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BCPで地震後すぐエレベーターを再開してよいのか|点検と階段動線の確保を解説

地震後に使用中止となったエレベーターと階段を確認する施設管理者の写真

地震のあと、エレベーターが最寄階で止まり、しばらくすると表示が戻っていたことはありませんか。
人が閉じ込められていなくても、設備へ影響した故障が残っていれば、そのまま運転を再開できません。
一方で、高層階の移動や重要業務を階段だけで続けると、別の安全課題も生じます。
使用中止から安全確認、階段動線、運転再開までを一続きに決めることが、消防計画とBCPをつなぐ要点です。

表示が戻れば、もう乗ってもええんですか。

安全性の確認前には再開しません。

止めている間は、全員に階段を使ってもらうんですか。

階段動線と支援対象者も同時に確認します。

この記事の結論
  • 地震で運行へ影響する故障が生じたら、使用を中止して安全確認まで再開しません。
  • 最初に閉じ込めの有無と停止位置を確認し、保守点検業者へ連絡します。
  • 停止中は在館者へ周知し、利用可能な階段と避難経路を確保します。
  • 一部復旧でも、全機が使えるとは限らないため号機ごとの状態を表示します。
  • 点検・修理の報告と階段動線を確認し、再開時刻と判断者を記録します。

地震後にエレベーターを使用中止して閉じ込め確認と点検修理と安全確認を行う流れのアイソメ図

地震後すぐエレベーターを再開してよいのか

地震感知後に停止したエレベーターと使用中止の柵を示すアイソメ図
地震時管制運転で最寄階に止まったあと、表示だけが通常に戻ることがあります。
ただし、運行へ影響する故障がある場合は、安全性を確認するまで使用を再開しません。
国土交通省「昇降機の適切な維持管理に関する指針」は、事故・災害が原因で運行に影響する故障が発生した場合、昇降機の使用を中止し、点検と必要な修理により安全性が確認されるまで使用を再開しないとしています。
同省の「エレベーターの安全確保について」は、地震や火災が発生した場合に乗客を避難させて運行を中止し、運転再開にあたって保守管理業者による点検と試運転を行う考え方を示しています。
再開の入口は、表示の復帰ではなく安全性の確認です。
地震感知器が作動したか、どの号機がどの階で止まったかを管理盤や保守会社への照会で確認します。
閉じ込めが疑われるときは、先にインターホンで応答と負傷の有無を確かめます。
利用者を降ろしたあとも、かご、扉、昇降路、制御機器などへ異常がないか確認が必要です。
施設側が通常運転の表示だけを見て再開判断を完結させないようにします。
自動診断による仮復旧機能がある場合も、その装置の仕様と保守契約上の運用を先に確かめます。
不具合や異音、停止位置のずれがあれば、使用中止を継続してください。
BCPでは、停止中に続ける業務と縮小する業務を分けます。

表示が戻っただけでは判断できへんのですね。

故障と安全性を確認してから再開します。

どのエレベーターと利用者を確認するのか

エレベーターホールと階段と待機する在館者を示すアイソメ図
エレベーターの確認は、かごだけを見れば終わりではありません。
号機、停止階、閉じ込め、利用者、階段の状態を同じ一覧にまとめます。
東京消防庁の消防計画作成例は、エレベーターが使用できない場合や一部だけ動いている場合、在館者へ伝達して各階に掲示し、利用の自粛を図ることを示しています。
東京消防庁の避難誘導教材は、安全な階段を使用し、避難時にはエレベーターを使用しないことを基本として示しています。
設備の停止状況と人の移動条件を一緒に見ます。
複数台ある建物では、一括して「エレベーター停止」とせず、号機ごとに停止位置と使用可否を記録します。
非常用エレベーター、一般用、荷物用など用途が違う場合は、設備台帳と保守契約で区別します。
次に、利用者の中に高齢者、負傷者、車いす利用者など階段移動に支援が必要な人がいるかを確認します。
階段の損傷、落下物、照明、扉、防火区画も同時に点検します。
避難は階段を基本とし、業務上の上下移動は安全が確認された範囲だけに抑えます。
停止が長引く場合は、受付や重要業務を低層階へ移すなど代替の業務配置を検討します。
在館者へは、使えない号機、利用できる階段、再開連絡の方法を分けて周知します。

止まった号機と、階段を使いにくい人を一緒に見るんですね。

設備と人の両方を一覧にします。

使用中止から再開まで何を行うのか

施設管理者と保守点検業者がエレベーターの制御盤を確認するアイソメ図
停止を確認したら、閉じ込め対応、周知、点検、修理、試運転を順番に進めます。
誰がどこまで判断するかを曖昧にしないことが大切です。
国土交通省の指針は、所有者に対して保守点検業者が必要とする作業時間と停止時間を確保し、安全に業務へ従事できる措置を講じることを求めています。
同指針は、不具合や事故・災害に関する作業報告書を保守点検業者から提出させ、記録を保存することも示しています。
施設側の役割と専門業者の役割を分けて進めます。
施設側は、停止した号機への立入りを防ぎ、閉じ込めの有無と負傷者を確認して緊急連絡します。
保守点検業者へは、地震の時刻、停止表示、異音や損傷、閉じ込め情報を伝えます。
点検中は、機械室や昇降路の周辺を作業区画とし、在館者が誤って使わないようにします。
保守点検業者は、必要な点検、修理、試運転を行い、その結果を施設側へ報告します。
施設側は、報告書で使用できる号機と制限事項を確認します。
そのうえで、階段と避難経路が使えること、案内表示が更新されていることを再確認します。
再開時刻、判断者、点検報告書の所在をBCPの復旧記録へ残します。
設備の復旧と業務の再開を別々に記録すると、判断経緯を追いやすくなります。
段階確認すること
使用中止停止号機・閉じ込め・負傷者
連絡保守点検業者・館内周知・支援対象者
点検と修理損傷・試運転・制限事項
運転再開安全確認・階段動線・記録

施設側が勝手に試運転する話ではないんですね。

専門業者の点検結果を受けて判断します。

一部だけ復旧したときに見落としやすい点は何か

一部復旧したエレベーターと停止中の号機と階段を示すアイソメ図
大規模地震では、すべてのエレベーターが同時に復旧するとは限りません。
一台動いたことを、建物全体の通常復旧と取り違えないようにします。
国土交通省は、大規模地震時の早期復旧について、閉じ込め救出を最優先とし、病院や災害対策本部など公共性の高い建物を優先する方針を示しています。
同省は、複数台がある建物では、一棟につき一台を復旧させたあと他の建物へ回る考え方を原則として紹介しています。
一部復旧は、通常運用への全面復帰ではありません。
復旧した号機、停止中の号機、停止階や荷重などの制限事項を館内表示へ反映します。
一台へ利用が集中すると、待ち時間やロビーの滞留が増え、避難経路を狭めることがあります。
支援が必要な利用者や物資搬送を優先する場合は、受付と警備の役割を決めます。
火災時の避難ではエレベーターを使わず、安全な階段へ誘導する基本を変えません。
非常用エレベーターなど消防活動に関係する設備は、一般利用の再開と同じ扱いにしないでください。
階段前やエレベーターホールに物資を仮置きせず、通路幅と防火戸を保ちます。
高層階の重要業務を低層階へ一時移転する判断も、復旧待ちのBCPとして用意します。
全号機が戻るまで、毎日同じ時刻に状態表を更新すると伝達のずれを減らせます。

一台動いても、館内の混雑は残るんですね。

号機別の状態と動線を更新しましょう。

明日から運転再開の手順をどう確認するのか

点検記録と緊急電話とエレベーターと階段をまとめて確認するアイソメ図
地震が起きてから手順を探すと、停止号機の確認と館内周知が遅れます。
消防計画とBCP、保守契約、設備台帳を並べて確認します。
消防法施行規則第3条第1項第1号リは、消防計画に火災、地震その他の災害が発生した場合の消火活動、通報連絡、避難誘導を定めることを求めています。
内閣府「事業継続ガイドライン」は、初動対応、被害確認、二次災害防止、重要業務の継続・復旧について、平常時から手順と体制を整え、訓練と見直しを続ける考え方を示しています。
連絡先、使用中止、階段動線、再開条件を一枚にします。
まず、全号機の名称、用途、停止表示の確認場所、保守点検業者の緊急連絡先を一覧にします。
次に、閉じ込め確認の担当、館内放送、各階掲示、エレベーターホールの立入り管理を決めます。
階段の点検担当と、移動支援が必要な人の把握方法も書き込みます。
点検報告書で安全を確認し、案内表示を切り替える運転再開の責任者を決めます。
復旧が一台だけの場合の優先利用と、混雑時の受付方法も用意します。
訓練では、地震発生、停止確認、閉じ込め通報、階段誘導、再開連絡まで通して試します。
訓練後は、保守会社へ情報が届く時間と館内表示の更新漏れを振り返ります。
明日は設備台帳と保守契約から緊急連絡先を確認し、階段前に物がないか歩いてみてください。
  • 号機名と用途を一覧にする
  • 閉じ込め確認と保守連絡の担当を決める
  • 使用中止の放送と掲示を準備する
  • 階段と避難経路を点検する
  • 点検報告と再開判断を記録する

保守会社への連絡から館内表示まで通して訓練します。

停止から再開まで一続きで確かめてください。

よくある質問

Q地震時管制運転で止まったあと自動で動き出したら使えますか?
A装置の仕様によって自動診断や仮復旧の動きは異なります。施設側の自己判断ではなく、保守契約と連絡手順に沿って安全性の確認を行ってください。
Q閉じ込めが無ければ保守点検業者への連絡は後でもよいですか?
A運行へ影響する故障が疑われる場合は、使用を中止して早めに連絡します。停止表示や異音など分かる範囲を伝えてください。
Q一台だけ復旧したら通常どおり営業できますか?
A業務内容、階段の状態、支援が必要な人、ロビーの混雑を確認します。一台の復旧を全面復旧と扱わないことが大切です。
Q火災が起きたとき復旧済みのエレベーターで避難できますか?
A東京消防庁は、避難時には安全な階段を使用しエレベーターを使わないことを基本としています。消防計画の避難方法に従ってください。

まとめ

地震で運行へ影響する故障が生じたら、安全性を確認するまで使用を再開しません。
最初に閉じ込めの有無と停止位置を確認します。
保守点検業者へ停止表示や異音を伝え、点検と必要な修理を依頼します。
停止中は在館者へ周知し、安全な階段動線を確保します。
一部復旧では、号機ごとの使用可否と制限を表示します。
火災時の避難はエレベーターではなく安全な階段を使います。
点検報告、再開時刻、判断者をBCPの復旧記録へ残します。

停止から再開までの手順を訓練で確認します!

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㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および国土交通省、東京消防庁、内閣府の資料に基づく一般的な解説です。エレベーターの仕様や地震後の復旧方法は設備ごとに異なります。個別の判断は建物所有者、保守点検業者、所轄消防署などへご確認ください。

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