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BCPで大雪時の避難口はどう確保するのか|除雪の優先順位と消防活動動線を解説

大雪時に外開きの避難口と屋外避難経路を除雪する施設管理者

大雪の朝、駐車場の除雪から始めていませんか。
その間に非常口の外側へ雪が積もると、外開きの扉が動かず、避難経路が途中で切れるおそれがあります。
消防車が近づく通路や送水口の周囲まで雪で塞がれば、消防活動にも影響します。
大雪時は、避難口、屋外避難経路、消防活動動線の順に人命動線を確保します。

駐車場から除雪したらええんですか。

避難口の開閉範囲が先です。

扉の前だけ空ければ足りますか。

安全な場所まで線でつなぎます

この記事の結論
  • 避難口は扉が全開できる範囲まで除雪します。
  • 屋外避難経路を安全な場所まで連続させます。
  • 消防車の進入路と消防活動に使う場所を塞ぎません。
  • 除いた雪は再び動線を塞がない場所へ寄せます。
  • BCPに優先順位、担当者、休業判断を明記します

大雪時に避難口と避難経路と消防活動動線を順番に除雪する流れのアイソメ図

大雪時の避難口はどこまで除雪するのか

積雪で塞がれた外開きの避難口を全開できる範囲まで除雪する作業員のアイソメ図
避難口は、扉の前に人が立てるだけでは足りません。
扉が外開きなら、扉の軌跡に積もった雪を取り除き、最後まで開くことを確認します。
国土交通省東北地方整備局の庁舎保全資料は、正面玄関や非常口は外開きが一般的であり、扉を開けられるように除雪し、避難経路を確保するよう案内しています。
消防法第8条の2の4は、管理権原者に対し、廊下、階段、避難口などの避難上必要な施設を、避難の支障となる物件が放置されないよう管理することを求めています。
避難口は、全開、通過、退避の三つができる状態にします。
まず室内側から扉を操作し、積雪、凍結、吹きだまりで開閉が妨げられていないか確認します。
次に避難者が一度に出ても滞留しない足場を作り、滑りや段差を減らします。
その先の通路を、公道や一時集合場所など安全な場所まで連続させます。
除雪後も降雪と風で再び塞がるため、一度きりで終わらせません。
始業前、降雪中、営業終了前など、施設の利用時間に合わせて再点検の時刻を決めます。
扉が動かない、雪庇が落ちそう、除雪が追いつかない場合は、その出口を使う前提を止めます。

扉を全開して確かめるんですね。

その先まで通れる幅を見ます。

どの施設と動線を優先して確保するのか

施設の避難口と屋外避難経路と消防車進入路を分けて確認する管理者のアイソメ図
優先するのは、来客用駐車場の広さではなく、人命に直結する線です。
施設図に避難と消防活動の経路を書き込み、除雪の対象を決めます。
消防庁の大雪に関する資料は、緊急車両の通行ルートを確保する除雪や、不要不急の外出を控えることの重要性を示しています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務に必要な人員、設備、ライフラインなどの経営資源を把握し、優先順位を付けて事業継続の対応を整える考え方を示しています。
優先順位は、避難、消防活動、重要業務の順に決めます。
避難では、使用するすべての避難口と、そこから一時集合場所までの屋外経路を確認します。
消防活動では、消防車が接近する通路、建物周囲の活動場所、送水口や屋外消火栓など自施設で使う設備の周囲を見ます。
設備の位置は建物ごとに異なるため、消防計画と設備図で実在する対象だけを選びます。
重要業務では、救急搬送に使う出入口、非常用発電設備への点検路、燃料補給路などを追加します。
高齢者施設、病院、宿泊施設では、車いすや担架が通れる幅と傾斜を実際の器具で確認します。
必要な線を確保できないときは、利用区画の縮小、受入停止、休業へ切り替えます。
優先確保する場所
避難避難口・屋外避難経路・集合場所
消防活動進入路・活動場所・消防用設備の周囲
重要業務救急搬送・点検・燃料補給の経路

地図で線を決めるんですね。

人命動線から優先します。

除雪はどの順番で進めるのか

避難口から屋外経路と消防活動動線へ順番に除雪する作業員のアイソメ図
除雪は、雪が積もってから担当者を探すのでは間に合いません。
大雪予報の段階で、人員、道具、雪置き場、開始時刻を決めます。
国土交通省の建築物利用者向け資料は、大雪予報時に除雪体制を確保し、あらかじめ定めた雪置き場へ車両を置かず、凍結防止剤を準備することを例示しています。
同資料は、降雪時に営業開始前の除雪を始め、作業中は転倒、落雪、除雪機械への巻き込まれなどの安全へ注意するよう示しています。
除雪は、出口を開け、経路をつなぎ、消防活動動線を空ける順です。
最初に主な避難口と代替の避難口を開閉できる状態にします。
次に両方の出口から安全な場所までの経路を途切れなく除雪します。
続いて消防車の進入路と、送水口など必要な消防用設備の周囲を空けます。
除いた雪は、出入口、交差点、視界、排水口を塞がない事前指定の雪置き場へ運びます。
その後に救急搬送、設備点検、搬入口、駐車場など事業継続上の経路へ進みます。
作業者は単独にせず、屋根からの落雪と除雪機械の周囲を相互に監視します。
降雪が続くときは積雪深だけでなく、扉の開閉と路面状態を定時に記録します。

雪を置く場所も先に決めるんですね。

経路を二度塞がないためです。

出入口だけ除雪しても足りないのはなぜか

非常口上部の雪庇とつららを確認し立入区域を分ける管理者のアイソメ図
通路が見えていても、上から落ちる雪や氷、足元の凍結があれば安全な避難経路とはいえません。
除雪で作った雪山も、視界と通行を妨げます。
国土交通省東北地方整備局は、雪庇やつららの落下が危険な場合、真下を通らせない措置を取り、安全を確保したうえで除去するよう案内しています。
消防庁の防災・危機管理eカレッジは、大雪時に気象情報を確認し、不要不急の外出を避け、除雪用具などを準備するよう示しています。
足元、頭上、行き先まで安全で初めて避難経路になります。
出口の上に雪庇やつららがあれば、落下範囲を立入禁止にして別の安全な出口へ誘導します。
屋根に上がる除雪は転落や落雪の危険が高いため、施設の手順と専門業者の判断に従います。
路面は圧雪、凍結、融雪水の再凍結を確認し、必要に応じて凍結防止剤や滑り止めを使います。
雪山は交差点の見通し、避難誘導標識、消火栓標識などを隠さない位置に置きます。
給気口や排気口の周囲も確認し、雪で塞がれた状態で燃焼設備を使いません。
夜間は照明と誘導表示の見え方、停電時の視認性を実際の現場で確かめます。
危険を除けない経路は、開いているように見えても使用可能とは判定しません。

頭上の雪も見るんですね。

落雪範囲を避けましょう。

明日から大雪時の動線をどう確認するのか

施設図と除雪担当表と気象情報を並べて大雪対応を確認する管理者のアイソメ図
平常時に施設図を持って、避難口から一時集合場所まで歩きます。
その場で除雪範囲、雪置き場、危険箇所、担当者を一枚にまとめます。
消防法施行規則第3条は、火災、地震その他の災害時の消火活動、通報連絡、避難誘導と、必要な訓練を消防計画へ定める仕組みを置いています。
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務と必要資源を整理し、教育・訓練、点検、見直しを通じて事業継続能力を高める考え方を示しています。
除雪計画は、現場図と判断基準を一枚にまとめます。
施設図には避難口、避難経路、集合場所、消防車進入路、消防用設備の位置を記入します。
各区間へ担当者と代理者を割り当て、夜間や休日でも集まれる最少人数を決めます。
スコップ、除雪機、凍結防止剤、カラーコーン、照明、連絡端末を点検します。
雪置き場は、動線、視界、排水、給排気口を妨げない固定場所として表示します。
判断基準には「避難口が全開しない」「安全な経路が一本もない」「担当者を確保できない」を入れます。
該当したら営業縮小や休業へ切り替える責任者をBCPで明確化します。
訓練後は、かかった時間と危険箇所を記録し、消防計画とBCPの両方を更新します。
  1. 施設図へ人命動線を書き込む
  2. 除雪範囲と雪置き場を現場で決める
  3. 担当者と代理者を割り当てる
  4. 除雪用具と安全装備を点検する
  5. 縮小営業と休業の判断基準を訓練する

雪の日に迷わない一枚ですね。

休業条件まで決めましょう。

よくある質問

Q非常口の前だけ除雪すればよいですか?
A足りません。扉が全開できる範囲を空け、出口から一時集合場所や公道などまで連続した経路を確保します。
Q避難口が一つ開けば営業できますか?
A一律には判断できません。建物の避難計画、利用人数、代替経路、消防計画を確認し、安全が成立しなければ利用区画の縮小や休業を選びます。
Q消防用設備の周囲はどこを除雪しますか?
A自施設の設備図を確認し、屋外消火栓、送水口など消防活動に使う設備へ近づき操作できる範囲を確保します。対象は施設ごとに所轄消防署や保守会社へ確認します。
Q消防計画とBCPには何を書き分けますか?
A消防計画には避難誘導や通報、訓練などを、BCPには除雪人員、重要業務、縮小営業、休業判断など事業継続の条件を接続して整理します。

まとめ

避難口は扉が全開できる範囲まで除雪します。
屋外経路を安全な場所までつなぎます。
消防活動動線を駐車場より先に空けます。
雪は指定の雪置き場へ寄せます。
雪庇やつららの下は通行させません
降雪中は扉と路面を定時に再点検します。
確保できなければ縮小営業や休業へ切り替えます。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および国土交通省・消防庁・内閣府の資料に基づく一般的な解説です。避難経路や消防活動動線を安全に確保できない場合は、無理に営業を続けません。実際の除雪範囲、避難計画、消防用設備の位置は、建物の消防計画、管理会社、除雪事業者、設備保守会社、所轄消防署へご確認ください。

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