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BCPでオフィス内のカセットこんろを使ってよいのか|火災と一酸化炭素中毒を防ぐ運用を解説

停電時のオフィスで窓と消火器と避難経路を確保してカセットこんろを使う写真

停電やガス停止が長引き、オフィスで非常食を温めたい場面を想像したことはありませんか。
備蓄していたカセットこんろでも、会議室や休憩室なら自由に使えるとは限りません。
避難経路を塞いだり、換気できない場所で使ったりすれば、業務継続のための道具が新たな火災や事故の原因になります。
使用場所、器具、監視、消火、片付けまでを消防計画とBCPの一続きの手順にすることが要点です。

非常用やから、会議室で使ってもええんですか。

場所と使い方の確認前には点火しません。

窓を開けたら、それで安全ですか。

換気だけでは不十分です。
器具と周囲も見ます。

この記事の結論
  • オフィス内で使うかは、建物のルール、取扱説明書、換気、避難経路を確認して判断します。
  • カセットこんろは一台ずつ安定した台に置き、可燃物と熱源から離します。
  • 指定ボンベを正しく装着し、使用中は担当者がその場を離れません。
  • 大きな調理器具や二台並べはボンベ過熱につながるため行いません。
  • 使用後は消火と冷却を確認し、使用記録と在庫更新まで行います。

災害時のカセットこんろを場所確認から消火と片付けまで管理する流れのアイソメ図

災害時にオフィスでカセットこんろを使ってよいのか

窓と消火器と避難口を確保した会議室でカセットこんろを使うアイソメ図
備蓄してあることと、その部屋で安全に使えることは別です。
建物の使用ルール、消防計画、製品の取扱説明書を確かめ、条件が一つでも満たせなければ使いません。
消費者庁は、災害でガス供給が止まった際にカセットこんろを使うことが考えられる一方、誤使用はボンベ破裂による火災など重大な事故につながると注意喚起しています。
東京消防庁は、カセットこんろが災害時にも使用される一方、誤った使用はカセットボンベの破裂、大きな事故、火災につながるとしています。
「非常時だから例外」ではなく、非常時こそ点火条件を先に決めます。
まず、防火管理者や施設管理者が、火気を使ってよい場所と時間帯を確認します。
テナントの場合は、自社だけで決めず、建物所有者や管理会社のルールも確かめます。
火災、ガス臭、天井材の落下、スプリンクラーヘッドの損傷などがある場所では使用しません。
避難者や物資で混雑している部屋も、こんろへ接触しやすいため避けます。
窓を開けられない、機械換気が停止している、使用中に監視できない場合は使用を見合わせる判断が必要です。
使用可否を決める人と、点火を許可する条件をBCPの初動票へ書きます。
決め手は食事を温めたい気持ちではなく、二次災害を防げる条件がそろっているかです。

備蓄品でも、使う場所は別に決めるんですね。

点火条件を平常時に決めておきます。

どの場所と器具を対象に確認するのか

安定した台と窓と避難口と離して保管したボンベを示すアイソメ図
確認対象は、こんろ本体とボンベだけではありません。
使用予定室、換気、周囲の可燃物、避難経路、消火器までを一つの使用場所として見ます。
消防法施行規則第3条は、消防計画に火気の使用または取扱いに関する監督や、災害時の消火活動、通報連絡、避難誘導を定めることを求めています。
東京消防庁は、カセットこんろを家具、壁、カーテンなどの引火物や可燃物から15cm以上離して使用するよう注意喚起しています。
室内を「置けるか」ではなく「安全に使い続けられるか」で確認します。
机は水平でぐらつかず、熱で変形しにくい場所を選びます。
紙資料、段ボール、カーテン、衣類、非常用毛布を周囲へ置きません。
こんろを避難口、廊下、防火戸、消火器、屋内消火栓の前に置かないでください。
余震で物が落ちる棚の下や、通行人が鍋へ触れやすい場所も避けます。
IH調理器やオーブン、暖房機の上や近くは、誤作動や余熱でボンベが過熱するおそれがあります。
本体は製造年月、変形、腐食、五徳の向き、点火部を確認します。
ボンベは指定品か、さびやへこみがないか、製造年月が確認できるかを見ます。
古い器具やボンベを「非常時まで温存」せず、計画的に更新します。

こんろだけやなく、部屋全体を見るんですね。

火気と避難動線を一緒に確認します。

使用前から片付けまで何を決めるのか

取扱説明書とボンベの装着と操作つまみを使用前に確認するアイソメ図
担当者が変わっても同じ動きができるよう、使用前、使用中、使用後を分けて手順にします。
点火だけでなく、消火、冷却、保管、記録まで終えて一回の使用です。
消費者庁は、ボンベの切欠き部と本体の容器受けガイドを合わせて正しく装着しないと、結合部から漏れたガスへ引火して火災を起こすおそれがあるとしています。
製品評価技術基盤機構は、ボンベの装着不良によるガス漏れと着火、熱源に近い場所でのボンベ過熱などの事故事例を示し、使用前の確認を促しています。
「誰が、どこで、何台を、何分使うか」を使用票にします。
使用前は、部屋と避難経路の安全、換気方法、消火器の位置を確認します。
取扱説明書どおりに五徳をセットし、指定ボンベの切欠き部を受けガイドへ合わせます。
ガス臭や装着の違和感があれば点火せず、火気のない風通しのよい場所で製品の案内に従います。
使用中は担当者が離れず、鍋の吹きこぼれ、炎、周囲の人の動きを監視します。
避難情報や余震があれば、調理を優先せず直ちに消火します。
使用後はつまみを戻して消火を確認し、本体が冷めるまで可燃物を近づけません。
ボンベの取り外しと保管は取扱説明書に従い、残量と外観を記録します。
使用日時、部屋、担当者、こんろ番号、ボンベ本数、異常の有無を使用記録へ残します。
次に使う人が同じ条件を再現できる記録にしてください。
段階確認すること
使用前場所・換気・器具・ボンベ・消火器
使用中担当者の監視・炎・鍋・避難情報
使用後消火・冷却・保管・残量
記録日時・場所・担当者・異常・在庫

使い終わって記録するまでが一回なんですね。

消火と在庫更新まで手順に入れます。

屋内で換気すれば安全と思い込めないのはなぜか

一台のこんろと適正な鍋と二台並べの大型鉄板を比較するアイソメ図
窓を開けることは大切ですが、換気だけでボンベの過熱やガス漏れは防げません。
器具の組み合わせと使い方に、重大事故へつながる見落としがあります。
東京消防庁は、カセットこんろを二台以上並べたり、こんろを覆う大きな調理器具を使ったりすると、熱がこもってボンベが過熱、破裂するおそれがあるとしています。
同庁は、テントや車内でカセットこんろなどを使うと一酸化炭素中毒や酸欠になる場合があるとし、屋外でも狭い空間では換気に注意するよう求めています。
換気、過熱防止、ガス漏れ防止は別々に確認します。
一台のこんろに、取扱説明書で認められた大きさの鍋を一つ載せます。
大量調理のために二台を並べ、その上へ一枚の鉄板や大鍋を載せてはいけません。
蓄熱性の高い魚焼き器、焼き網、陶板プレートなども、製品の注意表示に従います。
IH調理器の上へ置くと、誤って通電した際にボンベが過熱する危険があります。
暖房機や別のこんろの近くに、使用中または予備のボンベを置きません。
テント、車内、狭い倉庫など、空気がこもる場所では使用しないでください。
オフィス内でも、窓の有無だけでなく、風の通り道と製品が求める換気方法を確認します。
炎が消えた、ガス臭がする、気分が悪い人が出た場合は使用を中止して退避し、火気と電気スイッチの操作を避けて管理者へ連絡します。
再点火して様子を見る運用はしません。

二台並べは、たくさん作れて便利やと思ってました。

ボンベ過熱につながるので避けてください。

明日からカセットこんろの備蓄と使用手順をどう確認するのか

こんろと使用記録とボンベ保管棚と消火器と避難口を確認するアイソメ図
災害時に初めて箱を開けると、使える部屋や担当者を決める時間がありません。
平常時に現物を出し、消防計画、BCP、取扱説明書を並べて確認します。
消防法施行規則第3条は、消防計画に火気の使用または取扱いの監督、消防用設備等の点検と整備、消火活動、通報連絡、避難誘導などを定めることを求めています。
内閣府「事業継続ガイドライン」は、初動対応、二次災害防止、重要業務の継続と復旧について、平常時から体制と手順を整え、教育・訓練・見直しを続ける考え方を示しています。
現物、場所、担当、記録の四点を一枚の使用票にまとめます。
最初に、こんろ本体とボンベを保管棚から出し、製造年月と外観を確認します。
次に、使用候補室を歩き、窓、機械換気、安定した台、可燃物、避難口、消火器を見ます。
使用できる部屋と、使用してはいけない部屋を図面へ表示します。
点火許可、調理、監視、消火確認、在庫更新の担当を決めます。
取扱説明書をこんろと同じ場所に置き、暗所でも読めるよう照明も用意します。
訓練では実際に点火する前に、消防計画と施設ルールに沿った安全な実施条件を整えます。
訓練後は、準備にかかった時間、換気の不足、通路の混雑、担当者不在を振り返ります。
使ったボンベと非常食を補充し、古い在庫から使う更新順序を直します。
明日は、保管棚から一台取り出して、候補室まで安全に運べるか確認してください。
  • こんろとボンベの製造年月と外観を確認する
  • 使用可能な部屋と禁止する部屋を決める
  • 換気と避難経路と消火器を確認する
  • 点火から片付けまでの担当を決める
  • 使用記録と在庫更新の様式を用意する

明日は保管棚から一台出して見てみます。

候補室まで歩くところから始めましょう。

よくある質問

Q停電中なら会議室で自由にカセットこんろを使えますか?
A自由には使いません。建物のルール、取扱説明書、換気、可燃物、避難経路、消火器を確認し、管理者の判断で使用してください。
Q窓を開ければ二台並べて使えますか?
A使えません。換気とは別に、二台並べや大きな調理器具は熱がこもり、ボンベが過熱、破裂するおそれがあります。
Q本体と違うメーカーのボンベでも形が合えば使えますか?
A形だけで判断せず、本体の表示と取扱説明書で指定されたボンベを使用してください。
Q古いボンベは災害時だけ使えば問題ありませんか?
A非常時だけなら安全になるわけではありません。東京消防庁はボンベを製造後約七年以内に使い切るよう案内しています。製造年月と状態を確認し、平常時に更新してください。

まとめ

非常時でも、建物のルールと安全条件を確認してからカセットこんろを使います。
使用場所では換気、安定した台、可燃物との距離を確認します。
避難口、防火戸、消火器、屋内消火栓の前を使用場所にしません
指定ボンベを正しく装着し、担当者が使用中ずっと監視します。
二台並べと大きな調理器具はボンベ過熱の原因になるため避けます。
本体とボンベの製造年月と外観を確認し、計画的に更新します。
使用後は消火、冷却、保管、記録、在庫補充まで終えます。

一台と一部屋から現物確認します!

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および東京消防庁、消費者庁、製品評価技術基盤機構、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。使用できる場所や換気方法、対応ボンベは製品と建物の条件によって異なります。個別の運用は取扱説明書、建物所有者、防火管理者、所轄消防署などへご確認ください。

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