え方もあわせて確認します。
これらの排水は、器具の下方に排水口空間を設ける方式のほか、排水口を大気に開放しておく排水口開放という方式が使われることもあります。
基準書は代表的な機器を例示したものにすぎず、一覧に載っていない機器でも汚染防止の必要性があれば間接排水として扱う、という考え方が基本になります。
検査では、建築物の用途に応じてこうした設備の有無を確認し、該当する場合は排水経路が直結していないかを点検します。
迷う場合は、機器の排水が飲料水や食品、衛生的な環境に影響を与えるかどうかで判断します。
一覧に載っていなくても、
考え方さえ分かれば判断できそうですね。
はい、汚染防止の必要性という視点で見ていくのがポイントです。
よくある質問
まとめ
間接排水の対象がこんなに幅広いとは知りませんでした。
間接排水は見落とされやすい点検項目です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第129条の2の4第3項(e-Gov法令検索)
- 昭和50年建設省告示第1597号 第2第一号ロ(間接排水とすべき機器の排水管)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第四号(給水設備及び排水設備の検査結果表)
※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示及び検査基準書の解説に基づき、排水設備(排水管)の定期検査における間接排水の対象機器について、一般的な考え方を解説したものです。建築物の用途や設備の仕様によって対象となる機器は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。





